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日刊サイゾー トップ > エンタメ > アイドル  > Travis Japan「配信デビュー」課題山積

Travis Japan、デビュー曲が“米チャート5位”も…「CDがダウンロードに変わっただけ」問題

ジャニーズ事務所はどこまで本気なのか?

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 Travis Japan「JUST DANCE!」のミュージックビデオに対する議論からは、クリエイティブ面の疑問も浮かび上がる。

 「JUST DANCE!」のミュージックビデオは公開直後から、BTS「Dynamite」との類似性が指摘されている。バスケのゴールが映るシーンや、終盤の引きの絵といった画角や絵づくりの面、カラフルな衣装など、さまざまな共通点が挙げられているのだ。ビデオの監督は、リル・ウェインの全米ナンバーワンヒット「Lollipop」などを撮ったベテランのギル・グリーンだが、彼がBTSっぽく撮ることを提案したのか、それともそういう要請が彼のもとに届いたのか。

 同じようなソウル・ディスコ調の曲であるのに加え、まさに「Dynamite」の振り付けを担当したダンサーが「JUST DANCE!」の振り付けを担当していることもあり、“BTSを意識していない”というほうが無理があるだろう。であれば、ビデオの類似性が仮に偶然の産物だったとしても、別の選択肢を取らなかった時点で、“意図的にBTSに寄せている”と疑われても仕方ない。

 リミックス制作者にtofubeatsやYaffleが選ばれているあたり、クリエイティブは日本主導で行われている印象だが、国外向けのプロモーションの手薄さを考えると、どこまでキャピトル・レコードが協力的なのかという疑問もある。当然、キャピトル側からすれば彼らは未知数な存在だけに、Travis Japanにポテンシャルを感じてもらえなければ具体的な行動はなかなか起こさないだろう。その意味でも、クリエイティブ面は“BTSのジャニーズ流解釈”というだけではないオリジナルな方向性を見出す必要があるだろうし、CD販売戦略の焼き直しでダウンロードを売っていくだけでなく、ストリーミングを伸ばしていく戦略をジャニーズ事務所側で積極的に立案していかなければいけないだろう。ダウンロードだけが突出しているというのは、コアなファン層のみに支えられているという状況を指している。ストリーミングの底上げには、ライト層の支持をどこまで増やせるかも大きな課題となる。

 キャピトルとの契約の道筋をつけたとされる滝沢秀明・元ジャニーズ事務所副社長は、Travis Japanのデビューが発表された際、「ジャニーズ事務所の中で新たなデビューの形を作ってくれました」とコメントを寄せていた。確かに一見は新しい形とはなったが、その中身はこれまでと大して変わっていないのは残念だ。はたして滝沢氏が去った後のジャニーズ事務所は、彼らの“世界デビュー”をどう評価しているのだろうか。11日にシンガポールで行われる〈YouTube FanFest 2022〉に出演するなど、海外展開はアジアにまずは標準を絞る様子だが、ジャニーズ事務所がどこまで本気なのかが明らかになるのは、ここからだろう。Travis Japanには、日本の商業慣習に囚われない進化を期待したい。

加賀美ジョン(音楽ライター)

洋邦問わず、音楽にまつわる編集・ライティングで十数年。クレジットを眺めるのが趣味。

かがみじょん

最終更新:2023/05/24 22:35
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