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『マイファミリー』悲しみの最終回…真犯人「すべては家族のため」のやるせなさ

『マイファミリー』悲しみの最終回…真犯人「すべては家族のため」のやるせなさの画像
ドラマ公式サイトより

 安堵と絶望感で涙なしには語れないラストシーンだった。二宮和也主演のTBS系日曜劇場『マイファミリー』が6月13日、15分拡大放送で最終回を迎えた。世帯平均視聴率が16.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と同ドラマの最高記録を更新し、Twitterでも3度目の世界トレンド1位に輝くなど、有終の美を飾ったが、それと同時に、家族ごとに明暗が分かれてしまった結末に『マイファミリー』のタイトルどおり、家族がメインテーマの物語であることを思い知らされた最終回だった。

 第1話に起こった、温人(二宮和也)と未知留(多部未華子)の鳴沢夫婦の娘・友香(大島美優)の誘拐事件を皮切りに、鳴沢夫婦の友人である三輪碧(賀来賢人)の娘・優月(山崎莉里那)、そして鳴沢夫婦のご近所さんで、温人が社長を務める「ハルカナ・オンライン・ゲームズ」の社外取締役である阿久津晃(松本幸四郎)の娘・実咲(凛美)と誘拐されてきた一連の事件。

 友香と優月の誘拐を実行したのは、鳴沢夫婦や三輪の学生時代の友人で、元刑事の東堂樹(濱田岳)だった。東堂は5年前に起きた娘の心春(野澤しおり)の誘拐事件が未解決のまま終わり、刑事を辞めてまで独自に捜査を進めたものの手がかりは見つからず、心春誘拐事件を模倣することで警察の再捜査を促す狙いだった。しかし、模倣犯の存在に気づいた犯人に逆に利用されてしまい、優月も誘拐し、さらに実咲誘拐事件では身代金の受け子を担わされる。そして犯人の企みにより、東堂と、“交渉人”を指名されてきた温人が一連の事件の容疑者として警察に追われることに。

 第9話では実咲と心春が親友で、実咲は心春から何らかの相談を受けていたことが明らかになる。実咲のタブレットの中に犯人につながる重要なデータを所持していたことが示唆され、実咲が意識不明の中、タブレットを手にしていた未知留が誘拐されてしまう。

 そして最終回。犯人は温人に対し、未知留を解放する代わりに逃走中の東堂を差し出すよう要求。温人は刑事の葛城(玉木宏)に事情を打ち明け、「必ず犯人を捕まえてください」と頼み、自身は三輪と協力して東堂との合流を図る。警察内部を怪しんでいた葛城は、上司の捜査一課・吉乃(サンドウィッチマン・富澤たけし)が真犯人だと目星をつけ、葛城と温人、三輪による劇的なトリックで逆転。未知留と東堂は危機一髪のところで救出され、吉乃は逮捕された。

 吉乃は5年前、東堂の妻・亜希(珠城りょう)と不倫していた。その現場を小学生の心春に目撃され、写真を撮られてしまうが、両親の不仲をどうにかしたいと思っていた心春は「私を誘拐してください」と持ちかける。吉乃は心春の「ゆうかい計画」を一笑に付しつつ、不倫の証拠写真の入った携帯電話を奪い取るが、そこでもみ合いになり、心春は階段から転落してしまった。吉乃はこの件を闇に葬るため、心春の思いついた誘拐計画を利用し、報道協定を盾にして事件を風化させようと目論んだのだった。吉乃は不倫をしていたことを自分の家族に知られたくなかった。吉乃の行動もまた、自分本位ではあったが「家族のため」だった。

 2020年1月期の『テセウスの船』によって「日曜劇場のミステリーは芸人が犯人」と冗談半分に囁かれ、吉乃が犯人とする考察もあったが、実際に吉乃が真犯人として登場したシーンでは、「お前かー!!!」「鳥肌すごい」とネット上がざわめいた。警察内部に犯人がいたというオチ自体は珍しいパターンではないが、管理官の日下部(迫田孝也)が怪しい雰囲気を打ち出していたり、謎解きシーンでは状況が二転三転としたこともあり、またもや視聴者を釘付けにした最終回だった。

 全員がハッピーエンドではなかった結末。生まれてくる子どもと命落とした子ども、それぞれの家庭が対比されるかのごとく交互に映り、筆者も涙が止まらなかった。心春の安否ははっきりと明言されなかったが、最後の東堂と亜希の面会シーンで、「心春ちゃん……会えたのか?」という東堂の問いかけに対する亜希の涙と、すべてを悟ったように呆然とする東堂の姿で、亜希は心春の遺体と無言の対面を果たしたのだと考えられる。妻に不倫され、娘を亡くし、自身も誘拐犯として逮捕された東堂の救われなさ……。ネット上でも「東堂だけあまりにつらすぎ」「はぁ……感情整理できず」という声が寄せられた。

 脚本の秀逸さ、キャストの演技力の高さ、ドラマにおいて重要な2つの要素どちらも満たし今クールの覇権ドラマとなった『マイファミリー』。ミステリーとしてもファミリードラマとしても非常に面白い最高のエンターテインメントだったことは間違いない。

■番組情報
日曜ドラマ『マイファミリー』
TBS系毎週日曜21時~
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、渡辺邦斗、藤間爽子、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、大友康平、神野三鈴、大島美優、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
主題歌:Uru「それを愛と呼ぶなら」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:大間々昂
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
演出:平野俊一、田中健太、宮崎陽平、富田和成
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/myfamily

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東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/06/13 12:30
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