トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 進化を続けるクローネンバーグ映画
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.750

“変態詩人”クローネンバーグの集大成『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』

クローネンバーグ組となったヴィゴ・モーテンセン

“変態詩人”クローネンバーグの集大成『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』の画像5
ヴィゴ・モーテンセンは『危険なメソッド』以来となる4度目の出演

 ヴィゴ・モーテンセンが『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(05)から参加するようになり、クローネンバーグ作品はステージが一段上がった感がある。

渡邉「初期のクローネンバーグ作品は、主演俳優が毎回変わっていました。『戦慄の絆』のジェレミー・アイアンズは『エム・バタフライ』にも主演していますが、ヴィゴ・モーテンセンは今回で4作目。クローネンバーグ組と言っていいんじゃないでしょうか。ヴィゴが出演するようになって、女性ファンも増えました。とりわけ『イースタン・プロミス』には驚きましたね。まさかクローネンバーグ監督がノワールものを撮るとは思わなかったし、感動もしました。作品ごとに変わっていくところもクローネンバーグ監督の魅力ですが、今回は初期作品に戻ったような内容になっていて、ファンとして感慨深いものがあります」

 最後に、渡邉氏の推すクローネンバーグ作品を3本挙げてもらった。

渡邉「基本的にどの作品も好きですが、クローネンバーグらしいという点では、やはり『ビデオドローム』。キャリアの転機になった作品として『裸のランチ』も外せません。もう一本、個人的に推したい作品は『ファイヤーボール』(78)です。カーレースの世界を描いた作品で、ホラー映画ではありません。レンタルビデオで観たときは、クローネンバーグらしさを感じられずにいたんですが、劇場で昨年観直したところ、すごく面白かった。最後のリアルな爆破シーンをスクリーンで観て、腑に落ちるものがあったんです。再見するたびに新しい発見があるところも、彼の作品の面白さだと言えるかもしれません」

 クローネンバーグ作品が進化の果てに辿り着いた境地は、はたして快楽のパラダイスか、それとも生き地獄か。本作を観た人たちの体内にも、クローネンバーグ監督が生み出した「未来犯罪」がうごめき始めるに違いない。

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
監督・脚本/デヴィッド・クローネンバーグ
出演/ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュアート、スコット・スピードマン、ヴェルケット・ブンゲ、ドン・マッケラー、ヨルゴス・ピルパソプロス、タナヤ・ビーティ、ナディア・リッツ、リヒ・コモフスキ、デニーズ・カペッツァ、タソス・カラハリオス
提供/東北新社、クロックワークス 配給/クロックワークス、STAR CHANNEL MOVIES PG12 8月18日(金)より新宿バルト9ほか全国公開
©Serendipity Point Films 2021 / ©SPF(CRIMES) PRODUCTIONS INC. AND ARGONAUTS CRIMES PRODUCTIONS S.A.
cotfmovie.com

【パンドラ映画館】過去の記事はこちら

最終更新:2023/08/10 19:00
123
ページ上部へ戻る

配給映画