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『合理的にあり得ない』水野美紀の悪役っぷりも…話に粗が目立つ? 松下洸平“貴山”の過去に期待

『合理的にあり得ない』水野美紀の悪役っぷりも…話に粗が目立つ? 松下洸平“貴山”の過去に期待の画像
ドラマ公式サイトより

 騙しあり、ダーティープレーあり、鉄拳制裁ありとアウトロー要素が揃う、探偵と助手のバディによる痛快エンターテインメントを謳う天海祐希主演ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』(フジテレビ系)。5月15日放送の第5話は、第4話から登場した悪徳美容家・愛原樹里亜(水野美紀)を“成敗”し、ストーリー上はめでたしめでたしのはずだったが、細かいところでモヤモヤが残る消化不良回となった。

 元弁護士の女探偵・上水流涼子(天海祐希)のもとにやってきた今回の依頼主は、かつての因縁の相手である樹里亜。樹里亜は、涼子にとって探偵として初の依頼主だった西田真紀(市川由衣)の件に関わっていた。額の左側にあるあざを消すために樹里亜の美容クリニックを訪れた真紀は、樹里亜の施術でかえって悪化してしまい、責任を追及したが樹里亜は証拠を残していなかった。そんな真紀の依頼を受けて動いた涼子だったが、涼子も決定的な証拠を掴めず、樹里亜に「あんたごときじゃ一生私に勝てない」と鼻で笑われてしまう。しかも真紀は結婚を誓った相手に婚約破棄され、自ら命を絶ってしまったのだった。

 樹里亜が持ち込んだ依頼は、殺害予告をにおわせる脅迫状を送り付けられた自身の身の安全を守ること。再会して早々、樹里亜とののしり合う涼子は当然引き受ける気はなかったが、1000万円という高額報酬、しかも1日延長するごとに100万上乗せというこれ以上ない条件を提示され、涼子は引き受けることに。その裏には真紀の件を引きずっている涼子の思いがあった。身辺警護という形で樹里亜のそばにいる間に、悪事の証拠を掴もうと考えたのだ。

 涼子が警護につくと早速事件が発生。迎えの車が渋滞にはまって来られないため、歩いて移動する樹里亜が工事現場のそばを通ろうとした刹那、上から狙ったかのように鉄パイプが落下してきた。しかし樹里亜はこのことをすぐさまマスコミに公表し、同情を誘いながら、まさかの政界進出宣言。そこに真紀の元婚約者・滝本悟志(小久保寿人)が「悪魔! 魔女!」と叫んで乱入し、不穏な空気が漂う。滝本が着ていた作業着は、鉄パイプが落ちた現場の建設会社のものだった。

 涼子の助手・貴山伸彦(松下洸平)が滝本に接近すると、そこには意外な事実が。真紀は亡くなる直前、「これから樹里亜に会って決着をつける」とのメールを滝本に送っていたのだ。鉄パイプが樹里亜に向かって落ちた時も、滝本にはアリバイがあった。このあたりで事件のスジが見えていた視聴者も少なくなかったのではないだろうか。滝本にアリバイがあると聞いた樹里亜はやや意外そうな様子を見せ、「犯人に心当たりがあるんじゃないの?」と涼子に言われると、樹里亜はあっさり涼子をクビにしたが、樹里亜のもとに顔の左側が黒くなった人形が送り付けられると、樹里亜はなぜかこれまでの余裕しゃくしゃくの態度はどこへやら、すっかりおびえた様子でふたたび涼子を呼び寄せたのだった。

 真紀は断崖に靴と遺書を残し投身したとされるが、その亡骸は見つかっておらず、現場周辺の状況証拠をもとに自殺と断定されていた。筆者が前回記事で提唱したのは、自殺したはずの真紀が生きていて樹里亜への復讐をもくろんでいるとの説だが、ふたを開けてみると、これは半分正解だった。最初の脅迫状と鉄パイプの件は、政界進出を狙う樹里亜が、“逆境に負けない女”を演出するための自作自演。そして人形を送ったのが、真紀だった。涼子は、樹里亜が通うエステサロンにスタッフとして潜り込み、硫酸を樹里亜にかけようとしていた真紀を発見する。やはり真紀は生きていた。

