『宇宙兄弟』『ゴールデンカムイ』『コナン』…マンガ界でもロシアの扱いが難しくなる?
#ゴールデンカムイ
2月24日に開始されたロシア軍によるウクライナ侵攻を受けて、世界のスポーツ界ではロシア排除の動きが活発化している。
IOC(国際オリンピック連盟)やFIFA(国際サッカー連盟)、ISU(国際スケート連盟)など各競技連盟がロシアおよびベラルーシ選手団の国際大会出場を続々と禁止。さらに、テニスの四大大会で、6月下旬開幕のウィンブルドン選手権の主催者が、ウクライナ侵攻を理由にロシアとベラルーシの選手を排除することを発表する見通しだと4月19日、米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。
ここ日本でも先日、JR恵比寿駅のロシア語の案内表示について一部から「不快だ」などとクレームを受けたとして、JR東日本が一時紙で覆い隠した問題も起こった。
世界中で「ロシア=悪」というイメージがついている状況だが、一部ではマンガなど創作物への影響も懸念されているようだ。サブカル誌ライターが言う、
「たとえば、現在連載中の人気マンガ『宇宙兄弟』(講談社)では、現在アメリカNASAの宇宙飛行士の南波六太とロシアの宇宙飛行士の南波日々人の兄弟が月面で感動の再会。両国が協力してレスキューミッションを進めるシーンが描かれています。しかし、ネット上では『これはロシアがウクライナ侵攻しなかった世界線の話なんだな……というなんとも言えない寂しい気持ちになる』『こちらでは、ロシアとアメリカが協力して月ミッション進めてるんだよなぁ。 うぅむ』など、すんなり読めなくなったという感想も聞こえます」
また、4月28日発売の週刊ヤングジャンプ22・23合併号(集英社)で完結する人気マンガ『ゴールデンカムイ』は、実写映画化が発表されたことでも大きな話題を呼んでいるが、こちらはロシアの話がふんだんに盛り込まれている。
「日露戦争、ロシア、樺太、アイヌなどデリケートな題材を扱っているだけに、この情勢下では非常に描写しづらい。下手をすれば大炎上する可能性があるものの、それを恐れて萎縮していたら作品の質がおかしくなりそう。どういう形で実写化されるのか、注目が集まります。
また、『キン肉マン』(集英社)に出てくるウォーズマンや、人気格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズのザンギエフ(厳密には共にソビエト連邦出身設定)など、これまで多くの作品にキャラの立った『ロシア人』がいました。しかし、今後は描き方に作者が気を遣うようになるかもしれません」(前出・サブカル誌ライター)
ある”転生マンガ”も取り沙汰された。
「『ライドンキング』(講談社)という作品は、プルジア共和国という架空の国の終身大統領アレクサンドル・プルチノフが異世界転生するという話なのですが、見た目がプーチン大統領そっくり。『プーチンの異世界転生マンガ』として話題になりましたが、今回の軍事侵攻を受けて『今までネタとして楽しめたけどもう笑えない』『打ち切りにしろとは言わないが、さすがにもう読む気に全くなれない』といった声も出ています。ちなみに担当編集者は以前、モスクワの取引先に冗談半分で紹介したところ爆笑されたそうですが、出版の可能性について訊くと『絶対殺されるからダメ』と言われたとか」(前出・サブカル誌ライター)
実際、ロシアは以前から日本のマンガやアニメを規制しており、その数の多さでは世界屈指と言える。
「とりわけ異形の者や異世界を扱う作品が規制されやすく、『デスノート』『東京喰種トーキョーグール』『いぬやしき』『進撃の巨人』は発禁扱いです。表向きは『エピソードのほとんどが残虐行為、殺人、暴力で構成されているから』という理由ですが、『目に見えない世界』に多くの人が惹きつけられることが、プーチン政権にとって大きな脅威になるからと見られています」(エンタメ誌ライター)
現在、大ヒット公開中のアニメ映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』でも、“ロシアの爆弾魔”が登場しているが、ロシア(人)を善で描くのも悪で描くのもデリケートな問題になったことで、今後は2次元の世界でも「ロシア排除」の流れとなるのだろうか。
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