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超低支持率発進の岸田新内閣が「甘利人事」で早くも泥船化か

超低支持率発進の岸田新内閣が「甘利人事」で早くも泥船化かの画像
岸田文雄(写真/Getty Imagesより)

「すぐ担当変わるでしょうけど、よろしく」

 岸田文雄新内閣発足に合わせ、配置換えとなった政治部記者たちの間で、そんな挨拶が飛び交っている。その理由は、政権の本格始動は衆院選後とあって、あくまで”腰掛け”の担当となりそうだからだという。世間もそれを感じ取ったのか、各社の世論調査で支持率50%割れという、麻生太郎内閣を下回る超低支持率発進となった。

 安倍晋三、菅義偉両政権での硬直化した政治から解き放たれ、20人の閣僚のうち13人が初入閣というフレッシュな門出にもかかわらず、この高揚感の無さは一体何なのか。

「元凶は甘利明幹事長ですよ」

 政治部キャップはそう断じる。

「甘利氏は2016年、都市再生機構(UR)への口利き疑惑をめぐる金銭授受問題で大臣を辞任。『睡眠障害』を理由に説明を逃げたことを、世間や我々もまだ忘れてませんよ。もともと山﨑拓・元幹事長の派閥にいましたが、2012年総裁選では、派閥から出た石原伸晃氏を支援せず、安倍支援に。その後派閥を退会し、大臣退任の嵐が過ぎ去った17年に麻生派に入会。今回の総裁選も、麻生派から出た河野太郎氏ではなく、いち早く岸田氏に飛び乗った。権力への”嗅覚”は大したものですが、これで人望があろうはずはない」

 どの面下げてか、その甘利氏が閣僚人事を決めるのである。

「岸田総理は当選3回生の若手を3人も抜擢。そのうち、牧島かれんデジタル相は甘利氏と同じ神奈川県の選挙区。小林鷹之経済安全保障担当相は、経済安全保障の法整備を進める狙いの新国際秩序創造戦略本部で、岸田本部長、甘利座長の下で事務局長をしていました。5期目で初入閣の山際大志郎経済再生担当相は、神奈川県が選挙区の甘利氏側近です」(前出・キャップ)

 加えて、世間からは「誰だ、それ?」の地味な陣容。それは岸田総理が「情報漏れを恐れ、記者にペラペラ話すタイプの議員は嫌い」(側近)ゆえ、信頼できる顔ぶれを選んだことが原因だという。

 象徴的なのが、スポークスマンとなる官房長官に、安倍氏側近の萩生田光一文科相ではなく、萩生田氏と同じ細田派の松野博一元文科相が就いた事だ。実際、朝日新聞は「萩生田官房長官」の誤報を出し、政治部長が萩生田氏に詫びを入れる事態に発展した。

「岸田さんの頭に萩生田さんはなかったよ。確かに萩生田さんは説明がうまいし、親分肌で、記者や政治家からの評価は高い。それだけにメディア操縦に長け、官邸を牛耳ってしまう。片や松野さんは、一度文科相をして、次の入閣はもうないと思われたほど目立たない存在。岸田政調会長の元で政調会長代理をしていて、その実務能力を岸田さんは買っていた」(岸田に近い人物)

 ただ、自民党議員にとっての救いは世論調査で自民党への支持率が上がったことだろう。衆院選をどうにか乗り越えそうだが、問題は選挙後だ。自民党ベテラン秘書が言う。

「こうまで怨嗟の声が聞こえる人事は珍しい。安倍、菅両氏には、人望も政治力もあったため、抜擢人事にはあきらめがついた。ところが岸田総理は、権力闘争というより”消去法”で決まったようなものだからね。例えば3回生抜擢なら小林史明ワクチン担当補佐官をワクチン担当大臣にすべきだったし、デジタル相は長く専門的にやってきた5回生の平将明氏が順当。だがこの2人はメディア付き合いがいいので、岸田氏は敬遠したんだろう。要は岸田、甘利氏のお眼鏡にかない、“寝首をかいてこない”大人しい人物を起用したわけだ。これでは発信力に乏しく、支持率が上がることもないだろう」

 来年夏には参院選があり、内閣支持率が下がり続ければ、「岸田では戦えない」の声が党内から巻き起こる。その「泥船」と共に沈むのか、抜け出すのか。衆院選後、早くも自民党内で権力闘争が勃発しそうだ。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2021/10/07 21:00
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