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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > なにわ男子の大ヒットを支えたデジタル戦略

なにわ男子の大ヒットが“異例”なワケ 「国内最速」も成し遂げたデジタル戦略

ジャニーズにはめずらしい“フル尺”公開と、TikTokでの大成功

「羽田でのパフォーマンス映像も、MVダンスバージョンも、いずれも“フル尺”なんです。ジャニーズにかぎらず、日本ではYouTubeで公開する映像をワンコーラスに限るなどフル音源を聞けないようにする例が少なくなく、『初心LOVE』のオリジナルのMVも『YouTube Edit』ということで、多くのテレビ番組で披露されているように2番を飛ばした短めの構成になっています。ジャニーズはほとんどの所属タレントでデジタル配信を行っておらず、それはなにわ男子も同様なのですが、先の2つの動画は“フル尺”で公開されたという点が異色。YouTubeでは『初心LOVE』がいつでもフルで聴くことができるようになったわけです。

 なにわ男子はデビュー直前に大量にテレビ露出を行ったこともあり、ライト層の新規ファンが多く生まれたでしょう。そういうライト層をまずYouTubeで“初心LOVE漬け”にすることで、CDも買ってくれるような熱心なファンになってくれることが期待できます。彼らのチャンネルには、『初心LOVE』以外にも、YouTube的なバラエティ系のコンテンツだってありますしね。ジャニーズJr.は2018年からYouTubeチャンネルを開設してますし、これまで培ってきたものが今回の戦略に生かされたのでは」(前出の音楽ライター)

 なにわ男子はSNSの活用も目を引くという。

「公式Instagramも開設していますが、注目はTikTok。『初心LOVE』のフォトモーションエフェクトを登場させるなど早々にコラボしていましたが、11月25日に楽曲の総再生数が5億回を突破。しかも国内アーティスト最速となる配信後37日間での5億回達成という新記録を打ち立てました。『初心LOVE』の主題歌で、なにわ男子の道枝駿佑がW主演を務めているドラマ『消えた初恋』(テレビ朝日系)によって『#うぶらぶダンス』というハッシュタグチャレンジが拡散された影響も大きかったようです」(同上)

 なにわ男子の大ヒットの裏には、ドラマタイアップにテレビ番組への大量露出といった旧来のプロモーション手法だけでなく、SNSを中心としたデジタルマーケティング戦略があったというわけだ。YouTubeやTikTokにおいて人気を博する楽曲は、より長い期間にわたって支持される傾向がある。音源のデジタル配信については後ろ向きなジャニーズ事務所だが、今回の『初心LOVE』の成功は、今後の大きな指針となるかもしれない。

加賀美ジョン(音楽ライター)

洋邦問わず、音楽にまつわる編集・ライティングで十数年。クレジットを眺めるのが趣味。

かがみじょん

最終更新:2023/03/14 14:12
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