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藤井風、“世界的J-POPスター”へ…「死ぬのがいいわ」が海外から大反響の経緯と背景

ユニバーサルのバックアップ体制 世界に向けて情報発信も

 TikTokでは先述のようなアニメ・マンガを使ったものだけでなく、「カバーしてみた」動画も増えており、より楽曲そのものの魅力に注目が集まりつつあるなど流行の形態が変わりつつあるが、こうした背景には、所属レコード会社側のサポートが後押しした部分もある。

 藤井風が所属するユニバーサルシグマは、国外からの反響を受けて8月23日に、2020年に開催した武道館公演での「死ぬのがいいわ」のライブパフォーマンス映像を解禁。もともとミュージックビデオがない楽曲だったこともあり、700万回以上再生されるなど人気を博している。

 さらに、ユニバーサルシグマが所属するユニバーサルミュージックグループが、世界各国の支社で藤井風をプッシュ。シンガポールやメキシコのユニバーサル公式TikTokアカウントでこの武道館公演の映像がアップされたり、同グループのオウンドメディア「uDiscovermusic」が「藤井風とは何者か? TikTokを席巻する日本人R&Bシンガー」とする英語記事を9月30日に公開したりと、世界に向けて藤井風の情報を発信している。

 また、興味深いのは、10月15日・16日に大阪・パナソニックスタジアム吹田で開催される有観客野外ライブ『LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE』のチケットを、海外在住のファン向けに発売していることだ。もともとはインバウンド華やかりし頃にチケット販売業者がこぞって取り組んでいた試みだが、この入手困難なチケットを海外在住の人間限定で販売するという判断には賛否の声が上がったものの、日本に来てでも藤井風のライブを観たいという熱い海外ファンの声に応える形なのだろう。本来であれば、世界中で見られる配信や、海外ツアーを組むというのがもっとも求められることだろうが、意図せぬバイラルヒットのために対応が間に合わなかったものと思われる。また、コロナ禍はまだ収束したとはいえず、12月には待望の国内アリーナツアーを控えていることを考えると、海外公演は来年以降を考えているのではないだろうか。

 これだけの反響に加え、そもそも世界を視野に入れて動いていたであろう藤井風チーム――来日外国人のチケット販売はコロナの影響で中止になった2020年6月の東京・名古屋公演でも予定されていた――、そしてユニバーサルミュージックグループのバックアップ体制を考えれば、藤井風があっという間に世界的スターへの階段を駆け上がる未来を語るのは、まったくの夢物語ではないはずだ。

 今年4月に米カリフォルニア州で開催された世界的な野外フェス「コーチェラ」を訪れていた藤井風は、LAで楽曲制作をしたことも明かしている。昨今は宇多田ヒカル「One Last Kiss」「君に夢中」などのプロデュースでも知られるAG・クック、そしてジャスティン・ビーバー「Sorry」を始め、レディ・ガガやビヨンセなども手がけるブラッドポップと共にスタジオ入りしたと見られ、すでに世界水準の楽曲も準備中なのではないだろうか。

 コーチェラといえば、アメリカを拠点にアジアの音楽やカルチャーを世界に向けて発信している「88rising」主催のステージに宇多田ヒカルが登場したことも記憶に新しいが、その88risingがつい先日、167万人のフォロワーを抱えるInstagramにこの藤井風「死ぬのがいいわ」の武道館映像をシェアする動きを見せたのも気になるところだ。88risingは米ロサンゼルスで主催フェス『Head In The Clouds』を毎年開催しており、新しい学校のリーダーズやTeriyaki Boyzらも出演しているが、今年は12月3日・4日にフィリピンのマニラ、9日と10日にインドネシアのジャカルタでの公演も予定。YOASOBIの参戦が話題となっているが、ここに藤井風が加わるという可能性もあるかもしれない。

 シティポップ流行の後は、藤井風が奏でる令和のJ-POPが世界の注目を集める……そんな日が訪れるのもそう遠い未来ではなさそうだ。

加賀美ジョン(音楽ライター)

洋邦問わず、音楽にまつわる編集・ライティングで十数年。クレジットを眺めるのが趣味。

かがみじょん

最終更新:2023/03/14 14:09
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