上島竜兵さん追悼――雑誌編集者が見た、普段との“ギャップ”とお笑い界への懸念
#上島竜兵
お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さんが、5月11日未明に東京都中野区内の自宅で亡くなった。61歳だった。
突然の訃報に衝撃が走っている。ビートたけしが「40年近く前から一緒に仕事をしてきたのに、芸人は笑っていくのが理想であって、のたれ死ぬのが最高だと教えてきたのに、どんなことがあっても笑って死んで行かなきゃいけないのに、非常に悔しくて悲しい」と公式サイトに綴るなど、多くの有名人も追悼のコメントを出している。
上島さんは1961年兵庫県生まれで、村野工業高校卒業後に役者を目指して上京。テアトル・エコー附属の養成所時代に、テアトル・エコーの先輩・渡辺正行がきっかけとなってお笑いの道に進み、近藤芳正らも在籍したコント集団・キムチ倶楽部などを経て、ダチョウ倶楽部を結成した。『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)で頭角を現すと、「訴えてやる!」「聞いてないよ!」といった名フレーズとともに“イジられキャラ”として笑いを生んできた。また、共演したケンカするフリをしながら最後はキスして仲直りする芸も人気だった。さらに『スーパーJOKEY』(日本テレビ系)の名物コーナー「熱闘コマーシャル」における高温のお風呂芸や、熱々おでんを使ったネタなど、体を張ったお笑いでもお茶の間を沸かせた。
ただ、コロナ禍ではすべてのネタが「密」に該当するため、近年はなかなか披露する機会がないと嘆いていたという。
「4月25日にダチョウ倶楽部がゲストで招かれた都内で行われたイベントでも、上島さんは『(ソーシャルディスタンスで)冷静に離れて見てみると、(ネタが)おもしろくない』『商売あがったりだよ』と話していた。キス芸もアクリル板越しでやらねばならず、対応にかなり苦労していたようだった」(テレビ局関係者)
以前、上島さんを取材した雑誌編集者は、芸人としての顔と普段とのギャップを回顧する。
「あるお笑い番組の収録PRを兼ねた取材会の時のこと。テレビでのやり取りのようにマシンガントークをすることもありましたが、お笑いそのものについての話になると、やや下を向きながら真面目に語りだすのが印象的でした。一番憂いていたのは自分たちのような体を張る芸人が少なくなってしまったこと。トーク一辺倒になってしまったお笑い界は近い将来、衰退するのではと本気で心配していました」
2020年の新型コロナウイルス第一波のタイミングでは、上島さんが師と仰ぐ志村けんさんが死去。5月8日に放送された『ドリフに大挑戦』(フジテレビ系)では、監獄を舞台にした新作コントにも参加していたが、その矢先の訃報だった。
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