『恋マジ』視聴率は厳しくてもTVerで絶好調? TVerランキング調査
#TVer #恋マジ #ナンバMG5 #俺の可愛いはもうすぐ消費期限 #明日カノ
在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、昨年10月には月間動画再生数が初めて2億回を超えるなど、もはや定番のサービスとなった。今や「見逃し配信」は当たり前となったが、やはりTVerではドラマが圧倒的に見られており、ドラマの見逃し配信需要がこのサービスを牽引していると言えるだろう。
しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。
そこで、TVerの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。今回は5月14日(土)~20日(金)までを観測した結果(1日2回、決まった時間に観測)をお伝えする。
トップ10に居続ける『恋マジ』
TVerの総合ランキングを眺めていると、ほぼ常にトップ30入りしている作品と、放送後の2~3日はランキングに上がるが、いずれトップ30圏外へと消えていく作品とではっきり分かれることがわかる。
総合ランキングの常連は、
『元彼の遺言状』(フジテレビ系月9ドラマ)
『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ制作・フジテレビ系月10ドラマ)
『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系火曜ドラマ)
『悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系水曜ドラマ)
『ナンバMG5』(フジテレビ系水曜ドラマ)
『未来への10カウント』(テレビ朝日系木曜ドラマ)
『やんごとなき一族』(フジテレビ系木曜劇場)
『インビジブル』(TBS系金曜ドラマ)
『マイファミリー』(TBS系日曜劇場)
『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系日曜ドラマ)
『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系オシドラサタデー)
『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS・TBS系ドラマイズム)
……すなわち、ゴールデンプライム(GP)帯の主要ドラマのほとんどだ。
だが、この中で総合1位を獲得した(*)GP帯作品でいうと、『恋なんて、本気でやってどうするの?』『持続可能な恋ですか?』『悪女(わる)』『やんごとなき一族』『インビジブル』『マイファミリー』の6作に絞られる。今期の民放ドラマで唯一、世帯視聴率の全話平均が2ケタを超えている『マイファミリー』の人気はうなずけるが、そのほかは視聴率面ではむしろ苦戦している作品であり、「TVerで人気があるドラマ」と言えるだろう。
※……これは確認するタイミングによると思われるため、「実際に総合1位を取っていない」ことを確認することは難しく、正確性を保証するものではないことをご了承いただきたい
中でも強さが目立ったのが『恋なんて、本気でやってどうするの?』、通称『恋マジ』だ。トップ10をずっとキープしていたのはこのドラマぐらいだった。
広瀬アリス主演のこのドラマは、制作側の説明としては「今の恋愛をリサーチしてリアルなラブストーリーを作ろう」としたらしいが、これに視聴者から総ツッコミが入ったように、どちらかというと「そうはならんでしょ」と言いたくなる展開を見せる。が、それが実況向きであり、また感想を言って盛り上がりたくなる面もあるのだろう。某掲示板のドラマ実況スレッドは常に数千件のコメントが付いており、気楽に見られて、かつ美男美女の痴話騒動にあぁだこうだ言いながらワイワイ楽しめるドラマなのだ。また、性愛絡みでわりとストレートな言葉や表現も多いため、スマホでひとりで観たいという需要もある様子。『恋マジ』の視聴率は今のところ全話平均で6.2%と、下から数えたほうが早い数字だが、その内容も含めて、配信で見るという人が多いのだと考えられる。
『じぞ恋』こと『持続可能な恋ですか?』や、『悪女(わる)』、『やんごとなき一族』も、同様にテレビ視聴率よりTVer人気のほうが感じられる。
