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『罠の戦争』杉野遥亮“蛯沢”が犯人候補に急浮上? 過去の真相はどう影響するか…

『罠の戦争』杉野遥亮“蛯沢”が犯人候補に急浮上? 過去の真相はどう影響するか…の画像
FOD配信ページより

 カンテレ制作・フジテレビ系列放送による草彅剛主演の月10ドラマ『罠の戦争』の第4話が2月6日に放送された。政治の世界に翻弄される議員秘書・鷲津亨(わしづ・とおる)が、息子・泰生(たいき)を意識不明の重体に追いやった犯人を見つけ出そうと奔走するリベンジエンターテインメントの本作だが、第4話にして急展開を迎えた。これまでは“弱者による強き権力者への復讐劇”だったが、“弱者”である鷲津が、国家権力の闇を暴くべく、ついに権力者側へ行くことを決意するのだ。

 鶴巻派の内閣府特命担当大臣・犬飼孝介(本田博太郎)の第一秘書だった鷲津(草彅剛)は、何者かの指示で泰生(白鳥晴都)の一件を事故としてもみ消そうとした犬飼を大臣の座から引きずり落ろし、黒幕の手がかりを聞き出そうとする。第3話では見事、ゼネコンとの受託収賄を検察に告発、さらに息子・犬飼俊介(玉城裕規)の傷害事件も暴き、犬飼を失脚させることに成功。だが、心筋梗塞を起こして救急搬送された犬飼は、瀕死の状態で「俺も知らねぇんだよ。ば~か!」と犯人を知らないことを鷲津に明かすのだった。

 かつての自身に手を差し伸べ議員秘書として育ててくれた恩人と袂を分かつシーンは、リベンジでありながら哀愁が漂っていた。しかし、泰生を歩道橋から突き落とした犯人はいまだ闇の中。事件の根深さをあらためて知ると同時に、第3話のクライマックスでは、友人であり衆議院議員の鷹野聡史(小澤征悦)が「権力をふりかざす奴と闘いたいなら、お前も力を持て」と、鷲津に犬飼の地盤を継いで次回の総選挙に出馬するよう打診するという衝撃の展開となった。

 いち議員秘書から国会議員へ。ドラマとはいえ人間の心情や永田町の因習をリアルに描いてきただけに、鷲津の行く先は修羅の道であることは容易に想像がつく。ただ、泰生の一件が国家ぐるみで潰されようとしている場合、それに抗うためには議員レベルの力が最低限必要であることは納得させられる。フィクションでありながら現実的に考えられる軌跡を描いていると筆者は感じた。

 民政党幹事長・鶴巻憲一(岸部一徳)から党の公認を約束されるものの、鷲津には肝心の選挙資金が足りない。地元の有力者で後援会長の鰐淵益男(六平直政)の協力を得るよう鶴巻らに助言されるが、鷲津にとっても、犬飼と太いパイプでつながっている鰐淵は“黒幕候補”の疑惑の人物であり、事件の真相を探る口実となる。だが、借りのある犬飼から自分の息子・俊介に地盤を継がせたいと頼まれ、その俊介からも鷲津は犬飼の地盤を狙った強欲な男だと吹き込まれた鰐淵は、会いに来た鷲津に対して「お前だけは支持しない」と厳しく当たり、ろくに話を聞こうともしない。さらに鰐淵は鷲津のイメージダウンを狙った記事を地元紙に掲載させる。俊介もまた、千葉の犬飼事務所で鷲津の悪評をばらまき、鷲津夫妻を中傷する動画をネット上に流したりとなりふり構わぬ動きを見せる。

 一方、鷲津は秘書見習いの蛯沢眞人(杉野遥亮)らに鰐淵の周囲を調べさせる。さらに鷲津の妻・可南子(井川遥)によって、鰐淵が認知症を患っている実母の介護を自分の妻・美恵子(滝沢涼子)に丸投げしていることが明らかに。市の福祉に頼ることも許されず、限界を感じていた美恵子は、離婚覚悟で家を出て、鷲津夫婦のもとに世話になる。その中で、鰐淵の母が徘徊により行方不明に。誰の力も借りようとしなかった鰐淵だが、一緒に探そうとする鷲津についに協力を依頼し、無事に母を発見。鰐淵は、鷲津が自分の弱みを握ろうとしていたことを打ち明けた正直さと、息子の事件の真相を知るために「権力に抗えるだけの力」が必要なのだという意志の強さに心を打たれ、一転して鷲津に協力することに。復讐心に取りつかれながらも、弱者への思いやりを忘れない鷲津のキャラクターが際立ったシーンだった。

 第5話からは国家議員として永田町に食い込もうとする鷲津が描かれると見られるが、今後のドラマのカギを握る人物は誰になるだろうか。ここで2人の人物に注目したい。一人は、第4話で鶴巻から鷲津の出馬案を聞かされた際、戸惑った様子を見せた厚生労働大臣・鴨井ゆう子(片平なぎさ)だ。自身が夫を失った例を出して鷲津に国会議員になる上での覚悟を問いていたが、それは鷲津へのやさしい助言の形を取りながらも、政界から引き離そうとする警告のようでもあったからだ。

 そしてもう一人は、やはり秘書見習いの蛯沢だろう。蛯沢は、かつて運送会社を営んでいた兄・浩輝(森田甘路)が犬飼事務所へ融資の陳情をし、「善処する」との返事を得て喜んでいたものの、何ら動きがなく、そのまま過労死してしまっており、兄の死の原因が犬飼にあると恨んでいた。ゆえに蛯沢は犬飼への復讐心から鷲津に協力していくことを決めたが、第4話のラストシーンで、浩輝に応対し、そのまま対応を放置していたのが犬飼ではなく鷲津だったことが明らかに。この事実に蛯沢が以前から気づいていたのだとしたら、鷲津の大事な存在である泰生に手をかける動機が生まれてくる。

 しかし一方で、鷲津の行動にも疑念が生まれる。浩輝の応対中に犬飼が倒れたとの連絡が届き、速やかに対応しようとする仕事ぶりや、陳情に来た浩輝に「善処します」と笑顔で語りかける姿はいかにも鷲津らしいが、なぜ「議員に報告せず」の対応となったのだろうか。また鷲津は、蛯沢の犬飼に対する復讐心を見抜いていたにもかかわらず、なぜ彼を秘書見習いとして雇おうと思ったのか。蛯沢を事務所に迎えたのは泰生の事件の発生直後であり、事故として処理しようとする存在がいることすらまだ判明していない段階だったはずだ。そして蛯沢の兄の話を聞いても、自分が応対したことを蛯沢に明かさなかったのもなぜか。一度会った関係者の顔と情報は絶対に忘れない驚異的な記憶力を誇る鷲津であれば、自分が蛯沢の兄の陳情の応対をしたことを思い出さないはずがないのだが……。鷲津と蛯沢の関係は、今後の重要なポイントとなりそうだ。

 今夜放送の第5話、予告編では選挙陣営の困惑、対立候補の存在、そして選挙活動と並行して犯人と黒幕捜しに執念を燃やす鷲津の姿が映されている。はたして犯人は永田町にいるのか、それとも身内にいるのか。真相にどれだけ近づいていけるのか注目だ。

■番組情報
月曜ドラマ『罠の戦争
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳 ほか
脚本:後藤法子
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
プロデューサー:河西秀幸
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
製作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/wana

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/02/13 12:00
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