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『合理的にあり得ない』仲村トオルは悪役フラグ? 思い出されるあの伝説的ドラマでの黒幕

『合理的にあり得ない』仲村トオルは悪役フラグ? 思い出されるあの伝説的ドラマでの黒幕の画像
ドラマ公式サイトより

 4月24日、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』の第2話が放送された。主人公・上水流涼子(かみずる・りょうこ)の過去の因縁が少しだけ紐解かれたが、やはりこの過去がストーリーに不穏な影を落としそうだ。そして、そのカギとなりそうなのが仲村トオル演じる諫間慶介(げんま・けいすけ)だ。

 小説家・柚月裕子の同名小説を原作とする本ドラマは、元弁護士の女探偵・上水流涼子(天海祐希)が、IQ140の頭脳をもつ貴山伸彦(松下洸平)を相棒に現代の“あり得ない”敵を“あり得ない”手段で成敗する極上痛快エンターテインメント。初回放送では、バディを組む涼子と貴山のキャラクターと、彼らなりの事件解決の流儀がある程度明らかになったが、涼子が弁護士資格を失うきっかけとなった経緯については謎のままだった。

 第1話のラストにかけてきた電話の主、そして第2話の依頼主が諫間であり、涼子の過去とも関わりのある因縁の人物だ。第2話冒頭では、「100%勝つ」弁護士時代の涼子が2年前に諫間にかけられた賄賂疑惑の弁護を担当し、無実を勝ち取る場面が描かれた。諫間と涼子は、古い付き合いのようだ。涼子の父も弁護士だったようで、諫間の父が亡くなり、諫間が総合商社・諫間グループを引き継ぐと、顧問弁護士として支えていたのが涼子の父だという。そして涼子も父親が亡くなって顧問弁護士の座を引き継ぐが、涼子は暴行事件を起こし、「記憶がない」と主張する涼子をあっさりと切り捨てる。

 涼子は諫間に見捨てられたことを今でも恨んでいるようで、「殺したいリスト、ナンバーワン」と言ってはばからない。そんな諫間からの依頼を受けるなど本来「心情的にあり得ない」が、わざわざ自分を頼ってくるのは諫間が相当追い込まれているためだと喜び、話を聞きに行く。結局、諫間の思惑どおり、1週間前から行方不明になっている諫間の娘・久美(白石聖)を捜すことに。

 「報酬はいくらでも出す」という言葉に乗った涼子は、久美の捜索に奔走。得意の変装を駆使しつつ、裏社会の住人で貴山の古い友人である有田浩次(中川大輔)や、涼子の傷害事件で唯一涼子の無罪を信じていた警察官の丹波勝利(丸山智己)のサポートもあり、お嬢様の久美が謎の女・円谷エリ(早見あかり)と行動を共にしていることを突き止める。エリは、広瀬リアム(猪塚健太)と組んで、世間知らずの女たちを薬漬けにして売り飛ばす悪行を働いていた。第2話は、エリと涼子で久美の奪い合いが繰り広げられることに。悪賢いだけでなく空手の達人でもあるエリに苦戦させられる涼子だったが、頭脳戦ではIQ140の貴山がついている涼子のほうが一歩上。身代金を総取りするための用意周到なイカサマは痛快だった。

 久美は涼子によって無事に救い出されるが、涼子の真摯な説教に感銘を受け、父のもとを飛び出して涼子の事務所で働きたいと言い出す。おかげで諫間からの依頼である「久美を連れ戻す」は達成できていないとして涼子は報酬ゼロとなり、最後まで諫間にいいように使われてしまった涼子だった。

 諫間は第2話のラスト、金に困っているだろうと涼子に仕事を回すと言っており、次回の話も諫間の紹介で来た客が依頼に来ることになるようだ。だが、気になるのは、諫間が敵か味方かという点だ。涼子は「人は信じるな」という教訓を胸に生きているが、諫間もまた、誰も信用していないという。恨まれていることを承知で涼子に仕事を依頼した際、「私も誰も信用していない。頼めるのは君しかいない」と淡々と話していた。しかも娘の捜索は、娘がかわいくて何にも代えられない存在……ということではなく、グループの業績が悪化しており、娘が行方不明だと表に出れば株価に影響が出ることを懸念していただけ。とにかく非情で、冷酷な人物のようだ。そんな諫間が涼子に仕事を回すというのは、何か裏があるのではないだろうか。

 つかみどころのない諫間という人物を演じているのが仲村トオルというのもポイントだ。2年前の裁判シーンでの諫間は、疑惑をかけられているにもかかわらず、妙に穏やかで、涼子が相手を追い込んでいる際も、何のリアクションも見せずにいた。まるで裁判など興味がないかのようなその佇まいは、得体の知れないものも感じさせた。その姿に既視感を覚えた筆者が過去の記憶を辿った先に思い浮かんだのは、1998年放送のフジテレビ系ドラマ『眠れる森』に登場する殺人犯・濱崎輝一郎だ。主演の木村拓哉と対を成す黒幕を演じた仲村は、品行方正なエリートサラリーマンの顔に隠された、自分本位かつ冷酷無慈悲な殺人犯という二面性のあるキャラクターを演じ切った。そんな仲村が諫間を演じているとなれば、裏があるに違いないと想像を働かせてしまうのは、ただのドラマフリークの勘ぐりにすぎないだろうか。

 また今回は、涼子vsエリの格闘シーンもなかなか見応えがあったが、ただ長身女優同士で戦わせるというだけでなく、涼子の過去と絡めているという点でも重要なシーンだっただろう。過去の暴行事件で涼子は、野間口徹演じる男性を無表情のまま執拗に殴りつけていたが、その記憶はないのだという。エリを地面に組み伏せた際、涼子はエリを殴りつけようとするが、急に頭を抱え、手を止める。過去の暴行がフラッシュバックしたかのような演出だったが、涼子は一体なにを抱えているのだろうか。本作は知力だけでなく、暴力でも敵を成敗する展開が続いているが、どこかで涼子が暴走するという伏線なのかもしれない。涼子にもまた、得体の知れない部分があるようにも感じられる。

 今夜放送の第3話では、予知能力者を自称するさらなる難敵が登場する。トリックを見破ろうとするストーリーは、テレビ朝日系のドラマシリーズ『TRICK』を彷彿とさせるが、怪しい予知能力者に元やり手弁護士とIQ140の天才助手がどのように立ち向かうのか楽しみだ。

■番組情報
月曜ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオル ほか
原作:柚月裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』(講談社文庫)
脚本:根本ノンジ
音楽:眞鍋昭大
主題歌:ざきのすけ。「彼は誰どき」(ソニー・ミュージックレーベル)
プロデューサー:萩原崇、清家優輝
演出:光野道夫、二宮崇、倉木義典
制作協力:ファインエンターテイメント
製作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/arienai

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/05/01 12:00
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