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『星降る夜に』幸せいっぱいのラブストーリーに反して、重くのしかかる登場人物の過去

『星降る夜に』幸せいっぱいのラブストーリーに反して、重くのしかかる登場人物の過去の画像
『星降る夜に』TELASA配信ページより

 吉高由里子が主演を務めるテレビ朝日系火曜ドラマ『星降る夜に』の第4話が2月7日に放送された。産婦人科医・雪宮鈴(吉高由里子)と、遺品整理士のろう者・柊一星(北村匠海)のラブストーリーを描く本作は、ようやく想いの通じ合った2人の二度目のキスに「美しすぎる」「尊い」という声が多かった一方で、2人を取り巻く登場人物たちの複雑な過去が続々と明らかとなり、さらにラストシーンの不穏な展開に「ヘビーすぎる」「落差がすごい」と戸惑いの声も出ているようだ。

 着実に距離を縮めていく鈴と一星。第4話冒頭では、鈴が目にするものや今の状況をひとつひとつ手話で何と表現するか考える場面があり、鈴もすっかり一星との恋に夢中な様子。わからないものは一星にこまめに教えてもらったりと熱心に手話の習得に励む。そんな鈴に一星が「ゆっくり、ゆっくり」「頑張りすぎないで」と“ステイ”を伝えたりと、2人の関係は順調そのもの。最後にはデートのときに鈴が気に入っていた「星が降ってるみたい」なネックレスを一星がサプライズで渡し、お互いに好きと伝えあって静かにキスをした。

 鈴と一星たちは“胸キュン”に溢れたラブラブ展開を繰り広げた一方で、2人を取り巻く登場人物たちの複雑な過去が、本ドラマがただのラブストーリーではないことを思い出させる。今回は、一星の親友で、「遺品整理のポラリス」で働く佐藤春(千葉雄大)の過去の一端が明らかに。

 春は、妻のうた(若月佑美)が妊娠したことを知り、浮かない表情を見せる。そして春は1人で鈴らが勤めるマロニエ産婦人科医院を訪れ、いつまでなら中絶できるのかを妻の担当医・佐々木深夜(ディーン・フジオカ)に確認。春は自分が妊娠を喜ぶことができないことを打ち明け、自分の過去を語り始めた。春は遺品整理士になる前、大手食品会社に勤めており、うたは会社の同僚だった。意気投合した2人はすぐに結婚したが、うたは仕事でどんどん成果をあげる一方、春はうまくいかず、上司に叱責される日々。家には寝に帰るだけの多忙な生活に心身のバランスを崩し、退職してしまった。家にひきこもる春をうたは気遣うが、春はかえって「生きてるのも申し訳ない感じ」にまで追い詰められていった。やっと遺品整理士の仕事を見つけ、うたとも話ができるようになったが、ようやく社会復帰できた春にとって自分の現状は「今はまだ“そこ”」どまりであり、「とても人の親になんかなれない」と自信を持てないと語るのだった。

 これまで一星とは常にふざけ、明るい表情を見せてきた春だったが、第4話中盤では一転してその表情に暗い影が差した。「暗い顔すんなよ」と春を励まそうとし、子どもの名前を付けようかと言って名前でふざけ始める一星に、つかみかかりながら「俺はそんなに強くないんだよ!」と怒りをぶつける春には、驚かされたとともに、素直でや奔放に生きる、“強い”一星との対比が見ていて辛かった。春を演じる千葉は第1話放送当初から「太った?」との声が上がっていたが、鬱でひきこもっていたという設定を汲んだ役作りだったのでは、との指摘も出ている。

 鈴の部下で45歳の新人産婦人科医・佐々木深夜の過去も、重い。第3話で、10年前に妊娠中の妻が常位胎盤早期剥離となり、妻子ともになくしたことを打ち明けていた深夜。第2話では妊婦に自分の価値観を押し付けてはいけないと鈴らに諭されていたが、やはり子ども絡みでは冷静ではいられなくなるようだ。春に「先生は、お子さんができたとき嬉しかったですか?」と訊かれた際はポーカーフェイスで「僕は子どもがいません」と答えていたものの、その後に鈴に佐藤夫妻のことを相談した際、居合わせた看護師の蜂須賀志信(長井短)が春に共感し、「堕ろすっていう選択も、まぁ、あるよなって」と口にすると、深夜は「贅沢な悩みなんじゃないかな……目の前の幸せを大切にできないなんて」と反発。志信と一瞬、険悪な空気になりかけた。

 ほかにも、深夜と高校の同級生だったことが明らかになったポラリス社長・北斗千明(水野美紀)だが、北斗の娘・桜(吉柳咲良)が実は別れた夫の連れ子であり、夫は血のつながった娘を置いて別の女のところへ行ってしまったという過去も明かされた。本作のメインの登場人物たちはみな、波瀾万丈の人生を送っているようだ。

 順調な鈴と一星の恋の進展と、春とうた夫妻の妊娠に対する複雑な想いが交互に描かれた第4話。筆者を含め視聴者の心はジェットコースターに乗せられたかのように揺さぶられた。

 終盤でのバックハグからのキスシーンは、鈴の気持ちがちゃんと自分に向くまで“ステイ”できた一星の想いの強さが表現された名シーンだろう。だがその後に続くラストは、怒涛の急展開が押し寄せた。SNSに「雪宮鈴は人殺し」と投稿する何者かの存在。さらに、帰宅したうたが倒れ込み、荒い息遣いでお腹が痛いと訴える。幸せいっぱいのシーンからのこの落差には、目まいがしそうなほど。

 次回予告では、鈴の勤務先の産婦人科に「人殺し」「消えろ」という嫌がらせのビラが貼られたり、涙ながらにうたを心配する春の姿があったりと胸が痛むような映像が。まさに一星が言っていたように、「人生には予想もつかないことが起きる」展開となりそうだ。ストーリーも折り返しに近づき、第5話では今までの雰囲気とは打って変わってサスペンス色も強くなりそうだが、はたしてこの物語はどこへ向かっていくのか。今夜放送の第5話、見逃せない。

■番組情報
火曜ドラマ『星降る夜に
テレビ朝日系毎週火曜21時~
出演:吉高由里子、北村匠海、千葉雄大、猫背椿、長井短、中村里帆、吉柳咲良、駒木根葵汰、若林拓也、宮澤美保、ドロンズ石本、五十嵐由美子、寺澤英弥、光石研、水野美紀、ディーン・フジオカ ほか
脚本:大石静
音楽:得田真裕
主題歌:由薫「星月夜」(ユニバーサル ミュージック)
ゼネラルプロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、本郷達也(MMJ)
監督:深川栄洋、山本大輔
制作:テレビ朝日 MMJ
公式サイト:tv-asahi.co.jp/hoshifuru_yoruni

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/02/14 14:09
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