『舞いあがれ!』はまってないジグソーパズルのように物語の「隙間」が気になる(第10週)
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航空学校で、みんなが「〇〇学生」と呼び合うルールらしいのがなんかいいなと思ってます。「さん」「くん」呼びだとどうしても男女の違いやお互いの年齢などの差が出てしまうけど、「学生」という、その人の今の立場のことしか含まれてない、みんなが平等な呼び方、いい。学生じゃないけど私も「渡辺学生」と呼ばれたい。
でも、柏木学生(目黒連)が告白して舞ちゃん(福原遥)がドキドキしてる今週、なんだかその「〇〇学生」の良さがかき消されてるのが気になってます。大学のなにわバードマンたちの、性別も年齢も関係なく、「飛行機をみんなで飛ばそう」という気持ちだけで前に進む仲間たちがとても好きだったし、ずっとそういう感じなのかと思っていたので。今は、恋をするならお互いにじゃなくて飛行機に、がいいなあ。携帯の待受をスワン号にしていた舞ちゃんみたいに。
そもそも彼らの気持ちは本当に恋なんでしょうか。飛行機を飛ばす孤独と恐れから、何かすがりつくものがほしいだけではないか、不安なドキドキと恋心のドキドキがごっちゃになってたりしないかなあ、とちょっと思ったりしています。いわゆる「吊り橋効果」みたいな。迷子になって焦ったり、壊した模型を直したり、水島学生(佐野弘樹)の退学で泣きじゃくったり。完璧で冷ややかだった柏木学生が、仲間ができたことで人間味を増して揺れ動き、かわいさが爆上がりしてるのはたいへん好ましいことなのですが、彼からの告白にドキドキの舞ちゃんも本当にキュートなんですが、それでもなにか違うのではという気持ちも「かわいいわねー」の後ろ側にくっついている。
おばちゃんね(と突然親戚のおばちゃんモードで語りますが)、舞ちゃんは小さい頃から人のことをよく見て、まず相手の気持ちを尊重して動くところが、ほんとうにいい子だなあって思っていたのよ。でもね舞ちゃん、あなたをこんなにきちんと指導してくれている大河内教官(吉川晃司)に「負けません」とか「教官から逃げない」なんて言って、全然彼のことが見えてないんじゃないの? で、そんな舞ちゃんを「好き」って言っちゃう柏木くんもね、いや本来の舞ちゃんはこの数倍いい子よ、ちょっと待ってよって思っちゃうのよ。
先週から楽しみに待っていた「主人公の初恋」という物語上のひとつの山が、ここまでの話にカチッとはまっていない。ジグソーパズルで、合っていないピースを無理に押し込んで「ほらできましたよ!」と見せられている気分。でもそこに残された隙間はどうしても目についてしまう。親に期待されていないと言っていた水島学生、でもお父さんから送られた大量の缶詰は卒業までそこで頑張れというエールに見えた。彼の話をもっと聞きたかったし、フェイルの理由もはっきり語られないままなのが気になる。大河内教官が、厳しいけれどとてもいい教官にしか見えないので、彼に反感を持っている学生たちの気持ちがわからない。悠人お兄ちゃん(横山裕)をずっと放っているように見えためぐみさん(永作博美)が、今になって「さみしくないの?」と帰宅を迫るのもよくわからない。この「わからない」「どうなった?」の隙間を、なんとか埋めてほしいのに。
予告に久しぶりの貴司くん(赤楚衛二)の姿となにわバードマンの刈谷先輩(高杉真宙)の声があって、とてもワクワクしたんですが、昔馴染みの人たちの登場を待ち焦がれてしまうのは、「今」への不満の現れかも知れない。とにかくこのモヤモヤした霧を晴らして、全員無事に青空を飛んでほしいなあ。
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NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:福原遥、高橋克典、永作博美、横山裕、高畑淳子、赤楚衛二、山下美月、山口智充、くわばたりえほか
作:桑原亮⼦、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時、管原浩
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐
プロデューサー:上杉忠嗣、三鬼一希、結城崇史
広報プロデューサー:堀之内礼二郎、齋藤明日香
制作:NHK
公式サイト:nhk.or.jp/maiagare
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