総合1位こそなかったが、『元彼の遺言状』や『ナンバMG5』『インビジブル』はトップ15以下の日はなく、安定して見られていた印象だ。特に視聴率面でGP帯最低となっている『ナンバMG5』(全話平均5.4%)がTVerでは好調なことは記憶に留めておきたい。なお、『ナンバMG』は先日発表されたオリコン「ドラマ満足度ランキング」で2週連続トップ3入り(第2話・第3話)を果たしていることも付け加えておこう。
深夜ドラマでは圧倒的な存在感を見せる『俺かわ』と『明日カノ』
さて、ここで深夜ドラマに目を向けたいが、深夜帯で唯一、総合1位を取っていたのがHey! Say! JUMP・山田涼介主演の『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系)だ。深夜ドラマはトップ10入りする作品も少なく、『俺かわ』のTVerにおける勢いはGP帯クラスと言える。
テレ朝とジェイ・ストームが共同制作する「オシドラサタデー」枠のドラマであり、つまりジャニーズ主演作が放送されている枠だ。これまで1作をのぞいて30分枠となっており、「週末の夜に視聴しやすい、ちょっと短めのドラマをお届け」と謳っているだけに、配信との相性がいいのは言うまでもないだろう。キャスト人気が強いのはもちろんだが、ギャラクシー賞月間賞に輝いた『トクサツガガガ』(NHK総合)や、配信再生数の記録更新やトレンド入りなど話題も多かった『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)などの田辺茂範が脚本を手がけており、気楽に見られるラブコメに仕上がっている。特にジャニーズ×ラブコメという意味でも『ボス恋』に近い部分はあるかもしれない。第1話見逃し配信でオシドラサタデー枠の歴代最多記録を叩き出した『俺かわ』は、深夜ドラマにしては珍しく毎日トップ30にその名前があり、根強い支持が感じられる。繰り返し観るユーザーが一定数いるのかもしれない。
総合1位こそ取れていないが、配信後にトップ3に入ることも珍しくなく、『俺かわ』同様にトップ30をキープし続けていたのがMBS・TBS系「ドラマイズム」枠の『明日、私は誰かのカノジョ』だ。原作マンガ人気に加え、フレッシュなキャストが顔を揃えたのも功を奏していると見られる。深夜帯らしく挑戦的な作風も多いドラマイズムだが、「レンタル彼女」「パパ活」「整形」「ホストクラブ」などのトピックが並んでおり、『恋マジ』以上にひとりで観たい「配信向き」の作風だろう。メインの女性5人それぞれが、孤独感や劣等感をそれぞれに抱えているあたりも共感を呼ぶ内容で、その意味では『恋マジ』とは対照的と言えるかもしれない。
深夜ドラマでは他に、『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)『探偵が早すぎる 春のトリック返し祭り』(日本テレビ系)も好調で、特に前者はトップ3入りすることもあった。両者ともシリーズものだが、『ミタゾノ』はさすがシーズン5まで続くだけの安定感がある。
また瞬間風速的に目立ったのは『花嫁未満エスケープ』(テレビ東京系)。テレ東で昨年4月から始まった「木ドラ24」枠の5作目で、ここのところ出演作が増えている注目の若手女優・岡崎紗絵の連ドラ初主演作だ。錦戸亮主演の月9『トレース~科捜研の男~』では科捜研のメガネ女子、昨年の波瑠主演の月9『ナイト・ドクター』ではメインキャストを務め、男と三角関係で揉めた女医を好演していた、と言えば伝わるだろうか。こちらは『明日カノ』同様に原作マンガが人気で、アラサー女性が今カレと元カレの間で揺れるラブストーリー。共感しつつ、キュンを楽しみながら観ている視聴者が多いようだ。すぐにトップ20以下、トップ30圏外に落ちてはしまうが、配信後には5~6位に入ることもある。トップ10入りする深夜ドラマは限られる中で、勢いが感じられる作品だ。
こうしてTVer総合ランキングを追いかけてみると、視聴率だけでは決してわかりえないドラマ人気が見えてこないだろうか。ドラマの放送枠が増え、すべてを追いかけるのはますます困難だけに、TVerのランキングから気になる作品をチェックしていくという手もアリかもしれない。
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