ダチョウ倶楽部上島竜兵さんは今の芸人に求められる「かわいさ」を作った
#お笑い #ダチョウ倶楽部 #上島竜兵 #馬鹿よ貴方は新道竜巳
ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが5月11日、61歳の若さでのこの世から去ってしまいました。お笑い界での功績として、”ベタ”を表現の武器に芸能界で活躍し続けたレジェンドでした。
「聞いてないよー」の決めセリフや「おやくそく」などの演出で、バラエティでの立ち振る舞いが素晴らしかった。ダチョウ倶楽部は“お笑い界のトップアスリート”と言っても過言ではないでしょう。上島さんが走り続けた芸人人生……「熱湯風呂」「あつあつオデン」が出てきたら必ず、脳裏によぎる芸人としてこれから語り継がれていく事になると思います。
相手がどんな大御所でも笑わせる技量がある、数少ない芸人さんです。そのリアクション芸は、何度見ても本気で熱がって、怒っているように見え、要は演技力がものすごく高ったんだと思います。
誰しもが分かり切っている事を笑いに変える。台本の筋書きが視聴者にも見えることによって起こる笑い。そしてみんなが台本を共通認識としていることで、さらに裏切る事もできる――「待ってました!」の笑い、これらはかなり選ばれた人間しか出来ないのです。なぜなら周りの協力なしではやれないから。特にギャグでは、上島さんが地面を強く踏んだら、そのスタジオの人が全員ジャンプするネタ、これがまさに出演者の協力そのものでした。そのほか、喧嘩のあと必ずキスをする流れも、周りの空気作りから重要だったりもします。
それらをやる場合、周りからのリスペクトを勝ち取らないといけなく、スタジオでいかに同業者から愛されているかが、重要な要素でもあるように感じていました。
ところで、お笑い芸人をしていてダチョウ倶楽部を嫌いな人間がいるのだろうか、と感じる半面、一般視聴者からの受けが悪い時期もありました。でもそこで、嫌われたらそれはそれでまた笑いになる凄さ。顔、体系、動き、そして全く感じさせない努力量……上島さんはお笑い芸人をやるうえでの財産を沢山持ち合わせていた方でした。
それらがまた、芸人にとって売れる要素としてこのところは特に重要と思われる「かわいげ」につながっていたんですよね。使いやすく、いじりやすい、負け顔がうまく、周りの芸人に脅威とは全く感じさせない、達人のようでした。現在の若手芸人が見習わないといけない要素の塊でもありました。たとえネタが受けたとしても、横柄にしたりするようなこともありませんでした。
ダチョウ倶楽部での名作ネタ「もしもゲームセンターみたいな靴屋があったら」を、正月のネタ番組で拝見した時に思う事は「またこのネタか」かもしれません。ただ、そう思いながらも既に口角が緩み、最後まで楽しんでみてしまう。何度も同じネタをやっていて、ストイックさやネタに対する努力も見えなくなり結局、ダチョウ倶楽部さんたちの人間味がネタにあふれ出して、強力になっているようにも感じました。
芸歴が何年になってもよい意味で変わらない、ちゃんと滑る、その滑った後になんとかして取り返す。一見空気が読めていない演出で滑るが、その後のコメントが秀逸で会場全体を笑いで包み込む緊張と緩和をしっかりできる言葉選びの才能が凄い人でした。
負けた後の言葉選びなとで、フレーズそのものが際立っていて逆に、センスを感じさせないという演出も、芸人界隈での究極でしたね。
前に出る表現と、前に出ない言葉選びの秀逸さ、そして好かれる人柄。若い女性に嫌われていたとしても許される人柄。そして有吉弘行、土田晃之、劇団ひとり、などが在籍する「竜平会」のメンバーもすごくて番組でも取り上げられ一人歩きし、どんどん有名になっていく……。そう考えると“いじられる芸人の究極形態”でもあったように感じました。
後輩たちが上島さんのダメなところを弄って、それに対して怒ってもまた、それがエピソードとなる。そして2020年3月に亡くなった志村けんさんからも可愛がられており、凄く尊敬してやまなかった事でも有名でした。一緒に食事して志村さんがタクシーに乗り、視界から見えなくなってもお辞儀をし続けるその敬意に、、かなりのものを感じました。人一倍繊細さももっており、最高の芸人でした。
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