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KEN THE 390ロングインタビュー

KEN THE 390はヒップホップにもう一回期待する――ケンザが語る、Maison Bと日本のシーンのこれまでとこれから

7人組になったのは想定外だったけど、結果いい着地になった

KEN THE 390はヒップホップにもう一回期待する――ケンザが語る、Maison Bと日本のシーンのこれまでとこれからの画像3
写真/石田寛

――番組で5月ぐらいから始まって、8月にプレデビューで。結構スピード感ありましたけど、楽曲は並行して準備していった感じだったんでしょうか。

KEN 春前……2月、3月ぐらいかな、もう面談とかは始まってて。面談してメンバーが決まったのが春過ぎぐらいとか、4月ちょっと過ぎぐらいだったと思うんですけど。その時点で、メンバーと相談しながら曲作ったり、実際の『MUSIC BLOOD』の通り、HIKARU(ヴァサイェガ光)が入るか入らないかみたいなところがあって。なので曲自体はけっこう前に書いてましたね。それを番組で追ってって8月にゴールインしたんですけど、メンバーはみんなもう5、6、7(月)とずっとひたすら練習してる日々を送ってたんで。

――急に2人増えるっていう展開もありましたが。

KEN ありましたありました(笑)。

――あれもリアルに選考中に変わっていった部分なんですか?

KEN 本当に最初5人って言ってたんです。まぁ5人って言っても、絶対に5人じゃいけないっていうことではなかったんですけど。でもメンバーと話していったりする中で……。トレーナーをやってたんで初めて会う子たちではないわけじゃないですか。あと、一般的な形と逆なんですよね。普通はメンバーがお願いしますって来て、プロデューサーの僕が決める側なのに、僕のほうから「君いいと思うから入ってくださいよ」って言うわけだから(笑)。だからちょっと違うんです。

 彼らからしたら、自分の人生の道があるんで、いきなり僕が現れて「やろうよ」って言われて即答できない気持ちもわかるし。多分、戸惑ったのもあるだろうし、考えたこともきっといろいろあるだろうなって思う。でもちゃんとひとりひとりと話せたから、逆に「この人とやりたい」とか「やるんだったらこういうメンバーが入ったほうがおもしろいと思う」とか建設的な議論ができて、すごい良かったなと思います。番組で言ってたみたいに、ボーイズグループって何か“プロデューサーが決めるもの”みたいな感じがあるけど、僕らの世界は、むしろそれが絶対イヤな人が多いから。「自分の相方なんて自分で決めるでしょ」みたいな。決められた人と組むっていう感覚が僕になかったんで。ボーイズグループだったら僕が決めなきゃいけないのかなと最初思ってたんですけど、彼らと話す中で、やっぱりそんなこともないんだと思って。彼らの意見があって、それを僕が聞いて、そのほうがベターだと思ったら取り入れて。一緒にやりたいと思ってる人とやるほうが発揮できるエネルギーがやっぱあるなと思うんですよ。

 だから、想定外ではあったんだけど、結果的にはめっちゃいい着地したなと思ってて。実際いま、7人で仲いいですし、すごくバランス良くて。5人だったらこのバランス感は出なかったと思ってて、結果オーライだなって(笑)。

――舞台など、いわゆる普通のヒップホップの現場じゃないところも手がけてきた経験があるからこそ、ボーイズグループのプロデュースをイメージできたのかなと。

KEN そうかもしれないですね。いつも僕、結局「こうなりたいからこうしてる」って感じがあんまりなくて。自分のアーティスト本業だけは、自分でやりたい音楽を基本ベースとしてやるんですけど。舞台とかは、積み重ねの結果で来た話だし。

 (『PRODUCE 101 JAPAN』の)ラップトレーナーの話も、その前にエイベックスの養成所(エイベックス・アーティストアカデミー)で、K-POPが流行ってるからラップを教える授業をつくりたい、でもできる人がいないみたいな話で僕にオファーが来て、カリキュラムを作って、晋平太とか何人か僕の信頼できるラップを教えられそうな先生を派遣して、月から金までラップの授業が毎日あるようにして、っていうのをやってたんで、それでラップトレーナーの話が来たって流れなんですね。

