『ボクらの時代』中村雅俊と小日向文世、45年前の“大スターと付き人”の関係性
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25日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)に出演したのは中村雅俊、田山涼成、小日向文世の3人。ベテラン俳優たちの集いだが、その付き合いも長く、小日向は20代の頃に中村の付き人を経験しており、中村と田山は劇団「文学座」の先輩・後輩にあたる。
中村が「小日向」と呼び、小日向は「中村さん」と呼ぶところにふたりの関係性がうかがえるが、しかし「付き人っていう感覚よりは、ちょっとした年下の、弟分みたいな感じ」と中村が振り返るように、ふたりの間に厳しい上下関係があったわけではなかったようだ。
それは中村が小日向の主演舞台に招待されたエピソードからもわかる。最前列の真ん中の席が用意された中村は、初めて見る小日向の芝居に「もう俺、緊張しちゃってさ。『セリフ大丈夫か?』とかすごい思って」と、“親ごころ”が出てしまったと明かした。それでも小日向の演技に「引き込まれた」中村は、終演後、「俺はお前に仕事を回してやることはできるけど……それイヤだろ?」と話し、小日向が「イヤです」ときっぱり断ると、「自分で這い上がってこい」と激励したのだとか。
中村は1974年に放送された日本テレビ系ドラマ『われら青春!』でいきなり主演デビューし、劇中歌となった「ふれあい」で歌手デビューも果たすと100万枚を超える大ヒットとなった。小日向が付き人を務めていた時はすでに若手の大スターだ。それでも小日向に「観に来てほしい」と言われると彼の舞台に足を運び、ちゃんと芝居はできるのかと心配した。中村は“弟分”の小日向をよほど気にかけていたらしく、小日向が六本木のゲイクラブ「プティ・シャトー」でバイトをしていた時も、「そこで働いているっていうから、行かなきゃいけないじゃない」とわざわざ訪ねたのだとか。そんな中村と小日向は、今でも定期的に飲み屋で顔を合わせているのだそうだ。
ベテランたちは昔話だけでなく、「俳優論」についても語っていた。若い俳優の台頭に「いつの間にか俺たち、そんなに居場所がなくなってきたぞ」と危機感を抱くという小日向に、田山は強く同調。デビュー作で主役だった中村も、次第に自分が主役ではなくなっていく“世代交代”があったことを振り返り、「芸能界って椅子取りゲームみたいな部分がある」と指摘した。
また、キャリアを積んだからこそのプレッシャーもあるのだという。舞台だけはいつまでも続けたいという田山が、先日ゲネプロ(本番前の通し稽古)で突然セリフが「プツっと消えた」ことがあったそうで、自分を「先輩」と立ててくれる若い役者の視線に「なぜあの時……」と余計に落ち込んでしまったそうだ。このエピソードに中村も、後輩から「すごいですよね」と言われれば言われるほどプレッシャーになると賛同。すると小日向は「ダメなジジイでいたほうがいいね。『また忘れてる』ぐらいの」と、“できない先輩”でいたほうが気が楽だと話し、ふたりを笑わせていた。
いつまで俳優を続けるか、年齢を重ねて「これからどうして生きていくか」といった人生と向き合うトークもあった今回。番組冒頭、小日向が「ついこないだのような感じだよね、20代って」と話しているシーンがちらりと挿まれていたが、それは苦楽をともにした“仲間”との語らいだったからこそ、出てきた言葉ではないだろうか。先輩・後輩ではありつつも、気の置けない間柄であることも伝わってくる、『ボクらの時代』らしい鼎談だった。
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