ジャニーズがまごつく間に…LDHの「3組同時デビュー」と“戦略”のアップデート
#LDH #ボーイズグループ
「Jr.EXILE」から「NEO EXILE」世代へ――。8月23日、LDHの新たなグループが本格始動する。
LDH史上最大規模のオーディションとなった『iCON Z ~Dreams For Children~』の男性部門・第二章から誕生したKID PHENOMENON(キッド・フェノメノン)、THE JET BOY BANGERZ(ザ・ジェット・ボーイ・バンガーズ)、WOLF HOWL HARMONY(ウルフ・ハウル・ハーモニー)の3組だ。
『iCON Z』からは男性部門・第一章からは6人組のLIL LEAGUE(リル・リーグ)がグランプリに輝き、2023年1月11日に『HUNTER』でひと足先にデビュー。そして今度は上記の3組が同時デビューを果たし、総勢27名の新世代がシーンに登場したことになる。
ボーイズグループの「同時デビュー」といえば、まず思い出されるのが、ジャニーズ事務所によるSixTONESとSnow Manの2組同時デビュー(2020年1月22日)だろう。両者のデビュー曲を収録するスプリットシングルの発売という形を取ったこともあり、発売3日でミリオン突破(オリコン発表)という抜群のインパクトを放った。直近では、ジャニーズJr.の“デビュー有力候補”3グループが同時デビューするのではと一部でささやかれていたが、奇しくもその「3組同時デビュー」をLDHが先んじて実現させた形だ。
スプリット盤ではないが、所属レーベルがソニー・ミュージックレーベルズ(KID PHENOMENONとTHE JET BOY BANGERZ)とエイベックス(WOLF HOWL HARMONY、厳密にはエイベックス内のrhythm zone所属)に分かれるのもSixTONESとSnow Manの2組同時デビューを想起させる部分でもある。
この「NEO EXILE」世代でまず特筆すべきは、若さだ。LIL LEAGUEは最年少は14歳、最年長は18歳で平均年齢15.5歳。KID PHENOMENONも、最年少は15歳で最年長は20歳の平均年齢16.8歳になる。THE JET BOY BANGERZとWOLF HOWL HARMONYにはそれぞれ、LDHの6人組・DEEP SQUADとの兼任メンバーや、世界初のプロダンスリーグである「D.LEAGUE」で活躍するダンサーたちといった「プロ」も加わっており、THE JET BOY BANGERZは平均年齢21.1歳、WOLF HOWL HARMONYは平均年齢24.8歳と、グループそれぞれ微妙に世代が異なるのも興味深いところ。
だが特に10代グループ2組が投入されたことは目を引く。ボーイズグループ戦国時代の現在においても、ここまで若いグループは珍しい。今年6月27日、Snow Manのラウールが20歳の誕生日を迎えたことで、ジャニーズの「デビュー組」から10代が消えたことが話題になった。さらに“デビュー有力候補”とされるHiHi Jets、美 少年、Aぇ! groupの3組ですら、10代は美 少年の金指一世(19歳)ひとりのみという状態で、偶然とはいえ、“ジャニーズの高年齢化”が指摘されるタイミングでLDHは平均年齢15.5歳と平均年齢16.8歳のグループをデビューさせた形だ。今回のオーディションで最終審査に残ったうちの8割が、LDHが経営するスクール「EXPG STUDIO」出身者とのことだが、LDHイズムが刻まれた即戦力を生み出す同校(国内12校・海外3校)の存在も、10代グループのデビューを実現させた背景にあるだろう。なおEXPGは、TWICEのサナや、元NCTでRIIZEのショウタロウ、&TEAMのKなどK-POPグループの日本人メンバーを始め、JO1の大平祥生・佐藤景瑚、NiziUのリオなども輩出している。
アップデートされていくLDHのデジタルプロモーション
KID PHENOMENON、THE JET BOY BANGERZ、WOLF HOWL HARMONYの3組同時デビューでおもしろいのは、これまでのLDHグループの「売り出し方」を踏襲しつつ、さらに時代に即したアップデートがなされている点だ。
たとえば3組は8月21日にデビュー曲のミュージックビデオを公開したが、時間を決めて「メンバーと一緒にミュージックビデオを観ましょう」と呼びかけたり、メンバーがコメント欄に登場して返信するというコミュニケーション手法は、Jr.EXILE世代がやってきたことを踏襲している。リリースに伴ったスケジュールの事前公開や、ミュージックビデオの再生回数に応じた企画なども同様だ。
また、3組はそれぞれ、事前にファンネームを発表している。K-POPが世界的な成功を収めて以降、「ファンダム」と呼ばれる熱心なファン集団の形成が意識されるところだが、ファンダムネーム=ファンネームを付けることは、ファンダム形成にとっては大切な一歩。LDHでは、2021年11月にGENERATIONSがファンネームを「DREAMERS」にすると発表し、今年に入ってTHE RAMPAGE、FANTASTICS、PSYCHIC FEVERら他のJr.EXILE世代グループもファンネームを決定・発表してきた。その流れに従い、LIL LEAGUEを含むNEO EXILE世代の4組もそれぞれファンネームを決定しているのだ。
そしてここに新しく加わったのが、「応援の仕方」をファンダムに向けて事前に説明するという戦略だ。『iCON Z』や3組それぞれの公式SNSアカウントにて、「ビルボードジャパンのHOT100でトップ10入り」という具体的な目標を掲げ、ビルボードの集計対象期間などを説明し、ダウンロードやストリーミング、ラジオ、YouTubeなどそれぞれにおいてどういう行動をすればよいのかを指南している。一方で「一番大切なのは自分のペースで楽しむこと」と、過剰な“推し活煽り”とならないような配慮を見せてもおり、特にアイドル方面においてCD文化が根強い日本においては、ストリーミングなどに関する具体的な案内や、こうした“推し活”に不慣れなファンの心理的ハードルを下げる試みは、注目すべきところ。LDHのオリジナル番組などを配信する「CL」では、KID PHENOMENONの番組『キドフェノ学園』が始まったが、第一弾企画が「サブスクを学ぼう」なのも象徴的だ。
3組はCDも発売し、LDH伝統のプロモーションツアー「夢者修行」で売り出していく。21日深夜放送の『プレミアMelodiX!』(テレビ東京系)は3組をフィーチャーした回となり、また美容メディア「VOCE」(講談社)とのコラボレーションで「次世代スター発掘人気投票」という企画を行い、3組21人の中からトップ3の得票者がデビュー前に表紙を飾るという仕掛けも行われている。こうした旧来型のプロモーションと並走して、上記のようにデジタル分野にも注力しているのだ。3組のプレデビュー曲では、WOLF HOWL HARMONYの「LOVE RED」が今年2月、Spotifyの国内週間バイラルチャートで3週連続1位を達成している。CDセールス頼みではない国内ボーイズグループというのは残念ながらまだまだ少なく、このLDH新世代の活躍は新たな潮流を起こすか。
ビルボードジャパンのHOT100でトップ10入りを果たしたグループは、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌にてメンバーのビジュアルを使用した広告枠が展開されるほか、全国紙の新聞一面広告も掲出されるという。この「3組同時デビュー」がどれほど盛り上がるのか、注目したい。
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