『ちむどんどん』暢子と自己中すぎる和彦の“お似合い”カップル爆誕?(第14週)
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俺が稼いで店を持たせてやる、という智(前田公輝)からのプロポーズを「うちの夢は、うちが自分の力でかなえんと!」と断った暢子(黒島結菜)。あれはよかったですね。高い枝に実ったシークワーサーを他の人に取ってもらっても「うちが自分で取りたい」と何度もジャンプしていた、幼い頃の暢子を思い出しました。あの頃から、夢は自分でかなえたい女の子でしたよね。
しかし、主人公のよかったところがこのセリフひとつしか思いつかず、彼女をとりまく人物にもいいところを見つけるのが難しい。「このふたりがくっついてほしい~」という感情が湧かないままで恋愛パートがとうとう3週目というのは、なかなかヘビーな状況です。数少ないこのドラマの良心のひとりだった愛(飯豊まりえ)はとうとう退場し、もうひとりの良心だと思っていた善一(山路和弘)は、母・優子(仲間由紀恵)への下心から比嘉家に尽くしてきた、ただの気持ち悪いおじさんに見えてきてつらい。
そして智をこっぴどく振った暢子が言う「夢」の内容がよくわからないことがまたつらい。暢子が働くレストランがすばらしい店で、オーナーが素敵に見えたら、オーナーのように自分の店を持って料理の道を極めたいという彼女の夢が理解できると思うんですけど、なんか、どれもピンとこない。人気の店なら、ベテランの3人が急に辞めたら大変なことになりそうなのに、オーナーが厨房で大活躍してさらっとピンチを脱してしまう……。その力、シェフが両足骨折の時は微塵も出さなかったのはなぜ。そして辞めても店に影響がない矢作(井之脇海)、なんのために存在していたのか矢作。厨房で働く人たちはコミュニケーションをとらず、バラバラと働き、チームとして形にならず、年に一度の特別なリゾットについてさえ情報を共有できていない。そんなお店に、あこがれるかなあ。オーナーの接客もよくわからない。父の再婚話にショックを受けている娘さんに、亡き母の思い出の料理をまた出すのはなぜ。これで娘が笑顔で許してくれるのはなぜ。若い看護婦さんと再婚できることになったお父さんだけがハッピーな展開と、オーナーさすが!乾杯!っていう流れが、何度見返しても理解できず……。これで「すごくいい店! オーナーすてき! うちもいつか!」ってキラキラできちゃう暢子の夢を、どう応援したらいいのかわからない。
もっとわからないのは暢子の恋。男二人が角力(すもう)で争い、勝った賞品として女を手に入れる的な展開を2日もかけて見せられて、どうちむどんどんすればいいのか。そして「ふたりの女の間で揺れる僕」みたいな気分でいるらしい和彦(宮沢氷魚)のどこがいいのか、全然わからない。
とりあえず和彦は「相手の話を最後まで聞く」という、人として最低限の常識を身につけてほしい。「実は、相談があるんだけど……」という愛をさえぎって自分の話。倒れた翌朝の「あまゆ」で「おはよう、体調は?」と気遣われてるのに、挨拶しない。会社で話を切り出した愛にいきなり「ごめん、全部なかったことにしてくれ」……なんでそんなに「僕が僕が」なんだ、まず黙って聞け、とお説教したくなります。取材先でもこんなふうに話を聞かないんでしょうか、新聞記者として大丈夫なのかこの人。沖縄で取材なんてできるのか。こんな和彦と長年つきあって「ダメだこいつ会話にならない」と悟った愛が話し合いを諦めて「要点をまとめてみました」と手紙を渡すところ、彼女の今までの苦労を察して、ほんとにおつかれさまって思いました。ダメな男とずるずる付き合うことってあるよねー。「資格がない」とか綺麗ごとしか言えない、自分の心変わりを認める度胸もない男と、愛ちゃんは結婚しなくてほんとによかったよ。そして別れたその日のうちに、暢子に好きだと言い、暢子が智と結婚しないと知ったらそのまま同じ下宿に住む和彦、よくここまで最低最悪さを更新し続けるなと逆に感心します。
ということで「人の話をさえぎって自分の話をする二股男」と「えーそんなぁ私全然そんなつもりないです~と言いながら、欲しいものをすべてかっさらっていく女」という、現実にいたら絶対友だちになりたくないふたりがカップルとして爆誕しそうなんですが……朝ドラヒロインの恋、これで本当にいいんでしょうか。
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NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:黒島結菜、仲間由紀恵、大森南朋、竜星涼、川口春奈、上白石萌歌ほか
作:羽原大介
音楽:岡部啓一、高田龍一、帆足圭吾
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:高橋優香子、松田恭典
広報プロデューサー:川口俊介、鈴木 葵
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
制作:NHK
公式サイト:nhk.or.jp/chimudondon
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