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綾野剛主演ドラマ『アバランチ』の不安…監督・藤井道人の代表作が総じて“鬱”エンド

綾野剛主演ドラマ『アバランチ』の不安…監督・藤井道人の代表作が総じて“鬱”エンドの画像
ドラマ公式サイトより

 フジテレビ肝いりの話題作、綾野剛主演の月曜ドラマ『アバランチ』がいよいよ10月18日の夜22時からスタートする。フジとしては火曜21時から月曜22時へ、ドラマ枠“お引越し”後の初作品となるため、かなり力が入っているようだ。

 その証拠に、スタッフもキャストもこれ以上なく豪華絢爛。主人公の羽生誠一役に綾野剛、羽生が所属する謎のアウトロー集団のトップ・山守美智代役には木村佳乃、そのメンバーに連なるのは福士蒼汰、高橋メアリージュン、田中要次、千葉雄大など華やかだ。またスタッフも強力で、綾野と強い信頼関係にある映画監督・藤井道人がチーフ演出を務めることも話題となっている。プライム帯のドラマは初となる藤井だが、現在35歳ながら映画界で着実にキャリアを積んできた人物だ。2021年1月に公開された映画『ヤクザと家族 The Family』では綾野を主演に据え、日陰を生きるヤクザの盛衰を描いた。

 『アバランチ』の予告動画からも分かるように、テレビドラマながらまるで映画かのような映像美はまさに“藤井ワールド”といったところだ。重々しくも美しい音楽に重なるのは、綾野の「もう一度信じてみないか? 正義の力ってやつを」というセリフのみ。余計な解説を削ぎ落とした映像に、ダーティーでスリリングな想像を掻き立てられる。

 期待が高まる一方で、ネット上には「月曜から情緒が心配」「連ドラの(藤井)道人劇場こわい」などと心配する声もある。これは、どれも藤井の代表作に基づいた感想だ。例えば、2019年公開の映画『新聞記者』は国家による隠蔽を明かすために闘う新聞記者と官僚のストーリーだったが、痛快なラストになるかと思いきや最後の最後でどん底に突き落とされた。また前述の『ヤクザと家族 The Family』で描かれたのも、日陰でしか生きられなかったヤクザたちが関わった人をも巻き込みながら落ちぶれていく哀れな末路だった。とにかく、誰一人として救われない結末なのだ。

 この2作品と『アバランチ』は、いずれも国家権力を相手にしているという共通点もあるがゆえに、その心配が現実になるのではという恐れもある。心配に拍車をかけるかのように、山守役の木村は「“ピー”(自主規制音)とか入ったりしないのかな?」と『アバランチ』がかなり過激な内容だと話している。藤井の十八番を存分に発揮した作品が見られるのだと予想できると同時に、今からドラマのラストが心配でならない。

 ただ、綾野主演の連ドラといえば、賛否が大きく分かれた『恋はDeepに』(日本テレビ系)が記憶に新しい。それに比べればファンにとって、綾野の繊細な演技を美しく撮った実績のある藤井作品への信頼はこの上なく高いといえる。週の始まりから鬱々とした気持ちにさせられるのではという不安はひとまず横に置いて、まずは第1話を心して見ていきたい。

■番組情報
月曜ドラマ『アバランチ』
フジテレビ系毎週月曜22時00分~
出演:綾野剛、福士蒼汰、千葉雄大、高橋メアリージュン、田中要次、利重剛、堀田茜、渡部篤郎(特別出演)、木村佳乃 ほか
主題歌:UVERworld(ソニー・ミュージックレーベルズ)
監督:藤井道人、三宅喜重(カンテレ)、山口健人
音楽:堤裕介
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデュース:安藤和久(カンテレ)、岡光寛子(カンテレ)、笠置高弘(トライストーン・ピクチャーズ)、濵弘大(トライストーン・ピクチャーズ)
制作:カンテレ、トライストーン・ピクチャーズ
製作著作:カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/A/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2021/10/20 16:06
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