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同性愛を“不毛な恋”として扱う描写も…TBSドラマ『ハンオシ』の価値観は古すぎる?

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ドラマ公式サイトより

 現在放送中のTBS系火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』のとある描写が波紋を呼んでいる。

 『婚姻届に判を捺しただけですが』、通称『ハンオシ』は、有生青春(ゆき・あおはる)による同名マンガを原作としたラブコメディ。おひとりさまを謳歌していた主人公・大加戸明葉(清野菜名)が、ひょんなことからイケメンエリート広告マンの百瀬柊(坂口健太郎)と“偽装結婚”を申し込まれ、同居生活を始めるといったストーリーだ。

 百瀬が明葉に偽装結婚を申し込んだ理由、それは「“結婚できない人”を想っており、その人をずっと好きなままで生きるため」。片思いの相手に自分の気持ちを気づかれ、避けられたり気を遣われたくないという百瀬は、自分が既婚者になれば、周囲から「いつ結婚するんだ」と詰められることもなく、相手をずっと想い続けられると考えた。明葉はそれを「不毛な恋の隠れみの」と呼び、百瀬も「ドンピシャなキャッチコピー」と認めていた。

 そして、ここからが第2話で波紋を呼んだシーンだ。不毛な恋の相手が誰なのかを知らない明葉は、百瀬がその相手と抱き合っている妄想を始める。1人目は、薬指の指輪が光る既婚者女性。不倫は不法行為のため、これが不毛な恋として描かれるのはまだ納得がいく。しかし、2人目に出てきたのは、がっちりとした体格のホットパンツを履いた男性。すると場面は現実の明葉に切り替わり、口に手を当てながら「その可能性もあるか……」と目を泳がせていた。

 このシーンに対して、ネットでは「同性愛は不毛な恋なんか? あれは何? 意図がわからん、悪意か?」「同性愛妄想の表現、え、今何時代でしたっけ?ってくらい偏見ダダ漏れだったのとても嫌な気持ちになった」「前半部分観てたけど主人公の妄想シーンと会社の人たちのセリフに『価値観、古くね??』とイライラしちゃって観るのやめた」などと批判の声が上がっている。

 多様性の時代に同性愛を不毛な恋として扱ったのは、何か今後のストーリーにつながるような意図があるのだろうか。また、明葉の妄想として画面に映し出された同性愛者は、いわゆる一昔前にステレオタイプ的に描かれていたゲイのイメージ。実際のゲイがそのような容姿の人ばかりではないことは周知の事実だろう。ちなみに補足しておくと、原作にはこのようなシーンはなく、ドラマオリジナルである。

 そもそも、主人公である明葉は現代の価値観を投影したキャラクターだ。仕事が楽しくて結婚には興味ない、自分のためにお金を使い、ひとりで自由気ままに生きていく。「女性の幸せは結婚」という価値観に縛られず、多様性を肯定して生きてゆくその姿に、頼もしさを感じた視聴者も多かったはずだ。それなのになぜ、性の多様性は尊重しなかったのだろうか。

 違和感が残るこのシーンが、今後のストーリーで生きてくることを願いたい。

■番組情報
火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』
TBS系毎週火曜22時00分~
出演:清野菜名、坂口健太郎、倉科カナ、高杉真宙、前野朋哉、中川翔子、笠原秀幸、小林涼子、森永悠希、長見玲亜、深川麻衣、岡田圭右、木野花、田辺誠一 ほか
原作:有⽣⻘春「婚姻届に判を捺しただけですが」(祥伝社「フィール・ヤング」連載中)
脚本:田辺茂範、おかざきさとこ
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
プロデューサー:松本明子、那須田淳
主題歌:あいみょん「ハート」(unBORDE/Warner Music Japan)
演出:金子文紀、竹村謙太郎 ほか
編成:宮﨑真佐子
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hannoshi_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2021/11/02 19:00
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