“異色”の三角関係描いた『ムチャブリ!』 視聴者が恐れている結末とは?
#ムチャブリ
三角関係が繰り広げられる恋愛ドラマは数多くあるが、大抵は主人公の本命が誰かはある程度事前に予想できるもので、最後は本命との恋が成就するパターンが一般的だ。しかし、最終回までどちらが本命でどちらが“当て馬”になるのかわからないドラマは珍しい。
高畑充希主演の日本テレビ系水曜ドラマ『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』の最終回が3月16日に放送される。働く女性をターゲットにしたお仕事系ドラマが多い日テレ水曜10時枠で、「爽快お仕事エンターテインメント」を謳う同作。最初の2話まではお仕事コメディ色が強かったが、第3話以降、高畑演じる主人公・雛子と、部下の大牙(志尊淳)、上司の浅海(松田翔太)をめぐる恋愛要素が強くなり、回を追うごとに多くの“キュン”を詰め込んだ恋愛ドラマへとシフトしていった。
恋愛ドラマにおいて三角関係はベタな設定ではあるが、『ムチャブリ!』が異色だったのは、雛子の本命と思われた浅海は中盤まであまり出番がなく、むしろ大牙が雛子を振り向かせようと頑張る姿と2人の“キュン”シーンが多く描かれていたため、大牙から雛子への矢印に偏った、どこかいびつな三角関係になった点だ。ドラマ放送直後に松田翔太の新型コロナウイルス感染があったことから、松田の出演シーンが減って脚本も変更されたのでは、なんて噂もあったほどだ。第9話になって、浅海と雛子がデートをしたり同棲状態になったりと“浅海のターン”が描かれ、ようやく三角関係らしくなってはきたのだが、雛子がどちらを選ぶことになるかは依然として予想がつかない状態だ。
雛子を演じる高畑充希が「“キュン”なシーンは、女性スタッフが額を寄せ合って『どうやったら大牙君がカッコよく見えるか? 浅海さんがカッコよく見えるか?』みたいなことをずっと喋っていました」と撮影終了後に振り返っているように、現場で話し合いながら皆で作り上げてきたドラマでもあったようだ。だとすれば、評判があまり良くなかった序盤のお仕事路線からラブコメ路線へのシフトは視聴者の反応を見て変更した可能性も十分考えられるし、大牙を応援する視聴者の反応から、もしかしたら雛子の本命も浅海から大牙へと変更された、なんてこともあるかもしれない。
二番手のキャラクターに感情移入して応援することを「セカンド・リード・シンドローム」というらしい。当初はキャスティングから、雛子と浅海が結ばれると思われていたが、雛子への想いを自覚してからは積極的にアプローチし、公私ともに雛子をサポートしてきた大牙を応援する視聴者は多いのだ。
3月15日に一足先に最終回を迎えた『ファイトソング』(TBS系)もやはり三角関係が繰り広げられる恋愛ドラマだったが、幸せなかたちで締め括られ、SNSなどを見る限り視聴者も納得のハッピーエンドとなったようだ。両ドラマとも見ているという人も多く、次は『ムチャブリ!』だ、とクライマックスへの期待は高まってはいるが……。正直言えば、『ムチャブリ!』の着地点は少々難しいように思う。浅海とくっつけば納得いかない視聴者が多そうだし、大牙とくっつけば孤独を抱えている浅海が可哀想すぎる。雛子の態度もはっきりしていない。そのため、視聴者からは「おいこれ、どっちともくっつかないエンドある……?」「どちらもくっつかない結末はイヤだよ~」「これでどっちともくっつかないってなったらこの気持ち昇華しきれない」などの声も多く聞こえてきている。その可能性も大いにありそうだが、できれば皆幸せであって欲しいと願ってしまう。
恋愛だけでなく、仕事と恋や家庭との両立といった現代の多様な働き方についてもテーマとして扱ってきた『ムチャブリ!』。恋よりも仕事に生きる……というオチになるとしたらそれも違和感があるが、そうした懸念を吹き飛ばしてくれる納得のクライマックスとなることを期待したい。
■番組情報
水曜ドラマ『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』
日本テレビ系毎週水曜22時~
出演:高畑充希、志尊淳、松田翔太、夏帆、優香、笠松将、山田真歩、坪倉由幸ほか
音楽:河野伸
主題歌:ENHYPEN「Always」(ユニバーサルミュージック)
脚本:渡邉真子
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:鈴木亜希乃、柳内久仁子(AX-ON)
演出:猪股隆一、狩山俊輔
制作協力:AX-ON
製作・著作:日本テレビ
公式サイト:ntv.co.jp/muchaburi
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