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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > KEN THE 390がヒップホップに期待すること
KEN THE 390ロングインタビュー

KEN THE 390はヒップホップにもう一回期待する――ケンザが語る、Maison Bと日本のシーンのこれまでとこれから

若手の抱えているフラストレーションを解決してあげたい

KEN THE 390はヒップホップにもう一回期待する――ケンザが語る、Maison Bと日本のシーンのこれまでとこれからの画像5
写真/石田寛

――このMaison Bも出るケンザさん主催フェス『CITY GARDEN -超ライブフェスティバル-』が11月6日(日)に開催されるわけですけど。イベントはこれまでもたくさんプロデュースされてきたと思うんですが、フェスをやること自体は初めて?

KEN フェスと銘打ってるのは初めてかもしれないです。規模感的にもうちょっとちっちゃいとこでアーティスト何組も呼んでってのはあったんですけど、どこからフェスなのか……フェスって言ったもん勝ちみたいなもところもあるんですけど、豊洲PITでやるからフェスでいいかみたいな(笑)。本当はもっと大きいことを目指していて、そこの第一歩という感じです。

――「超ライブ」って付いてるってことは、以前に主催していた日本語ラップイベント『超ライブへの道』から続いてるわけですよね。

KEN そうですね。一応、個人的には切り替えで、新しい名前にしてるんですけど。元々あれも、そういうイベントが当時はなくて。今じゃ考えられないけど、昔はヒップホップのライブを昼間にするってこと自体があんまり考えられなくて、“ヒップホップは夜で、昼間のライブのチケットだと売れないでしょ”みたいな時代だったんですけど、僕らは昼間やりたかったし、「クラブの15分」よりやっぱり長尺で最低でも30分とか、全アーティスト見せたいって思ってたから、そういうものがないなら自分らでやるしかないよねみたいな感じで、レーベル作ったときと同じようなタイミングで始めてて。

 それをずっとやってある程度軌道に乗ってきたところから、ちょっとシフトチェンジして自分のワンマンとかやってたんですけど。また今こうやってヒップホップシーンも大きくなって、みんなそれぞれ活躍の範囲が変わってきた中で、僕の目線でのフェスができるんじゃないかなって思ったんです。僕も親になったりとか、40代迎えたりして、年齢層高い人とか、逆にちっちゃい子どもが見ても安心して楽しめる、でもそれがヒップホップのフェス、みたいなものをやりたいなと。オールジャンルじゃなくて、ヒップホップフェスに子どもを連れて行きたいなとか思うと、いろいろクリアしなきゃいけないことがいくつかあるので、将来大きい規模でやるためにまず一歩ずつ始めていこうという。仕切り直しというか、新たな気持ちで始めてみたって感じです。

――メンツもRIP SLYMEさん、SKY-HIさんから向井太一くんまで幅広い感じですが、ニュージェネレーションの枠もありますよね。いつも若手とか新しい人をフックアップしてるイメージがあるんですけど、割とそういうのって意識的にやってるものなんですか。それとも、自然とそうなってきたみたいな?

KEN 自然とでもあり、意識的にでもあり。自分のレーベルとイベントが元々連動してたんで、自分が客演にフレッシュな人を呼んで、それをライブで全員で披露するみたいなことをずっと続けてやってきてたんですよね。その時は下と言っても10個差とかぐらい、僕とKOPERU、僕とR-指定とかってちょうど10コ差ぐらいなんですけど。僕が40ぐらいになってくると、今の若手マジ20コ違う(笑)。ちょっと、自分が客演するのもだんだん違うよねみたいになって(笑)。だから今、DREAM BOYの中で、O.B.Sっていう新しいレーベルを作ってて、そこは僕が入っていくというよりは、若手のコンピを出して回していくみたいな。僕は見てるだけで、プレイヤーとして参加するというよりは、本当に会社、レーベル業として見ていくみたいなスタンスでやってるんです。そういう形で業務というか仕事としてあると、僕もちゃんと若手を聴くんで。仕事としてないと、やっぱりどうしても若手チェックが徐々におろそかになっていっちゃうんで(笑)。そうやってちゃんと常にチェックできてることは自分にもすごくいいだろうし、今のこのやり方が合ってると思ってます。

――まさにO.B.Sのことも伺いたかったんですけど、ご自身でまた新しく始めるっていうよりは、若手をフックアップしようって感じなんですね。

KEN はい。僕らも元々最初インディーズで出たとき、スタジオもなかったりとか、あってもいい環境じゃないとか、いろいろあった中でキャリアを重ねてきたんですね。だから、すごいいいラップしてる子に、さらに違った軸で組み合わせを提案してあげるとか、ちゃんとしたスタジオ取っていい音でrecして、パッケージングまでするとか、PVを撮るとか、彼らの良さを生かすような仕事が僕らにもあると思っていて。今ってちゃんと利益をシェアできたり、いろんな契約のパターンがあるから、双方ちゃんと嬉しい形でリリースできたらめっちゃいいんじゃないかって始めたんですけど、それがけっこうずっと続けてこれてるんで、よかったなと。すぐ頓挫したらやっぱりどっちにとっても良くないってことだから(笑)。続くってことはある程度どっちにもメリットがあったわけで、良い形になってきたなと思います。

――ケンザさんのデビューもダメレコ(Da.Me.Records)からで、ある種、ご自身が受けたものを引き継いでいくような。

KEN それもあるかもしれないです。自分がやっぱりお世話になったところを下の世代に落としてくのもそうですし。逆に、自分が当時もっとこうしたかったなとか、もっといろいろできたのにって思ったことを解決していくようなことも。今の若手のそういうフラストレーションを解決してあげられたらいいなと思ってて。それが、どっちかが損するわけじゃなく、お互い嬉しい形でまとめられたら一番いいなと思うんで、それを実現できたらいいなと思ってます。

――エイベックスにいらっしゃったときもあったわけですが、当時と今はまた違うと思うんですけど、今のメジャーレコードのあり方というか必要性みたいなことってどうお考えですか?

KEN 当時と今はだいぶ違って、ヒップホップもだいぶ規模が大きくなってきたんで、改めてメジャーにはメジャーの良さがあるとは思いますね。やっぱりそこでちゃんとうまくいってる人がいるから。いい時代にはなったけど、でもみんな見極めたほうがいいんじゃないかな。自分の目指してる音楽性が、大きい範囲で届けるべき音楽なのか、そうじゃないのかとか、もっとみんな自分をちゃんと見ないと苦しいことになると思います。メジャー行ったせいでうまくいかない人もやっぱりいるし、逆にインディーズでも、その音楽性だったら自分でやる音楽じゃないんじゃない?とか思ったりする人もするし。そこの見極めが大事かも知れないです。でもヒップホップは、ある程度のキャリアを重ねたら割と自分でやったほうがおもしろいんじゃないかなって思う瞬間はありますね。(4/5 P5はこちら

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