少女時代「ディズニーシーのデザイン盗用」問題でMV監督謝罪…相次ぐK-POPのパクリ問題
#少女時代 #K-POP
2010年前後に起こった第2次韓流ブームを牽引した韓国のガールズグループ・少女時代がデビュー15周年記念日を迎え、8月5日に『FOREVER 1』で5年ぶりにカムバックした。しかしその表題曲のミュージックビデオが騒動となっている。
問題となった「FOREVER 1」のミュージックビデオ(MV)には、メンバー全員が集合する場面でデビュー15周年を表す「15」がでかでかと記された時計風のロゴをバックにするセットがあるのだが、このデザインが、東京ディズニーシーが2016年に15周年を迎えた際のロゴに酷似しているとしてネット上で騒がれていた。
これを受けてMVを手がけたシン・ヒウォン監督は14日、Instagramで盗用を認めて謝罪する投稿を行った。監督は、「今回のMVは、企画、演出から、小道具ひとつにいたるまで私が関わっており、許可なくデザインを借用してしまったことは恥ずかしく、申し訳ないことと思っています」「少女時代の15周年を祝うパレードのセットをデザインする中で、さまざまな数字のデザインの参考資料を確認し、ぴったりなイメージが見つかった際、出どころを確認することなくデザインを借用してしまいました」などと経緯を説明し、「私は今日、このデザインが日本の東京ディズニーシー15周年のものだということが確認できたばかりですが、許諾などを一切得ないまま使用してしまったことについて心からお詫び申し上げたい」と謝罪している。
この騒動を受け、「FOREVER 1」のMVは一部再編集され、セットのデザインなども変更されている。だが、“参照”された東京ディズニーシーの元のデザインには文字盤の部分に「DISNEY SEA」とある。さらに、少女時代のほうは、文字盤の周囲にグループの英文表記である「GIRLS GENERATION」の文字がデザインされているが、この部分には、東京ディズニーシーの元のデザインでは「TOKYO」とあり、「出どころに気付かなかった」とする釈明に懐疑的な声も多い。
#disney #snsd #FOREVER1
left Tokyo disney sea
right forever1??? pic.twitter.com/a44W56DcEa
— 中村@3104_mm_aiueo) August 13, 2022
aespaでも数々の盗用疑惑…デザイナーの“ネタ元”収集アカウントも
少女時代が所属するSMエンターテインメントは、過去にも同様の騒動を起こしている。
同事務所は2020年11月、Red Velvet以来およそ6年ぶりの大型新人ガールズグループとして「aespa(エスパ)」という4人組をデビューさせた。日本人1名を含むこのグループは、今年6月に米Warner Recordsと契約するなど本格的な世界市場進出に動く活躍を見せているが、彼女たちのデビューにあたっても、ビジュアル面のクリエイティブでさまざまな議論が巻き起こったのだ。
「aespaはグループのロゴが特徴的なデザインなのですが、このタイポグラフィックは数年前から『アシッドグラフィックス』『クロムタイプ』と呼ばれ流行中のもので、日本のGUCCIMAZE(グッチメイズ)というデザイナーが第一人者のひとり。彼は世界的に注目され、20曲の全米トップ10ヒットを誇る人気女性ラッパー、ニッキー・ミナージュの2018年作『Queen』のアートディレクションなども手がけています。そしてこのaespaのロゴが2020年10月に発表された際、GUCCIMAZEのデザインに酷似していたため、『GUCCIMAZEが担当した』と勘違いする人が続出。本人に問い合わせるファンもいましたが、GUCCIMAZEはこれを否定しており、『aespaロゴむむむ~?』とツイートもしていました」(音楽ライター)
その後もaespaは、ビジュアルにおける“盗用”疑惑が相次ぐ。メンバーのコンセプトビジュアルについて米写真家ブライアン・フィンが自身の作品に酷似していると指摘。また、デビュー曲「Black Mamba」のMVの地下鉄のシーンについて、ドイツのビジュアルアーティスト・Vacadesの作品に似ているとの指摘の声が上がり、Vacadesが「向こうから連絡は来ていないし、自分は関わっていない。コピーされてしまったようだ」と自身のSNSで告発していた。
さらに、このSMエンターテインメントのアートディレクターに重大な疑惑が浮上した。aespaがデビューした2020年11月、写真共有サービス「Pinterest」のアカウントが発見され、その内容がネット上で拡散。同サービスではお気に入りの写真を収集するスクラップブックのような使い方ができるのだが、このアカウントには、「テミン(SM所属のSHINeeのメンバーの名前)」や「ルーキー(新人)」といったフォルダがあり、さまざまな“参考資料”が集められていたのだ。
「aespaを筆頭に、このアートディレクターが関わったプロジェクトではたびたび盗用疑惑が浮上していたものの、それまではあくまで疑惑に留まってましたが、このPinterestアカウントには数々の“ネタ元”がピンされており、盗用されたと指摘されていたブライアン・フィン氏の写真などもあった。そのため『やっぱりか……』とのため息が漏れましたね。少女時代のMVの制作プロセスにおいても、同様のことがあったと思われます。なお、今回MVの監督が早々に謝罪を表明したのは、少女時代の一部メンバーも出演するSMエンターテインメント主催コンサートが今月末に東京ドームであったりと、日本での活動が控えているためのようです」(K-POPライター)
K-POP業界が抱える構造的な問題
なぜこのようなことが横行してしまうのか。その背景には“K-POPバブル”が影響しているという。
「K-POP産業が急激に大きくなった弊害でしょうね。K-POPの人気アイドルのコリオグラフィ(ダンスの振り付け)が複数の振付師たちに声を掛けてアイデアを募り、いいところだけを採用して組み合わせたものだという話は知られてきていますが、クリエイティブ全体がこういうノリなんですよ。クオリティは高まる一方、関わる人間が増えるため、誰かがモラルにもとることをやっていても、指摘されるまで気づけない。とにかくスピード勝負なので、怒られた時に許諾をもらえばいいという考えも現場では生まれてきている。実際、自分の作品を盗用されたことを主張したブライアン・フィンは、後にSMと話し合って和解した上、2021年にはaespaの新曲『Next Level』のコンセプトビジュアル制作に関わり、ファンを驚かせました。『Black Mamba』のMVで自分の作品を盗用されたと主張したVacadesも、のちにMVの監督と話し合って和解にいたったと報告しています。
もともとK-POPアイドルは“短期決戦”で、活動時期を絞り、そこまでにじっくり準備をして一気に攻勢をかけるという売り方ですが、グローバルに活躍するグループが増えていき、ますます消費サイクルのスピードが早まっています。NCT UのYUTAが出演した先日の『マツコ会議』(日本テレビ系)でマツコデラックスが、その多忙ぶりを80年代の日本のアイドルのようだと形容していましたが、まさにそんなめちゃくちゃなスケジュールに合わせてクリエイティブも準備させられており、とにかく時間が足らない上に、フレッシュなアイデアを求められる。BTSが活動休止に際し、『K-POPやアイドルとしてのシステム全体の問題は、成熟する時間が与えられないこと』と問題提起をしたことに象徴されているように、もはやこれは構造的な問題。このサイクルが続くかぎり、同様のトラブルは起こり続けるでしょう」(同上)
BTSの活動休止における“声明”は、「マシーン」であることを求める業界への警告だったが、そんな発言はなかったかのようにますます競争が加熱している印象のあるK-POP。バブルが弾けるまで、根本的な解決は難しいのかもしれない。
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