 来たお仕事を1個1個やっていく中で経験値が増えてって、結果もっと違うことができるみたいな、どんどん広がってるイメージ。プロデュース業とか、楽曲提供もいろいろやってて、それこそアイドルグループにも提供したし、『ラブライブ!』の女の子のグループにも書いたりとか。基本、僕に頼んでくれてるんだったらやっちゃうってタイプなんですよ(笑)。それによって、ヒップホップじゃない曲だったり、ラップを使ってこういう音楽を作れるなって経験値も積んだ中だったんで、ボーイズグループをプロデュースするなら、じゃあこういう曲がいいなとかイメージできるようになってたんです。だから自然とその能力が、いつの間にか備わったというか、鍛えられてたみたいな感じかもしれないですね。それに、僕が本当にボーイズグループとしてかっこいいと思うのはこういう曲っていうふうにやるのって、自分の本業の延長でありつつ、また違う軸で作曲ができてるんで、やりがいとかおもしろみがすごいあって。それはすごくいいですね。

――プレデビュー曲「Bringing Out」は割とファンクで、ヒップホップ的なところもありつつ、展開的にはK-POP的な変化もするっていう感じです。彼らをどういうふうに見せていこうとか、いろいろと考えたと思うのですが、こういう曲になった経緯は?

KEN やっぱり、僕がやるからには、ラップのラインが強いっていうのはすごくしっかりやりたいっていうのと。K-POP的な展開を多めの曲にしつつ、テクニカルなところで言うと、すごく低音が多い曲になってて。ああいう展開で高音重視でいくと、すごくK-POPっぽい曲の雰囲気になるんですけど、もうちょっと僕らのカルチャーの良さを出していきたかったから、サビとかでもそこまで高い音は使わないで、クールさみたいなのを常に意識していく、みたいなラインで作ってて。

 もう1曲、「Boom Boom Boom」って曲もあるんですけど、最初にこの2曲を作っちゃってて、ミドルテンポのヒップホップっぽい曲と、速さのあるファンクっぽい感じので、どっちがデビューに合うかな?って同時進行でやってて、やっぱり最初は軽快な感じのほうが勢いが出るかなって最終的にジャッジしたんですね。こういうアプローチだったら、K-POPの良さも、僕らのカルチャーの良さも、どっちもうまく使えていくんじゃないかなみたいに思って。それを具現化していったって感じですね。

――「Bringing Out」は、三代目J Soul Brothers「Share The Love」などからYZERRとのコラボでも知られるDirty Orangeさん、そしてBTS「Lights」を始め、ØMI(登坂広臣)やJO1なども手がけるYoheiさんと共に制作してますよね。ヒップホップとかクラブカルチャー、アンダーグラウンドなものもわかりつつ、メインストリームなものもちゃんと狙える人たちが集まりました。

KEN Dirty Orangeは元々ANNE Beatsって名前で、もう10年ぐらい前かな? 僕も何曲も一緒にやってるんですよ。彼が(現在所属している)Digz,inc.に入る前にずっと一緒にやってたプロデューサーで。今Digzに入ってDirty Orangeって名前で大活躍してるんですけど、ずっと仲良くやってたんで、こういうときに一番僕の思いを汲んで一番いいバランスでやってくれるんですよ。トップラインを一緒にやってるYoheiも、Ymagikという名義で僕と客演とかよくやってる。今はTINYVOICE PRODUCTIONでいろいろ韓国のトップアーティスト周りとかもやりながら、でも、クラブアーティストとしては僕と一緒にやってたり。だから、超近いところというか、自分の曲作るときとほぼ体制は変わんない(笑)。アウトプットが全然違うけど、作ってる人は一緒、みたいな感じなんです。だからやりやすいし、逆に彼らがいるからできるんだって思ってたのもあったんで、やりがい持ってできてます。(2/5 P3はこちら

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