『ミスなか』は令和版『古畑任三郎』になるか? フジお得意の“変人ドラマ”に新風
#ミステリと言う勿れ
菅田将暉が主演を務めるフジテレビ系月曜ドラマ『ミステリと言う勿れ』が、1月10日夜の“月9”枠でスタートする。原作は累計発行部数1300万部を突破している同名漫画で、待望の実写化となる初回は90分スペシャルだ。
菅田が演じる主人公は、ふわふわの天然パーマがトレードマークの大学生・久能整(くのう・ととのう)。マイペースでどこか淡々とした整がさまざまな事件に遭遇するミステリー作品だが、緊迫した展開やシリアスな場面はあまりない。さらに、たびたび事件に巻き込まれる整には「解決してやろう」という熱意もない。ただ「僕は常々思うんですけど……」と目の前で起こる出来事に対して独自の見解を述べることで、なぜか人の心を緩ませ、次第に事件を解決に導いていくという一風変わったストーリーだ。
原作中、屁理屈のような言動でたびたび煙たがられている整。こうした「変わり者」が事件を解決するタイプのミステリードラマはフジテレビの十八番でもある。
フジテレビの代表的な“変人ミステリードラマ”といえば、まず挙げられるのは90年半ばから12年もの歴史を築いた『古畑任三郎』シリーズだろう。名優・田村正和が演じた警部補・古畑任三郎の独特の佇まいはドラマ史に語り継がれる名演であり、脚本は今期の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』も手がけている三谷幸喜。巧妙なトリックや、事件の背景にある人間の心理にも迫る推理劇で日本のミステリードラマの王道をつくったと言っても過言ではない名作だ。
また、東野圭吾の推理小説を原作とした月9『ガリレオ』シリーズもフジテレビが誇る変人ミステリードラマのひとつだ。主人公は「変人ガリレオ」と呼ばれる大学の准教授・湯川学(福山雅治)。科学的根拠や論理的思考に強いこだわりを持ち、興味のある事件が持ち込まれると「実におもしろい」と身を乗り出すこともある。ドラマは2007年に始まったが、2022年9月には9年ぶりの実写『ガリレオ』復活となる、劇場版第3弾『沈黙のパレード』が公開予定となっており、原作小説とともにこちらも人気の長寿シリーズだ。
そんな時代を超えた変人ミステリーと比較しても、『ミステリと言う勿れ』は、『古畑』や『ガレリオ』と肩を並べる可能性を秘めている。原作が尊重されるならば、謎解きを楽しむだけで終わらない、令和の時代のメッセージ性が強く込められた新鮮なドラマになることだろう。モラルや価値観のアップデートが早い現代、少し前は疑いもしなかった既成概念のミステリ(不思議なこと、怪奇なこと)に疑問を投げかける整のありかたは見習うものがある。謎解きの先に私たちが生きる世界と結びつけて考えるものを与えてくれる、教えられるものがある作品は貴重だ。ドラマ化を皮切りに、長く愛されるシリーズに成長してほしいと願わずにはいられない。
■番組情報
月曜ドラマ『ミステリと言う勿れ』
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、門脇麦、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一 ほか
音楽:Ken Arai
脚本:相沢友子
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵(大映テレビ)
演出:松山博昭、品田俊介、相沢秀幸
主題歌:King Gnu 『カメレオン』 (ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビ 第一制作部
公式サイト:fujitv.co.jp/mystery
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