トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 信近エリが語る「BTS沼」

ARMYに沼落ちさせられた──信近エリが語る「BTSにどハマリした理由」と“UGC戦略”のすごさ

(写真/石田寛)

 言うまでもなく、BTSの勢いはとどまるところを知らない。5月21日に発表された最新曲「Butter」は全米総合ソングチャートである「Billboard Hot 100」で初登場1位となっただけでなく、Spotifyでのグローバル再生回数がリリース初日の1日だけで1100万回以上を叩き出し、世界新記録となった。

 彼らの業績を挙げているとキリがないが、ここ日本でいえば、日本独自ベスト盤『BTS, THE BEST』は発売1週目でおよそ78.2万枚を売り上げた。出荷ベースでは発売日に110万枚を超えている。日本では、前作『MAP OF THE SOUL:7~THE JOURNEY~』(2020年)の初週セールスはおよそ56.4万枚だったことを考えると、この1年で急速にファンを拡大させたといえるだろう。

 実際、小泉今日子が今年5月に「生まれて初めて誰かのファンになったかも」とBTS愛を告白したのをはじめ、「実はファンでした」と明かす有名無名の人たちが続々と現れている。信近エリもそのひとりだ。2004年に大沢伸一のプロデュースでデビューした歌手であり、最近は社長業に奮闘している彼女が、BTSの魅力について、ファン目線とビジネス目線の両方で語る。

ARMYが生み出す膨大な量のUGCで“沼落ち”

──いつ頃からBTSのファンになったのでしょうか?

信近エリ(以下、信近) こんなに大好きになったのはけっこう最近で、「Dynamite」ぐらいからなんです。なので全然、新規です(笑)。

存在だけだったらもっと前には認知してて。テレビの深夜の音楽番組か何かで観て、日本進出したぐらいだと思うんですけど、当時はBTSではなく防弾少年団という名前が前面に出てたので、すごい名前の人たちがいるなって。BTSの曲だってちゃんとわかるようになったのは「DNA」あたりから。それで「Dynamite」ぐらいで急にすごい好きになっちゃって。そこからどハマリ。そういう人多いと思うんですよね。

──やはり「Dynamite」の破壊力はすごかったと。

信近 それまでもニュースになったりしてたじゃないですか、「アジア人がビルボードにチャートイン」とか。だから、すごいなとは思ってたんですけど、やっぱりそこからの「Dynamite」の破壊力は本当にすごかったですね。

もう全部が素晴らしかった。曲もだし、振り付けもだし、歌も。ミュージックビデオの世界観も韓国っぽくてかわいかったし。私はまずあの歌い出しにやられちゃって。グク(ジョングク)のリズム感の良さ! ボーカルライン4人いて、それぞれ声が個性的ですごい素敵なんですけど、グクだけちょっと欧米的な歌い方なんですよ。英語で生きる歌い方で。「Dynamite」の歌い出しのグクの歌唱力とリズム感の良さにもう、びっくりしちゃって。もちろん「うまいな」ぐらいは前から思ってたんですけど、「こんなにか!」って。それで気になり始めて、気づいたら寝ても覚めてもぐらいハマっちゃって。

──具体的にどういうふうにハマっていったんですか?

信近 TikTokです。ARMY(BTSの熱心なファンたちの総称)の人たちが作るコンテンツがすごいんです! 

BTSは昔から、バラエティっぽいものだったり、ドキュメンタリー的な裏側とかもちゃんと記録に残しているんですけど、その8年分のアーカイブをハイライトにしてARMYの人たちがまとめてくれてるんですよ。それも、おもしろく編集してくれてるんです。たとえばジミンちゃんが椅子から転げがちなんですけど、そこだけ集めてるやつとか(笑)。それに沼落ちさせられた感があって。TikTokのおすすめが、最初は20回に1回ぐらいBTSだったのが、10回に1回になり、5回に1回になり……気づいたらBTSしか出てこなくなっちゃって(笑)。

それから、やっぱり今までの裏側。彼らの成長も見れるし、苦悩とか、ライブ前にステージングのことで言い争いになっている映像とかも残ってて。そういうところを見ちゃうと、なんかもう他人事じゃなくなっちゃって(笑)。今までは「音楽かっこいいな」で終わってたのに、何か他人事とは思えないような感じがして。母みたいな気持ちになってハマっちゃった30代~40代の女性はすごく多いと思います。

──なるほど。感情移入しちゃうわけですね。

信近 そうそう。BTSのファンの人ってそれぞれ推しはいるんだけど、結局みんなハコ推しで。みんな大好きなんですよね。メンバーの仲の良さも素晴らしいし。仲良いグループってもちろん他にもいっぱいいると思うんですけど、それがちゃんと伝わる裏側がしっかり記録に残ってて、それを垣間見ることができるっていうのが、“身内感”を強めている気がします。

だから私は本当にARMYのおかげでハマったみたいなところがあるんです。8年分全部追おうと思ったら大変じゃないですか? でも、それぞれが好きなシーンとかをハイライトにしてまとめてくれてるから、8年分をワッ!てARMYたちのコンテンツで知っちゃって、何か勝手に身内のような気がしてきちゃったっていう。完全にARMYに沼落ちさせられたと思ってます。ARMYの人たちに感謝ですね。

──ARMYの力はすごいですよね。

信近 なんならもうスタッフだと思います(笑)。ビジネスだとUGC(User Generated Contents、一般ユーザーによって作られたコンテンツのこと)っていうんですけど、その量が尋常じゃないし、ARMYの人たちがそれぞれの解釈でまとめてる動画とか本当におもしろいんです。で、関連動画を見だすと止まらないんです(笑)。

そしてすごいのは、そういうUGCを規制してないんですよね。二次使用を禁止したりする手法もあるとは思うし、コンテンツを出し惜しみするやり方もある。日本はわりとそういうのが強いと思いますけど、BTSのやり方は今のマーケティングとして大成功じゃないかと思います。動画コンテンツがいろいろある中で、規制せずUGCで売っていくっていうのは、今の売り方ですよね。それにまんまと私はハマってます(笑)。

12
ページ上部へ戻る

配給映画