松村北斗がかわいそう!? 『恋マジ』最終回“トンデモ”展開に「頭おかしい」
#松村北斗 #恋マジ #月10ドラマ
関西テレビ制作・フジテレビ系放送の月曜22時ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』、通称『恋マジ』が20日に最終回を迎えたが、終盤15分の怒涛の“トンデモ”展開に視聴者から困惑の声が相次いで上がっている。
「恋に本気になれない6人の男女が織りなす群像ラブストーリー」と銘打たれている『恋マジ』は、恋愛経験ゼロで恋愛に振り回されたくないという27歳の洋食器デザイナー・純(広瀬アリス)と、フレンチビストロ「サリュー」のギャルソン兼見習い料理人で、自分目当ての女性客と簡単に寝てしまう刹那的な24歳のイケメン・柊磨(松村北斗/SixTONES)のカップルを中心に、“専属パパ”と不倫関係にあるアパレル店員のアリサ(飯豊まりえ)、夫とはセックスレスの専業主婦・響子(西野七瀬)、内気なコンビニ店員の克己(岡山天音)、サリューのシェフ・要(藤木直人)らの恋模様が描かれてきた。
ドラマのプロデューサーが「今の恋愛をリサーチしてリアルなラブストーリーを作ろうと、一瞬一瞬を構築しました」とツイートした途端、視聴者から総ツッコミが入っていたように、リアルさからかけ離れた展開がある意味でおもしろがられていた『恋マジ』。世帯視聴率は5%台を連発と厳しいものがあったが、TVerではたびたび総合ランキング上位に入るなど当初は配信では好調で、ドラマの実況掲示板もストーリーへのツッコミで盛り上がりを見せていた。
しかし、主人公・純が「恋愛なんて人生のムダ」と考える根底に、男にすぐ夢中になる母親にずっと振り回されてきたという“トラウマ”設定があったり、要がシェフになる前は架空投資詐欺で逮捕・服役していたという過去が明らかになったあたりから、ドラマの空気は不可思議なものに。極めつけは、ギャンブル依存症で施設に入っていたという、柊磨の母・真弓(斉藤由貴)。第7話から本格的に登場してきた真弓は、柊磨と親しい女性にはきわめて攻撃的な“毒親”で、柊磨目当ての女性客に酢を入れた白ワインを給仕したり、柊磨と交際している純の髪留めをゴミ箱にこっそり捨てるなど、さながら昼ドラ的な展開を見せ、「まるで別モノ」「ホラーみたい」といった声も上がっていた。
克己と結ばれたアリサは、手を切ったつもりの“専属パパ”の妻から慰謝料を請求される。要に想いを寄せ、離婚を考えていた響子は、要をスカウトしにフランスから突如やってきたセレブ女性(藤原紀香)にマウンティングされる。そして純も“毒親”真弓の存在で柊磨との関係が破綻……と、ドラマ後半戦は3人それぞれ散々な展開になったが、最終的にはこれらすべてが解決。中でも視聴者を驚かせたのが、20日放送の最終回での純と柊磨だった。
あまりのトンデモ展開にSNSでは「頭おかしい」という声が多数
柊磨との関係が破綻した純は、洋食器デザイナーという仕事に誇りを持っていたが、営業部への異動を命じられ、やぶれかぶれになったあまり、同級生の“安心安全”大津(戸塚純貴)に自ら「結婚する?」と提案。一方、純に本気で惚れていることを自覚した柊磨は、純に「戻ってきてほしい」とストレートに復縁を求めるが、純は断ってしまう。“恋愛に振り回されない”かつての自分に戻りたいと願っていたのだった。
純との関係が終わり、すっかり落ち込んだ柊磨の姿を見て、“毒母”真弓は施設に戻ることを決意するが、そのことを知った純は、真弓のもとを訪れる。そして純は柊磨のことが今も好きだと告げながらも、よりを戻せないのは「好きな人のそばにいるのはけっこう辛い」からだと明かし、「私も」という真弓となぜか共感し合い、すっかり和解ムードに。しかし、すごいのはここからだ。
営業部への異動辞令に落ち込む純に、大津は自身がマネージャーを務めるホテルのレストランのフルコース料理を予約。そして、純が手がけた皿を使ったスペシャルなコースをこの日のためにわざわざ準備していたことを明かす。これ以上ない励ましだ。だが、純は残酷である。浮かない顔で「おいしい」と答える純に、大津は純の嘘のつけないところが好きだと話し、「ここの料理、本当はイマイチやち思ったんやない?」と本音を聞き出す。すると純は大して悪びれもせず、あっさり認めるのだった。
恋愛に発展することなどありえないという意味で大津は“安心安全”と呼ばれているのだが、実は大津は純のことが昔から好き。純はかつて男性経験がないのを恥じ、大津に“初めて”の相手を自らお願いするも、土壇場で逃げ出すということをやらかしていたが、大津のフォローによって友だち関係がキープされていた。大津は純の母親に対するわだかまりを解くきっかけも与えた。純から唐突に「結婚する?」と言われても、一定の距離を保って純を見守ってきた。その上、純のデザインした皿をわざわざ10組だけ注文して特別なコース料理を用意して純を励まそうとする。健気すぎる。そしてもちろん、純は大津を選ばない。ここまで不憫な当て馬はそうそういないのではないか。
