『舞いあがれ!』観る人の背中を押す、「普通の人」の努力の物語(第5週)
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『舞いあがれ 』が始まって1カ月が過ぎました。毎週金曜日には確実に泣く、下手すると毎日のように泣くというのがここまでずっと続いていて、いや、さすがに、そろそろ慣れるだろう自分……と思ってたのに5週目も号泣でした。こんなに流す涙の量が多い朝ドラは最近なかったので、戸惑っています。それも「戦争その他の理由で主人公の大切な人との別れがある」みたいな朝ドラあるあるな展開でもなんでもなくて、大学生の女の子・舞ちゃんがサークルの仲間と「空を飛びたい」と努力するだけ。でもそれを見ているだけで、目に蛇口がついているかのように大泣き。
NHKの番組の『ドキュメント72時間』『街角ピアノ』『サラメシ』のような、そこに居合わせた人たちに話を聞くだけの番組が好きです。有名人とかではない普通の人たちがぽつりぽつりと話す姿に、つい泣いてしまうことがある。あの時の気持ちに、この朝ドラを見ている時の気持ちはちょっと似ています。人力飛行機のサークル「なにわバードマン」にいるのはごく普通の人たちで(設計担当の刈谷先輩だけはなにわの天才と呼ばれてますが)、ただ「飛行機が好き、作りたい」「自分たちのスワン号を飛ばしたい」という思いだけは強く、毎日コツコツと小さな部品を組み立てている。そんな普通の人たちの挑戦と挫折と、ふたたびの挑戦の様子を見ているだけで、泣けてくる。
それも「根性でなんとかする」「やればできる」ではなく、パイロットが由良(吉谷彩子)から舞ちゃん(福原遥)に変わるからと身長と体重を測り、計算して修正し、理論的に目標へ向かっていくところも好き。男子ばかりのサークルに二人しかいない女子部員を、「仲間」として扱うところも好き。由良が舞ちゃんに、ばんば(高畑淳子)と同じような言葉「向かい風を受けて高ーく飛ぶんや」を言ってくれたところも、よかった。向かい風を受けてるのは舞ちゃんだけではなく、怪我してパイロットを譲ることになった由良のことでもあるんだろうなあ。向かい風が来た、よし、ここでもっと高く飛ぼう、と彼女もきっと思っている。彼らは舞ちゃんを飛ばすために努力する。舞ちゃんは彼らの飛行機を飛ばすために努力する。お互いがお互いのために頑張る姿が愛おしい。ひとつひとつのシーンを思い出すだけで泣いちゃう。
と、涙の理由について書いてきたけど、このドラマは「泣かせるぞー! 感動させるぞー!」と力が入っているように見えず、とても「軽やか」なところがいいと思っています。水曜日、「岩倉舞の朝は早い」というナレーションから始まり、部員たちがカメラ目線で語り、「おやすみなさい」と舞ちゃんが布団に潜って1日が終わる、どこかで見た番組みたいな回は大笑いしながら見ました。でもとにかく、あの狭い部室で作っていたスワン号が、ダイエットと体力作りをがんばった舞ちゃんを乗せて広い空へとふわっと浮き上がるのを見たら、「飛んでる」とうれしそうな彼女を見たら、それは無条件で泣きますよね。やりたいことを言えなかったあの小さな舞ちゃんが「飛びたいんです」と主張して、とうとう飛んだ。飛んでいくスワン号を追いかけて走る部員たち。私もあの中のひとりとなって、一緒に走っていきたかった。
最近はドラマを見て涙を拭いてから、リングフィットアドベンチャーで筋トレしています。あんなにおいしそうなお好み焼きもばんばのジャムも我慢している舞ちゃんのために、私も減量して筋肉をつけて応援したい気分。全然意味がないんだけれど。普通の人の努力は、他の普通の人の背中を押しますね。
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NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:福原遥、高橋克典、永作博美、横山裕、高畑淳子、赤楚衛二、山下美月、山口智充、くわばたりえほか
作:桑原亮⼦、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時、管原浩
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐
プロデューサー:上杉忠嗣、三鬼一希、結城崇史
広報プロデューサー:堀之内礼二郎、齋藤明日香
制作:NHK
公式サイト:nhk.or.jp/maiagare
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