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『関ジャム』ミュージックビデオ特集! 藤井風が「青春病」MV撮影で泣いた理由

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藤井風『青春病』MVより

 7月11日放送『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)が行ったのは、大人気アーティストの映像の裏側に迫る“ミュージックビデオ特集”だ。以前までは「ビデオクリップ」「PV(プロモーション・ビデオ)」という呼び方が一般的だったが、今では「MV」が主流らしい。

 映像によって曲のイメージが固定化してしまうきらいがあるため、かつては“MV不要論”を説く向きもあった。しかし、近年はスマホで見るなど視聴環境の変化によって再生数も飛躍的にアップ。今やもう、無視できない表現方法になっている。その上、ゲストのファーストサマーウイカ曰く、最近の若年層は音楽を全てYouTubeで聴くらしい。つまり、映像ありきが当たり前。というか、それ以前に音楽を“買う”という認識を持っていないことに驚いたな……。

 今回のアーティストゲストは、米津玄師「Lemon」MVを手掛けた映像作家・山田智和と、YOASOBI「夜に駆ける」MVを手掛けたアニメーション作家・藍にいなの2人である。

米津玄師「Lemon」MVの画面縦横比の根拠に推論が飛び交う

「Lemon」の再生回数は、なんと国内MVの歴代1位となる約6億8千万回に達したらしい。実は、このMVには秘密があるという。

「最初に曲を聴いたときに、とんでもない名曲が来たと思いました。(中略)この曲は永遠に残る名曲だと感じる普遍性。それを映像でも表現したい。そこで、どんなデバイスにも左右されないよう映像のアスペクト比(縦横比)を1:1にする作りにしました」(山田)

「未来永劫、どんなデバイスにも左右されたくない」と考えてのアスペクト比だったのだ。一部では「遺影のサイズを模したのでは?」という説(MVの舞台は教会に見える)も囁かれたが、山田監督の説明ではどうやらそういうことのよう。ただ、米津は初期曲(「アイネクライネ」など)のMVを自分で手掛けたほどのアーティストである。映像作家としては、プレッシャーとやりがいのあるミュージシャンのはず。だから、遺影説はそれはそれで捨てがたい。あってもおかしくない要素だ。あと、やはりこの曲はドラマ『アンナチュラル』(TBS系)そのものが最高のMVだった気がする。

YOASOBI「夜に駆ける」MVに年齢制限がかかった理由

「夜に駆ける」MVを初めて見たとき、印象に残ったのは特徴的な色の組み合わせだった。そして、言ってしまうとイラストがチープだ。音の作り込みにこだわらないYOASOBIの楽曲とのバランスはすごくいい。

 そして、なかなかにゾッとするMVという印象である。キャラの顔を目隠しする手法を古田新太は「気色悪い」と言ったが、無理もない。目元に血飛沫はさすがに不気味だ。

 実は、「夜に駆ける」は自殺願望を持つ女性と彼女に惹かれる男性を描いたウェブ小説『タナトスの誘惑』を題材にした曲である。死によって救われた2人が「夜空に向かって駆け出した」から「夜に駆ける」というタイトルが付いた。夭逝に憧れる者も少なくないであろう思春期に刺さる曲であり、MVだと思う。

 ちなみに、YouTubeにアップされた「夜に駆ける」MVには年齢制限がかかっており、現在は18歳以下試聴不可という状況。YouTube側の判断には賛否あるが、致し方なかったか? ただ、元となる絵コンテで飛び降り後の男性は血まみれだったが、MVを見ると藍が完成前にその表現をやめたことに気付く。完成版と原案の違いにより、作り手の試行錯誤がうかがえるのは面白い。

重盛さと美がバズらせたMVはほとんどTikTok

“プロも唸る世界のミュージックビデオ”と題し、近年の秀作MVの数々も紹介された。ここで意表を突くセレクトだったのは、山田の選んだ「TOKYO DRIFT FREESTYLE」である。2020年公開、重盛さと美feat.友達による作品だ。

「2020年はアーティストの自撮りビデオがこの情勢の中でとても増えたように思います。最近はYouTuberとMVの垣根もなくなってきている気がしていて、それら全てを上手く表現したビデオでした」(山田)

 その通り。このMVを見ると、もうほとんどTikTokなのだ。まさに、時流に乗っている。あと重盛がこのMVでいつも以上に可愛らしく見えるのは、インフルエンサーお得意の補正アプリを使っているからという気もする。結果、「TOKYO DRIFT FREESTYLE」は2600万回再生を記録し、どのラッパーよりも見事にバズった。

BiS時代の仲間を嬉しそうに見るファーストサマーウイカ

 2019年に藍が初めて監督を務めた「闇色の朝」(Maison book girl)にて、彼女はYouTubeを想定したある仕掛けを施したという。

「映画と違って(MVには)拘束力が全くなく、他の動画にすぐ飛べちゃう。第一印象のインパクトを残したり、『もっと見たい』と思わせないと次(の動画)に行かれてしまうので、絵コンテを作っている時点で(仕掛けを)考えました」(藍)

 というわけで、「闇色の朝」MVが流れ始めた……と思ったら、突如画面がフリーズ! そして、程なく画面は真っ暗になった。家のテレビが壊れた!? いや、違う。こういう演出なのだ。

「印象に残るMVとして『YouTubeを見ている人の現実にどうやったら介入できるだろう?』と考えると、動画を止めることだと思ったんですね。動画が止まったら絶対に(スマホを)見るじゃないですか。それで(視聴者をMVに)戻すということを考えた演出です」(藍)

 確かに、動画が止まると人はスマホに拘束される。加えて、画面が真っ暗になるとそこに映るはスマホを見る自分の顔だ。MVが力づくで現実に介入している。テレビだったら放送事故になりかねないが、YouTubeならばこの仕掛けはセーフだ。

 あと、Maison book girl のMV解説を聞くウイカが心底笑顔になっているのが刺さった。今年5月に活動終了したブクガは、ウイカも所属したアイドルグループ「BiS」のメンバー・コショージメグミを中心に2014年より始動したプロジェクトである。MVだけでなく人間模様もエモい。

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