『あなして』首位に迫る『王ささ』、日テレドラマは大苦戦…TVerドラマ人気ランキング
#教場 #あなたがしてくれなくても #TVer #王様に捧ぐ薬指
在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2023年3月には月間動画再生数が初めて3億回を突破し、TVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)も2739万の最高記録に達し、同4月にはアプリ累計ダウンロード数が6000万を超えるなど、もはや定番のサービスとなった。今や「見逃し配信」は当たり前となったが、やはりTVerではドラマが圧倒的に見られており、ドラマの見逃し配信需要がこのサービスを牽引していると言えるだろう。
しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。
そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。総合ランキングでの順位に対しポイントを付け、合計した結果から日刊サイゾー独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は4月22日(土)~4月28日(金)までを観測(1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェック)した結果をお伝えする。
『あなして』首位キープ、『王様に捧ぐ薬指』はフジのトップ3独占を破る
今回の結果は以下のとおり。
TBSドラマもランクインし、ほぼほぼ春ドラマが出揃ってきた。なお先週同様、集計期間が4月22日(土)~4月28日(金)であるため、23日スタートの『ラストマンー全盲の捜査官ー』などはまだ7日フルでの集計でないことはご了承いただきたい。
今週の本人気ランキングで首位を制したのは奈緒主演のフジ木曜劇場『あなたがしてくれなくても』。先週に続いて余裕のトップとなった。TVer総合ランキングでの1位獲得期間はさすがに短くなったものの、トップ3滞在期間は3日以上、TVer総合ランキングで常にトップ10に居続けているという相変わらずの強さを発揮している。なおTVer総合ランキングで10位より下に落ちない作品は、今期は『あなして』のほかには『王様に捧ぐ薬指』のみとなっている(途中スタートの『ラストマン』は除く)。なかなか話しづらいセックスレスという問題と、それに対する価値観の違うカップルの行動に対して、視聴者が語りたくなる(あの発言はありえない、とか、あんなこと言われると逆にプレッシャーになる、とか)ドラマになっているのも人気の秘訣ではないだろうか。
そして本人気ランキング第2位となったのは、先週の予想どおり、橋本環奈×山本涼介のTBS火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』。前述のとおり、TVer総合ランキングで10位より下に落ちない作品は、今期は『あなして』のほかには本作のみで、こちらもまたトップ3滞在期間が3日以上と強いが、1位滞在期間がわずかに『あなして』のほうが長いのと、『あなして』は最低順位が8位だったのに対し、『王ささ』は最低9位という形で、わずかに『あなして』に下回る動きだったことで2位にとどまった。だが、ここからの盛り上がり次第では首位を奪う可能性もじゅうぶんあるだろう。
3位は引き続き木村拓哉『風間公親-教場0-』だが、ポイント上では前週比50ポイントダウンとなっているように、他の春ドラマに圧されてやや動きが鈍り始めた。前週までは『教場0』もTVer総合ランキングでの最低順位8位だったのが、今週は12位と、トップ10から落ちる瞬間が出始めたのだ。TVerお気に入り登録者数は107万だが、以前から指摘しているとおりこれは『教場』『教場II』の過去シリーズからの登録者数が積み重なっている数字であり、完全新作の『あなして』がお気に入り登録者数93万人まで伸ばしていることを考えると、やや物足りないか。視聴率も右肩下がりなうえ、オリコンの「ドラマ満足度ランキング」でも(1位ではあるが)第2話で早くも10ポイントも満足度を下げている点も気がかりだ。
