テレビ各局が恐れる、ジャニーズによる「性加害問題で自粛」名目の音楽番組ボイコット
#ミュージックステーション #音楽番組 #ジャニーズ事務所
ジャニーズ事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害問題。5月14日には、藤島ジュリー景子社長が“謝罪”する動画と共に公式見解を示す文書を発表した。
これを受けて各局も定例記者会見などの場でジャニーズ事務所に対する見解を表明し始めているが、概ね「見守る」という慎重な姿勢を崩さない。
22日、日本テレビの石沢顕社長は「性暴力に関しては、あってはならないという大前提をベースに放送していく」としたうえで、「事務所としてやるべきことをしっかり進めていくのか注視したい」とコメントし、現時点で番組制作などへの影響は「ない」とした。
NHKの稲葉延雄会長も24日、「犯罪は許しがたい、決して許されないものだという態度で臨んできたし、その姿勢はいささかも変更ない」と明言しつつ、「ジャニーズ事務所が示した再発防止策がどう実行されていくか慎重に見守り、適切に対応していきたい」とコメント。同日、山名啓雄メディア総局長は、今後の『NHK紅白歌合戦』への出場について問われると、「紅白に関しては、3つのことで選考している。その年に活躍された方、世論の支持がある方、その年の紅白の企画演出にふさわしい方。それを元に選考させていただいている」と説明したうえで、「事務所さんのお示しされた再発防止策をどのように実行されていくのか、慎重に見守りながら、仮に紅白に選考するにあたっても、しっかりそういった対応をしていきたい」と話すに留まった。
フジテレビの港浩一社長は26日、「ジャニーズ事務所は、被害に遭ったと言われる方々がいらっしゃることを大変重く受け止めている。事実確認をしっかりと行い、真摯に対応しなければならない、という見解を表明されていますので、その推移を見守りたい」と説明。編成担当の大多亮専務は、「現状、ジャニーズ事務所のタレントさんが出演している番組に関して大きな変更は考えていません」と語り、港社長も「所属タレントに問題があったわけではない。変更予定はない。お付き合いという点では、推移を見守りながらやっている。今後はその都度判断していきたい」とした。
テレビ朝日の篠塚浩社長は30日、やはり「性加害は決してあってはならない。事務所が対応策をどう実行していくか注視していく」としたうえで、今後の事務所との付き合い方については「変更はございません」と明言。同局の『サンデーLIVE!!』で東山紀之がコメントしたことについては「東山さんにコメントしていただくのが自然だと考え、我々のほうから持ちかけた」と説明し、事前に東山が話す内容は把握していたと明かした。
TBSの佐々木卓社長は31日、「会社として謝罪し、対応を公表したと認識している。当社としても報道の現場の判断で適切な報道を行っております」「事務所さんの対応が発表されておりますので、その状況を見守り、様子を拝見していきたい」と語り、やはり「個人の方が問題を起こしたわけではない。キャスティングを変更することは考えておりません」と起用の方針に変更なしと明言した。
「NHKや民放からすれば、あまりジャニーズを刺激したくないのが本音です。もっとも恐れているのが、ジャニーズサイドから『自粛』や『お詫び』を名目に音楽番組への出演をボイコットされること。音楽番組は出演者によってコア視聴率などが大きく変動しやすく、アイドルの起用は必須。なかでもファンの母数の多いジャニーズタレントは重要で、どの局もジャニーズグループは積極的に出演させてきましたからね」(芸能事務所関係者)
とはいえ、NHKやTBSなど、ジャニー氏の性加害問題を取り上げる報道も出てきてはいるが……。
「一部では、一個人が行った犯罪であり、すでに故人なのだから事務所がそこまで対応する必要はないとの声も出ていますが、論点を見誤っている。無論、50年以上にわたって未成年者を中心に性加害を加えてきた事実だけでも十分に問題ですが、今回の件で一番の問題は、BBC放送や日本外国特派員協会での告発会見といった“外圧”があるまで、テレビも新聞もほぼダンマリ状態だったことであり、ジャニーズがメディアを支配している状況そのものです。
NHKは『クローズアップ現代』で取り上げましたが、大半は性加害問題の話で、なぜこれまで報じられてこなかったのかという背景についての言及は少なかった。フジの港社長がジャニーズ事務所への“忖度”問題について問われ、『忖度というようなことを考えてやっているというつもりはありません』と、“完全否定”とはいえないような発言をしていましたが、実際、テレ朝の『ミュージックステーション』など、あからさまに忖度が働いている番組は少なくない。2020年にDISH//の『猫』が大ヒットとなったとき、DISH//はようやく『Mステ』に出られることになったものの、テレビ朝日の上層部がわざわざそのことをジャニーズ事務所に“報告”したという話もあります。ジャニーズが出資・製作している番組ではないにもかかわらず、です。
1999年の『週刊文春』(文藝春秋社)の一連のキャンペーンをめぐる名誉棄損裁判で2003年、『セクハラ被害』(性加害)などについて真実相当性が認められた東京高裁の判決が確定してから数えても20年近くにわたって大手メディアは沈黙してきたわけで、このジャニーズ帝国の支配力、すなわちジャニーズと各局の共存関係こそ、今回の件の最大の問題。だが、どの局も、あくまでジャニー氏一個人の犯罪として『性加害は許されない』と語り、事務所の対応を見守るというコメントに留まっている。これでは大した変化は起こらないでしょう」(同)
夏は7月を中心に各局の音楽特番が放送され、『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)『音楽の日』(TBS系)『テレ東音楽祭』(テレビ東京系)『ライブ・エール』(NHK)などがあるが、こぞってジャニーズグループを複数組出演させるのが常。昨年の『音楽の日』はジャニーズ10組の出演も話題になったが、こうした光景も変わることはないのだろうか。
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