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トラジャ、2ndシングルでセールス4割減…目指すは“国内アーティスト”への転換?

トラジャ、2ndシングルでセールス4割減…目指すは“国内アーティスト”への転換?の画像
ユニバーサルミュージック公式サイトより」

 昨年10月に“世界デビュー”を果たした7人組ジャニーズアイドル、Travis Japanが5月15日にに2ndシングル「Moving Pieces」を配信リリースしたが、グループを取り巻く“中途半端”な状況は相変わらずのようだ。

 「Moving Pieces」は、2020年に全米チャートで最高5位、トップ10内に通算19週ランクインする大ヒットとなったジャスティン・ビーバーの「Intentions」などを手がけたことで知られるプー・ベアとオーディブルズが制作したダンスチューン。デビュー曲「JUST DANCE!」の作者は正直著名とは言い難かったが、今回は問答無用のヒットメイカーが手掛けた形だ。

 グループ名の由来となっている“恩師”トラヴィス・ペインが振り付けも担当したということでデビュー曲以上に気合いが入っている印象だが、しかし、デビュー曲がピークとなりやすいジャニーズの“伝統”どおりの結果となった。オリコン発表では、「JUST DANCE!」の初週ダウンロードセールスはおよそ6.7万だったのに対し、「Moving Pieces」はおよそ4万と4割減。ビルボードジャパン発表では、「JUST DANCE!」は初週6.6万ダウンロードだったのが、「Moving Pieces」は3.8万で、減少幅はさらに膨らんでいる。

 また、「JUST DANCE!」の場合は発売日が金曜日だったため、集計が月曜始まりで日曜締めとなるオリコンおよびビルボードジャパンでは、金曜から日曜までの3日間だけの数字が初週セールスとして計上された。それに対し、月曜発売となった「Moving Pieces」は7日間での成績であったことを考えると、ダウンロードセールスの減少は実質もっと大きいとみられる。

 セールス面では大きく数字を落とす結果となったが、それでもビルボードジャパンの総合チャートであるJAPAN Hot 100で「Moving Pieces」は3位に初登場。前作「JUST DANCE!」の初登場4位よりひとつ順位を上げたが、その要因となったのはストリーミングだろう。

 「JUST DANCE!」ではダウンロード指標のみが強く、ストリーミング指標では初週圏外(300位未満)に終わるなど極端な結果となったが、「Moving Pieces」ではストリーミングで初週およそ440万再生を記録し、同指標で初登場20位と大きく改善している。オリコンでも、「JUST DANCE!」の時はトップ50にすら入らなかった週間ストリーミングランキングで、今回は初登場12位(およそ410万回再生)となっている。

Spotify月間リスナー数も4割減…ストリーミングの課題は変わらず

 もっとも、ダウンロードセールを落とし、ストリーミングが伸びたのは想定内ではある。今回、プロモーション施策が変更されているためだ。

 「JUST DANCE!」リリース時は、iTunesでのプレオーダー(発売前の購入予約)をすることでオリジナルデジタルブックレットがプレゼントされ、さらにtofubeatsとYaffleによるリミックス2種も同日配信し、オリジナル版と合わせた3バージョンをiTunesでダウンロード購入するとオンラインイベントに招待されるという“特典商法”が実施された。要はCDでやっていた売り方をダウンロードに変えただけだった。

 一方で「Moving Pieces」では、ダウンロード購入者に待ち受け画像が贈られるプレゼントキャンペーンも行われたが、今回はApple MusicとSpotify、そしてLINE MUSICで再生キャンペーンも実施したのだ。Apple MusicとSpotifyが楽曲の30秒以上の試聴が条件なのに対し、LINE MUSICでは777回以上の再生およびプレイリストの作成と条件が厳しく、この施策によりLINE MUSICでの再生数が大きく伸びたとみられる。実際、1時間ごとに更新されているLINE MUSICのランキングで今回は11位まで上昇する瞬間もあったようだ。

 とはいえ、こうしたプレゼントキャンペーンはカンフル剤でしかなく、瞬間的な効果しかない。キャンペーン終了後はふたたびストリーミング再生数は激減することが予想され、次週はストリーミング指標で圏外となる可能性も高い。そしてTravis JapanのSpotifyにおける月間リスナー数は、デビュー直後の昨年11月時点では13万人ほどいたのに対し、現在は7.7万人ほどと、こちらもセールスと同じく4割減と厳しい状況にある。ストリーミングでTravis Japanの楽曲を聴くライト層はデビュー時に比べて大きく減ったとみられるのだ。

 ミュージックビデオについても、「JUST DANCE!」は公開から2日ほどで300万回再生を突破し、1週間後には1000万回再生にまで達したが、今回の「Moving Pieces」はおよそ1週間後に100万回再生突破、9日後にようやく300万回超えと、勢いが鈍いのも気がかりだ。

国内市場にフォーカス?でも…統一感のない売り出し方

 Travis Japanの売り出し方については、リリース日をオリコンやビルボードジャパンの集計上有利になる月曜に変更したことや、今回はLINE MUSICのキャンペーンを打ち出したことを考えても、国内市場を最優先にしている印象だ。事務所の事情なのか、“世界デビュー”と打ち出した割には海外でのプロモーション活動は驚くほど少なく、いまだに国外からのファンクラブ加入ができない状態(国内の住所が必要)が続いているため、このシフトチェンジは納得感があるが、一方で彼らのメディア露出を見ると、プロモーション方針に統一感がないようにも感じる。“国内アーティスト化”を図っているはずなのだが、「JUST DANCE!」の時と比べて歌番組への出演が減っているのだ。

 「JUST DANCE!」の際は11月に『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)に出演したのを皮切りに、NHKの『SONGS OF TOKYO』、テレビ東京の『テレ東音楽祭』、フジテレビの『FNS歌謡祭』、テレビ朝日の『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE』、日本テレビの『発表!今年イチバン聴いた歌』、そして年末恒例の『ジャニーズカウントダウン』(フジテレビ系)『CDTVライブ!ライブ!年越しスペシャル』と、時期的なこともあり年末にかけて特番を中心に各局の音楽番組に出ずっぱりで、バラエティや情報番組の出演も多かった。

 しかし今回は、リリース日の5月15日に『CDTVライブ!ライブ!』にて初披露できたのはいいが、そのほかは19日深夜の『バズリズム02』(日本テレビ系)と27日の『MUSIC FAIR』(フジテレビ系)しか歌番組出演は現時点では予定されておらず、やや物足りない印象だ。

 ジャニーズがシングル発売の際に必ずといっていいほどつけるタイアップも、Travis Japanはこれまでない。ただこれに関しては、本人たちがこの春から出演しているカゴメ「野菜生活100」とbior organics「オーガニックアクア エアレスクッション」のCMにそれぞれ、未発表曲「Charging!」と「Still on a journey」が使われており、状況は変わりつつあるようだ。この2曲は、6月5日配信のデジタルEP『Moving Pieces EP』に収録予定でもあり、リード曲の扱いとなる表題曲「Moving Pieces」は6月にかけてじっくりプロモーションをしていく方針なのかもしれない。

 デビュー後初の全国ツアーを今年3月に終えてから2カ月以上が経つが、現在も国内にいるTravis Japan。活動拠点すらも曖昧な状態だが、せっかくの“ジャニーズ初世界デビュー”グループが今後どうなっていくのか注視したい。

加賀美ジョン(音楽ライター)

洋邦問わず、音楽にまつわる編集・ライティングで十数年。クレジットを眺めるのが趣味。

かがみじょん

最終更新:2023/05/25 13:00
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