前週2位だった『わたしのお嫁くん』は今週4位に。前週も『教場0』とは2ポイント差という僅差だったため、逆転はじゅうぶんあり得たが、今週も11ポイント差程度なので、ふたたび『教場0』を上回ることもあるだろう。特に『わたしのお嫁くん』は、微増ではあるが視聴率が6.1→6.4→6.8と右肩上がりの好調ぶりを見せているのも好材料だ(世帯視聴率の増減の動きと、TVer総合ランキングでの動きは連動しやすい)。
今週5位には、『王ささ』同様に今週から7日間フル集計となった高畑充希×田中圭『unknown』が登場。前期の『星降る夜に』は本人気ランキングでトップを走っていたが、今回はやはり吸血鬼というファンタジー要素に引っかかる人が多く、脱落者が少なくない様子。放送前の段階ではサスペンス色を打ち出していたが、実際にはコメディ寄りに感じられるのも賛否を呼んでいる。往年の少女マンガ『ときめきトゥナイト』を思い出すとの声もあり、好みが分かれる作品と言えそうだ。
7日間フル集計となったところでは、天海祐希×松下洸平『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』もだが、こちらはあまり伸びず、今週7位に。カンテレ制作ドラマは、「トータルリーチ」の観点からNetflixなど多くのプラットフォームで配信されており、そのためかTVerでの伸びが弱い傾向にある。むしろ気になるのは山田裕貴×赤楚衛二×上白石萌歌『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』のほうか。TVer総合での最高順位は3位と勢いがいまひとつで、本人気ランキングでは今週8位となっている。
フジテレビドラマ絶好調の一方、日テレドラマは大苦戦
先週、今期の日テレドラマは昨年の7月期を思わせると指摘したが、予想以上の苦戦だ。
視聴率が早くも3%台に突入した高橋海人×森本慎太郎『だが、情熱はある』は、TVer総合ラキングでの推移もますます鈍っており、最高順位は4位、最低順位は27位。前週は2日以上あったトップ10滞在期間も、今週は2日にも満たず、さらに前週はトップ20以下の期間は1日のみだったのが、今週は4日以上にまで拡大。明らかに再生数が落ちており、本人気ランキングでは15位にまで下落した。
同じく不振なのが、芳根京子×重岡大毅『それってパクリじゃないですか?』で、こちらも視聴率が右肩下がりなのに合わせ、ポイントは前週比で100ポイント以上ダウン。前週6位から今週14位へ急降下となった。『それってパクリじゃないですか?』はトップ10滞在期間が前週は3日以上あったのに対し、今週は2日となく、『だが、情熱はある』と似たような推移に。トップ20以下の期間は前週ゼロだったのに対し(最低19位)、今週は3日以上となっている。
『だが、情熱はある』も『それってパクリじゃないですか?』も、日テレ深夜で好調な稲森いずみ『夫婦が壊れるとき』を下回っているだけでなく、倉科カナ×菊池風磨『隣の男はよく食べる』(テレビ東京)や、小芝風花『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日)といった深夜ドラマの後塵を拝しており、このあたりも昨年7月期の日テレドラマ(『家庭教師のトラコ』『初恋の悪魔』『新・信長公記』)の動向とよく似ている。
日テレGP帯ドラマで唯一気を吐いているのが坂口健太郎『Dr.チョコレート』だが、昨年のTBS日曜劇場『Get Ready!』に似ているという声以上に、これがデビュー作となる東宝シンデレラの白山乃愛(10歳)にいきなりのヒロイン役はやはり大役すぎるという声は多い。視聴率的には好調な滑り出しで、TVerでも総合ランキングで1位を取るなど、他のGP帯日テレドラマ(『それってパクリじゃないですか?』『だが、情熱はある』)に比べればいい滑り出しを見せているが、次週が正念場となりそうだ。
日テレが大苦戦している一方、フジドラマは『あなして』『教場0』『お嫁くん』と強い作品が揃っており、そこにTBSがどれだけ食い込むか。『あなして』『教場0』『お嫁くん』は先週トップ3を独占したものの、今週『王ささ』が2位を奪取する形となったが、7日間フル集計となる次週に『ラストマン』がどこまで順位を上げるかが気になるところだ。今のところかなり好調な動きを見せているだけに、TVerにおいても木村拓哉『教場0』との“キムフク戦争”は『ラストマン』に軍配が上がりそうな気配だが、はたして。
〈前回のランキングはこちら〉
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