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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.683

連続殺人鬼との遭遇が退屈な人生を激変させた! 白石和彌監督作『死刑にいたる病』

白石監督が見せる執拗な指フェチ、爪フェチぶり

連続殺人鬼との遭遇が退屈な人生を激変させた! 白石和彌監督作『死刑にいたる病』の画像3
白石作品の常連俳優・音尾琢真は、少年期の榛村を知るキーパーソン役

 もちろん、現実世界で犯罪行為に走れば、それは罪に問われることになる。だが、どんなに凶悪な猟奇事件を犯しても許される世界がある。それが映画表現だ。白石和彌監督は映画というフィクションの世界に、人間が隠し持っている、宿痾のようなドス黒い欲望を解き放つ。

 連続殺人鬼の榛村は、美しい指、きれいな爪に抑えがたい興奮を感じるフェチシストとして描かれている。阿部サダヲ演じる榛村は、拉致した少年少女たちの整えられた手の爪を、ペンチを使って実に楽しそうに一枚ずつ剥ぎ取っていく。白石監督が指フェチ、爪フェチぶりを執拗に見せた一連のシーンは、PG12以上に強烈な印象を与える。フィクションの世界でのみ許される願望だろう。

 白石監督が撮る映画は、どれも毒のある作品ばかりだ。おそらくは閉塞的な現代社会そのものが、毒性の強いものを欲しているに違いない。白石作品を観る者は、スクリーンの向こう側にまで引き込まれないよう心して臨んだほうがいい。

 

『死刑にいたる病』
原作/櫛木理宇 監督/白石和彌 脚本/高田亮
出演/阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、中山美穂、宮﨑優、鈴木卓爾 佐藤玲、赤ペン瀧川、大下ヒロト、吉澤健、音尾琢真
配給/クロックワークス PG12 5月6日(金)より全国公開
©2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会
siy-movie.com

最終更新:2022/05/17 15:39
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