 真紀は樹里亜との“決着”の日、樹里亜に後ろから岩で殴られ、殺されかけた。死んだと思った樹里亜は、気を失った真紀の身体を海に投げ捨てたが、奇跡に助かったのだった。涼子は樹里亜を連れ去り、真紀のフリをして樹里亜に殺人容疑を自白させようとする。しかし真紀が死んだものと思っている樹里亜は手強く、なかなか口を割らない。そこに真紀本人が登場し、樹里亜はついに「生きてるはずない! だってあのとき、私がこの手で殺したんだから!」と口にしてしまうのだった。

 ついに樹里亜を追い詰めた……と思われたが、樹里亜のふてぶてしさは想像以上。真紀が生きているのなら私は誰も殺してないと開き直り、「私、何にも悪くなくない? 大体、殺すつもりなんてなかったのよ。あんたがしつこいから悪いのよ!」と真紀を責め始める始末。呆れた涼子は、自白した映像とともに樹里亜を警察に発見させ、涼子に味方する元刑事の丹波勝利(丸山智己)のアシストもあって、樹里亜は真紀の事件で事情聴取を受けることに。だが、「上水流涼子。絶対忘れないから」と捨て台詞を吐くなど最後まで憎まれ役だった樹里亜。その後、罪に問われたのかどうか、劇中で明かされなかったのが気になるところ。明らかに反省の態度を見せなかった樹里亜を本当の意味で成敗できたかははっきりせず、モヤモヤが残る回となったが、樹里亜は涼子の宿敵として三度登場する……という可能性もありそうだ。

 モヤモヤといえば、滝本と真紀の再会は別の意味でモヤモヤさせられた。滝本は実は婚約破棄をしたつもりはなく、「結婚をやめよう」と言ったのは、「傷ついた真紀の気持ちが落ち着くまで一緒に待とうって意味だったんだ」「俺が真紀を好きになったのは顔や外見じゃない。心」と明かし、2人は再度結ばれることに。しかし、いくらなんでも言葉足らずすぎる。あざが悪化した直後に「結婚をやめよう」と言われれば、誰でも自分は捨てられたと思うだろう。貴山が最後に「2人が最初から本心を言い合ってればこんなことにならなかったのでは」とツッコんでいたのも納得だ。一命をとりとめた真紀が自分ひとりで復讐を遂げようとしていたのも、それだけ樹里亜が憎かったのだろうが、すぐに涼子のところに向かい、殺されかけたことを伝えていれば、もっと簡単に樹里亜を追い詰められただろうに……と思えた。

 樹里亜の事件に関しては粗が目立った印象だったが、作品としての折り返しを迎えるこの第5話では、貴山の新たな一面が明らかになる場面も。第3話からたびたび意識不明の父親が眠る病室にお見舞いに行っていたが、父親想いゆえの行動かと思いきや、意識を取り戻しかけている様子を見せた父に対し、「どうして! どうして母さんを殺した!? どうして佳純を殺した!?」「絶対許さない!」と胸ぐらをつかみかかり、「起きろ! 起きろ!」と取り乱していた。貴山がここまで激しく感情を見せたことがないだけに、その過去に何か重いものがあることがうかがえるシーンだった。

 第6話は外務副大臣も絡んでくるストーリーとなるようだが、貴山が抱える秘密と何か関連はあるのだろうか。涼子の過去の暴行事件といい、これまでちらついていた謎が後半戦でどのように明らかにされるのかを楽しみにしたい。

■番組情報
月曜ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオル ほか
原作:柚月裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』(講談社文庫)
脚本:根本ノンジ
音楽:眞鍋昭大
主題歌:ざきのすけ。「彼は誰どき」(ソニー・ミュージックレーベル)
プロデューサー:萩原崇、清家優輝
演出:光野道夫、二宮崇、倉木義典
制作協力:ファインエンターテイメント
製作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/arienai

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/05/22 12:00
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