上島竜兵さん、テレビに出たての若手を裏で助けていたーカッコいい先輩の思い出
#お笑い #ダチョウ倶楽部 #上島竜兵 #檜山豊
書きたいコラムが溜まってきていて、どれから書こうか考えていた矢先にどうしても書きたいと思う出来事があった。
それは5月11日に流れたダチョウ倶楽部、上島竜兵さんの訃報だ。11日未明に都内にある自宅で倒れているところを家族が発見し、搬送先の病院で死亡が確認されたという。所属事務所の発表によると「死亡したのは事実だが呆然としておりそれ以外の事は何もわからない」と。
朝10時現在、ニュースやネット記事を見ると、上島さんの死亡の理由はわからないとしながら、ひとりで悩んでいる方や生きるのが辛いと感じている方への相談窓口の情報が書いてある。
上島さんはひとりで悩み、そして生きるのが辛いと感じ、死んでしまったのだろうか……。
何と言っていいか言葉が出ない。めちゃくちゃお世話になった先輩と言うわけではないが、まったく思い出が無いのかというとそういうわけでもない。
ダチョウ倶楽部さんは、ベテラン芸人にも関わらず若手芸人と同じ立ち位置で、ひな壇や体を張った企画に出演する貴重な存在だった。僕も芸人時代、何度もご一緒させていただいた。
僕が初めてテレビに出演したときも、ダチョウ倶楽部さんと一緒だった。ガヤ要員として若手芸人が多数出演するような深夜のテレビ番組で、お世辞にも品があるとは言えない、どちらかと言えば下品な企画が多い番組だった。ほとんどの若手芸人が「なんでこんな番組に出なきゃいけないんだ」という少し冷めた態度で企画に参加する中、1番ベテランのダチョウ倶楽部さんは誰よりも前に出て、誰よりも声を出し、誰よりも番組を盛り上げようとしていた。まだ芸歴が浅すぎて気づくことが出来なかったが、それが芸人としての当たり前の姿で、そうしなければ次が無いというのを間近で教えてくれていたのだ
その後ラッキーなことにダチョウ倶楽部さんと同じ番組に、レギュラーで出演することになった。それはテレビ朝日で放送されていた『特捜TV!ガブリンチョ』という情報バラエティ番組。
基本的にはスタジオでロケを行ったVTRを見ながら進んでいき、途中でクイズコーナーなどの企画があるような番組だった。とても普通の情報番組のように感じるかもしれないが、経験が浅い僕たちのような若手には至れり尽くせりの番組なのだ。何故ならスタジオでのトークも、クイズコーナーの立ち振る舞いも、ロケのやり方も実践しながら勉強できるのだ。
しかも出演している芸人はダチョウ倶楽部さんを筆頭にさまぁ~ず(当時バカルディ)の三村さんやTIMさん、猿岩石さんなど先輩ばかり。その中でもやはりダチョウ倶楽部さんは特別な存在だった。
本番のトーク中、台本上自分たちの番だと思い話に入ろうとすると、後ろにいた上島さんが僕の服を少しだけ引っ張り、小さい声で「まだ」と言った。台本だと僕らの番だが、トークの流れを考えたときにもう少し話を広げたほうが盛り上がるし、台本通りに入ってしまうと話を割る形になってしまうと教えてくれたのだ。
“台本は有って無いようなもの”というのは知っていたが、テレビだとどうしても緊張して台本通りになりがちになる。しかし僕はこれを機に、緊張しながらも台本通りに行ったほうが良いのかどうかをつど、考えられるようになった。
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