KEN THE 390はヒップホップにもう一回期待する――ケンザが語る、Maison Bと日本のシーンのこれまでとこれから
#インタビュー #KEN THE 390
“ヒップホップのカルチャー寄り”のボーイズグループを
――ボーイズグループって今、ものすごい数がいるじゃないですか。その中でこのタイミングで出すにあたって、どう差別化していくか?ということも考えたと思うのですが。
KEN 僕が思ってたのは、楽曲のテイストとして、さきほど言ったみたいなラインで差別化できるなっていうのが最初にあって。K-POPでも日本のボーイズグループでもどっちでもない、“僕らから見てすげえクールだし、でも世の中にもちゃんとアプローチできそうな曲”のラインがまだあるんじゃないかな?って思ったんですよ。まずその楽曲でちゃんと差をつけたい。
あとはラップですね。K-POPも日本のボーイズグループのラップもみんなうまいけど、もっと僕らから見て楽しめるラップとか。韓国ってボーイズグループのラッパーが普通にヒップホップアーティストとガンガン曲やってたり、遜色ないじゃないですか。日本だとSKY-HIみたいな。あの感じをもっと日本のボーイズグループでもやりたい。日本のヒップホップシーンとちゃんとコネクトしながら、ボーイズグループもやります、でもラッパーとしてソロアルバムが出てますとか、そういう世界観のアプローチをしたいなと思いますし、そういうグループがいたら、どっちももっと活性化するんじゃないかなって。たとえばRICK(安江律久)とREIJI(福島零士)はそこまで成長できるんじゃないかなって思ってるんですよ。だからそういうので差別化していきたいですね。あとだいぶみんな強いんで、いい意味で(笑)。でかいし強いし。
――みんな背高いですもんね。
KEN そうなんですよ。そういうとこも含め、すごくいいグループになったなと思って(笑)。
――日高光啓(SKY-HI)さんの名前が出ましたけど、日高さんといえばBE:FIRSTをやられていますが、意識するところってありますか?
KEN いやいや(笑)。その業界に関しては日高が大先輩なんで(笑)。僕もずっと見てたから。すごいことだと思うんですよ。多分、日本にかつて誰もいなかったんで、そういうボーイズグループとかアイドルグループやりながら、でもちゃんとシーンからリスペクトされてる人って。前にも後にもいないんで。だから本当すごいなと思いながら見てたんですよね。それにBE:FIRSTが目指してる音楽と僕らが目指してるものっておそらく違うから。活躍を見たり、参考にしながら……アドバイスしてもらいながら(笑)。
――そういうことも話したりしてるんですね。
KEN 話したりもしますね。ものすごいポジティブに応援してくれてて。僕らは僕らでやりたいこととか、かっこいいことを目指すのが一番いいんじゃないかなと。
――ラップの話に戻ると、K-POPってひと括りにされがちですけど、すごいヒップホップ寄りのグループもいますよね。
KEN そう、だから、こっちでもそういうふうにもっとカルチャーに寄っててもいいんじゃないかなっていう。そっちに軸足が片方入ってるぐらいのグループがおもしろいんじゃないかなとすごく思ってて。
――ラップで言うと、K-POPのガールズグループに特にそんな傾向がある気がするんですけど、割とみんな同じようなフロウでラップしますよね。ニッキー・ミナージュとかあのへんの雰囲気で。
KEN めっちゃうまいんですけどね。ラップの声のトーンがいくつかに限られてて、多分、お手本が何コかあって、そこのどこかに集約されていく感じはあります。でもすごいおもしろいし、よくできてるなと思います。
――そういうある種、フォーマット化されてるものとは違うものにしていきたいと。
KEN そうですね。あと今の現状のスタイルでいくと、僕らが曲を完全にコントロールして書いてるんで。提供してもらうとかではなく。だから、そこから生まれるアーティスト性だったり……。あとは、最終的には自分たちで曲を作るってところに行きたいなと思ってるんで。だからボーイズグループでありつつ、アーティスト性というか、彼ら発信の楽曲をちゃんと目指していく。僕らのカラー、必然的に作ってる人(のカラー)が出てくると思うんで、そこに共感してくれる人は増やしていきたいなって思います。
――「うぶごえ」でクラウドファンディングもやられてて、8月13日に募集を始めたところ、8月中に目標額を超えていて(9月に終了、最終的には200%以上の達成率となった)。そういう意味ではすごく成功していると思うんですけど、今時点でケンザさんの想定していたプランにおけるMaison Bの到達率ってどういうふうにお考えですか。
KEN 悪くはないんですけど、でもまだまだ。一応、今回プレデビューと銘打って、だからちゃんとしたCDのリリースというよりは、クラファンという形で直接届けたりとか、もうちょっとコミュニティを強化したいなみたいな感覚で動いてて。目標金額は確かに到達して、ありがたいし、運営に対して最低ラインのところをクリアできてるなって思うんですけど。でもやっぱりデビューに向けてまだ、ひと山ふた山乗り越えなきゃいけないハードルがあるなと思ってるし、巻き込まなきゃいけない人の数もいると思うんで、それを彼らが作品としてCDを世の中に出すってタイミングまでにどういうふうに持っていくかとか。逆にデビューに向けてのプロモーションなり、僕らの見せ方で、もうひと山どう作るかっていうのを今まさに準備してるところです。(3/5 P4はこちら)
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