大津は純と結婚したいと直球でプロポーズし、純の「本当の気持ち」を聞かせてほしいと伝える。ここでCMを挟み、場面は一転、サリューへと向かう純の姿に。店に駆け込むと店内には誰もおらず、なぜか一席だけ料理が用意されている。引き寄せられるようにその席に向かう純。誰に確認することも断ることもなく、さも当然のようにその席に座り、料理を食べ始めるので驚いた。思わず、何か見逃していたかと録画を巻き戻してしまったが、柊磨が純に連絡していたようなシーンは見当たらない。ここでSixTONESの挿入歌「わたし」が流れ、柊磨を演じる松村北斗の色っぽい声で「ありえな~い♪」と歌われたが、視聴者全員、純の行動に「ありえない!」と思ったのではないか。その意味では完璧なタイミングの挿入歌だった。
そして店の奥に引っ込んで様子を見ていたのだろうか、Aメロが始まる直前に、柊磨が背後から登場。気配を察知した純は振り返ることなく、大津にプロポーズされたことを明かしながら、「思ったの。私がこのお皿(自分がデザインした皿)に載せて食べたい料理はこれじゃない、って」と、大津のせっかくの気配りをディスるのだった。ここで純は柊磨と向き合い、「私が欲しいのは……」と言うと、得意げに「俺の料理」と答える柊磨。純は「ばーか! そんなもので、そんなんで私が満足すると思うな!」とツンデレっぽい泣き顔を見せながら柊磨の手を引き、なぜか外に走り出す。公園までたどり着くと、純はわざわざ距離を置き、大声で「好きって言って! ここでみんなに聞こえるように好きだって言って!」「私、今まで柊磨に一回も言ってもらったことないんだよ!」と柊磨に要求。もちろん柊磨は「好きだー! 大好きだー!」と叫び返す。令和とは思えない突然の“トレンディ”の応酬を経て、無事ふたりは結ばれるのだった。
この終盤15分の怒涛のトンデモ展開に、これまで『恋マジ』にツッコみ続けてきた視聴者もさすがに当惑。「なんで急に公園で叫んでんの?」「置いてけぼり感すごい」といった戸惑いの声が相次いで上がっており、勝手に料理を食べ始めたシーンを筆頭に「意味不明すぎた」「頭おかしい」「ツッコミどころの嵐」といった感想も多かった。純の自分本位っぷりもすごかったが、約束もしてないはずなのに、大津とのレストランデートの日に自分の店で、純をおびき寄せる罠……ではなく純のための料理をこっそり仕込んでいた柊磨もなかなかのホラーである。
ちなみに「これ、演者も脚本おかしいって思わなかったのかな」と俳優陣への同情の声まで出ているが、柊磨を演じる松村北斗は以前に「MORE」(集英社)のインタビューで、「街中で『今ここで大きな声で好きって言って』と愛情表現を求められました。どうする?」という質問に対し、「まず『どうして?』と聞きますね。そして『大声も小声も変わらないじゃないか』と冷静に説得を試みます」と回答しており、これを思い出して松村に同情するファンも多かったようだ。
残り5分、突然の無性愛者&同性愛者宣言
しかしここで終わらないのが『恋マジ』のすごいところ。フラれた大津はバーで、直截な物言いの女性と出会う。純の働く会社の元先輩で、ネイルサロンを経営している岬希(香椎由宇)だった。
申し訳程度にここがくっつく展開かと思いきや、岬希は「恋して泣けるなんて幸せじゃん」と言い、唐突に自分は「生まれつき恋ができない人間」「アセクシャル」かもしれないとカミングアウト。それはアセクシャル(他者に対して性的欲求を抱かない)ではなくアロマンティック(他者に対して恋愛感情を抱かない)ではなかろうかとツッコみたいところだが、ここで大津が不躾に「本当ですか? 本当に人を好きになったことがないんですか?」と疑うと、なぜか岬希は「一度だけあるのかな……」と言い出し、純に密かに想いを寄せていたことを告白するのだった。なるほど、ずいぶんな後出しではあるが、「(男性)経験がないだけで女としての欠陥品みたいに見られちゃう」と悩む純に、岬希が「だったらさっさとヤっちまえ」「あんなの、相手なんて誰だっていいんだよ」と下品な態度でけしかけていたのも(だから純は大津に初体験の相手を頼むという展開になったのだ)、純が特別な存在だったからなのか……っていや、そんなアホな! まぁ確かにドラマ序盤、純が柊磨を気にし始めていた頃にわざわざ岬希はサリューまで行って柊磨を値踏みし、純に警告を与える場面もあったが、あれが一応の伏線だったのだろうか。ただ単におもしろがった末のお節介だと思ってました。「さっさとヤっちまえ」って言うぐらいだし。
そもそも主人公が恋愛に興味がないという時点で――結局は恋愛に興味がないわけではなく、母親のように恋愛に溺れたくなかっただけというオチだったが――アセクシャル/アロマンティックの要素は始めから描かれてもよかったようにも思うが、無性愛者宣言からの急な同性愛へのシフトチェンジ。先生、これが「今の恋愛をリサーチ」した結果だそうです。これを最終回の残り5分でぶっこむ『恋マジ』の神経は、まさに純そのものだったと言えるかもしれない。なかなか滅多にお目にかかれないような、記憶に残るトンデモ最終回だった。
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