GLAYとレゲエ~ビッグビート~R&B 進化し続ける「伝説のバンド」の音楽的挑戦とは
#GLAY #TOMC
音楽的冒険の第二のピークと、今なお続く進化
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GLAYの音楽的冒険が第二のピークを迎えたのは、キャリア初のセルフプロデュース作となった『JUSTICE』(‘13)だろう。長年GLAYを支えてきたプロデューサー・佐久間正英と制作した『GUILTY』と同時発売された作品であり、往年のオルタナティヴロックや、ファンク調、ストリングスを交えたエレクトロ要素のあるギターインストなどアレンジ面もさることながら、直近の作品群や『GUILTY』と比べてリバーブなどを抑えたような、ドライで隙間の活きた音作りが新鮮だ。なお、本作はTAKURO以外のメンバーの作品が10曲中5曲収録されており、メンバー4人の個性が大いに反映されたアルバムであるのも重要だ。
JIRO作曲
HISASHI作曲
TERU作詞作曲
ここまで見てきたように、GLAYにとって、セールス面での絶頂期であった1996年~2000年頃は多面的な彼らの音楽性のひとつの顔に過ぎず、音楽的冒険を常に続けてきた。その上で、 『JUSTICE』以降もオリコンチャートでシングル・アルバム問わず多数1位を獲得するなど、メジャーデビューから30年近く経つ現在も安定して高い人気を誇っている彼らだが、その進化はまだ止まっておらず、最近もまた彼らの音楽性に新たなエッセンスが加わろうとしている。その片鱗が窺える2022年のシングル「Only One,Only You」について、最後に触れておきたい。
本作リリース時のJIROのインタビューには、興味深い話が多数登場する。「ビルボード・ジャパン」では、彼がモータウンやディスコ・ミュージックのほか、リゾやドージャ・キャットの名を挙げるなど現代ヒップホップ~R&Bにも開眼したこと、「ナタリー」では、それにより「16ビートのグルーヴの作り方を追求している」などベースプレイに変化が生まれたことなどについて具体的に触れている【※3】。特に後者では、過去の楽曲をプレイする際の新たな“気づき”について語っており、R&B的な「グルーヴの出し方」と「月の夜に」(2009年のアルバム『GLAY』に収録)のゆったりとしたビートがマッチするのを発見したこと、また前述した代表曲「HOWEVER」のグルーヴを敏感に感じ取れるようになり、リリースから25年を経た今「プレイすることが楽しくなってきた」ことを語っているのは興味深い。
【※3… 「Billboard JAPAN」GLAY『Only One,Only You』インタビュー・JIRO編 https://www.billboard-japan.com/special/detail/3670/ | 「音楽ナタリー」GLAY「Only One, Only You」特集 JIROソロインタビュー https://natalie.mu/music/pp/glay20】
隙間が大きく設けられた打ち込みのドラムループが軸になった「Only One,Only You」は、そうした境地を迎えた彼のプレイが映える曲になっている。現代の国外のメインストリームのポップミュージックともシンクロするようなアレンジが導入されており、2014年以来の制作パートナーである亀田誠治とのコラボレーションが円熟の境地に入ったことも窺わせる出来だ。こうしたサウンド、リズムを持つ楽曲がシングルA面を飾るようになったGLAYは今後、私たちが想像もしない方向に変化し続けていく可能性も大いにありえるだろう。今年デビュー29周年を迎えた彼らの歩みにこれからも目が離せない。
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本稿で紹介した楽曲を含む、主にリズム面で特徴的な楽曲を集めた“レアグルーヴGLAY”プレイリストをSpotifyに作成したので、ぜひご活用いただきたい。
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