『ちむどんどん』暢子と和彦、自分勝手なふたりの恋愛編はまだ続く…(第13週)
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主人公・暢子(黒島結菜)が和彦(宮沢氷魚)への恋心に気がついたけれど、彼には長く付き合っているお似合いの恋人がいる。せつなくて、見ている私たちまで、毎朝ちむどんどんしちゃう……。って言えたら、よかったんですが。引き続き何のときめきもないまま、「どうしてなの?」と、テレビ画面に向かって何度も問いかける1週間となりました。
和彦は、恋人の愛(飯豊まりえ)にプロポーズもせず、かと言って別れることもせずに「愛の意志を尊重する」などと自分で決めることから逃げ回り、その裏で「みんなで海に行こう」とはしゃぐ暢子に「ふたりでも、いいけど」とか言い出すし。これは完全に二股、それもきっとあとで「俺が誘ったわけじゃないんだけど~」って逃げる、曖昧匂わせパターンですよ。この男のどこがいいんだ暢子。いくら中身が宮沢氷魚さんでも、「かっこいいから仕方ないわあ」で許せる限度を軽々越えちゃってますよ。
しかしそんな暢子本人も、やってることは五十歩百歩。愛がわざわざ自分を訪ねてきたのに、一方的に「うち、和彦くんのことが好き」「でもさ、諦める!」と、自分の話からスタート。それを愛に言って、どうしてもらいたいの?? 本当に恋を諦めるつもりなら、誰にも言わずに黙ってればいいのに。秘密を抱えてる辛さを、愛に肩代わりさせただけじゃない? そして、人の心を察しすぎる愛は、暢子の告白を聞いて、話したかった言葉を飲み込んでしまう。暢子のように好き勝手になんでも言える人たちって、周りがそれを許して我慢してるから、自分が思う通りに発言できていることに気づいてないですよね……。
そんななんでも必要以上に言っちゃう暢子が、智(前田公輝)には必要な言葉を言わないままなので、彼はひとりで結婚に向けて暴走の真っ最中。ひたむきに夢に向かって努力していた智が、こんな人になってしまうなんてあんまりだ。暢子が自分の気持ちを智に言えないのは、相手の辛い顔を見たくない+悪者になりたくないからで、ずるいなあ。決断を人に任せて自分は逃げるところが和彦とよく似てる。やっぱり、似たもの同士のふたりくっついてしまえば、物語に平和が訪れて、いいんじゃないですかね……早く智を暴走レールからおろして、解放してあげてほしい。
そしてレストランでは、またもや暢子によって食べものが次々ダメになっていくバイオレンスが。女性が恋をすると仕事が疎かになり、料理を焦がしたり皿を落とすなどの失敗をする……こういう描写は、昭和か、せめて平成で終了したと思ってたんですが。恋も仕事も、生活の一部。誰かを好きになるたびに仕事がうまくいかなくなってたら、暮らしていけないですよね。なぜか暢子も愛も、「恋・結婚」と「仕事」のどちらかを選ばなければいけないという前提で話が進んでいますが、「この時代はそれが常識とされていた」というよりも、暢子のたびたびの失敗を描くことで、この物語の作り手が「女性には恋と仕事の両立はできない」と思っているように見えてしまうのが困ったところ。今後、愛が「私は仕事にちむどんどんするわ!」と言って和彦と別れたら、ますます「女性はどちらかをあきらめるしかない」という話になってしまう。それでいいのかなあ。
いろいろともやもやしつつも、歌子(上白石萌歌)が沖縄民謡に目覚めるシーンは美しかったですね。お父ちゃんの元師匠は、なぜ今突然訪ねてきたのかという疑問は残りますが、登場人物が冷凍保存されて数年後急に解凍されて現れるのは、『ちむどんどん』世界ではよくあること。ちょうど都合よく良子夫妻も仲直りしたみたいだし、子守もしなくていいってことになるんでしょうね。よかったよかった。元師匠が現れたことで、亡くなったお父ちゃんの謎の経歴が少し見えてきた。「戦後、房子さんのもとで料理人→沖縄に戻り結婚、この頃民謡歌手を目指していた?→やんばるでさとうきび畑の農家、借金いっぱい」こんな感じでしょうか。この職業の脈略のなさと放浪する様子、お金儲けの下手さ……お父ちゃんはつまり「穏やかな賢秀」なのでは。ああ、親子。
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NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:黒島結菜、仲間由紀恵、大森南朋、竜星涼、川口春奈、上白石萌歌ほか
作:羽原大介
音楽:岡部啓一、高田龍一、帆足圭吾
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:高橋優香子、松田恭典
広報プロデューサー:川口俊介、鈴木 葵
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
制作:NHK
公式サイト:nhk.or.jp/chimudondon
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