『呪術廻戦』休載“英断”に漫画家たちから支持の声! 「バキーンって描けなくなる」と生々しい実体験も
#呪術廻戦 #休載
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の芥見下々氏の大ヒット漫画『呪術廻戦』が、6月21日発売の同誌29号から「一月ほど」休載すると10日に発表された。これをきっかけに、休養を提案した同編集部を評価する声や、連載で疲弊して「描けなくなった」とする生々しいエピソードなどが漫画家たちから寄せられている。
テレビアニメも評判を呼び、今冬には劇場アニメ『劇場版 呪術廻戦 0』も公開予定と、“ポスト鬼滅の刃”との呼び声もあるほど人気が高まっている『呪術廻戦』。今年4月にはコミックスのシリーズ累計発行部数が4500万部(デジタル版含む)を突破するなど絶好調だが、一方で今年に入ってから作者の体調不良による休載やネーム(下書き)状態での一部掲載など、不安定な状態が続いていた。
10日の発表によると、以前から編集部は芥見氏にまとまった休載を打診。芥見氏は「週刊連載のスピード感のない呪術廻戦に魅力を感じない」「早く完結まで描いてしまいたい」との理由で連載を続けていたが、編集部と協議した結果、1カ月ほど休んで体調の回復に専念することになったという。
芥見氏は「体調を崩したといっても大病したわけではなく、メンタルは通常運転なのでご心配には及びません」とし、ファンに「ただただお待たせして申し訳ないです。復帰からは新連載のつもりで頑張ります」と呼び掛けている。
体調には問題ないとしているものの、自筆のコメントでは「『ネームはまぁ半日あれば余裕っスね』とか言っておいてその半日を始めるまでに二日半ば“横”みたいな状態が続いてしまい……」とも告白しており、とてもいい状態とはいえないようだ。
この発表を受けて、『ラブひな』などで知られる漫画家の赤松健氏は「(週刊少年)マガジンはかなり昔から定期休載制があったが、ジャンプでは『休むのは許されない』みたいな雰囲気があって、今回のように編集部のほうから『まとまった休載』を提案した、というのは素晴らしいことだ」とツイート。ジャンプ編集部の「英断」を評価した。
実際、かつては「休むのは許されない」という空気があったようで、ジャンプで連載された『究極!!変態仮面』の作者・あんど慶周氏は、「時代の流れか。『今週原稿落としたら600万部×190円=11億4000万円を君、保証できるか?』て担当に言われたことあったな」と驚きの証言をツイート。
同じくジャンプで『花さか天使テンテンくん』などを連載した小栗かずまた氏は、「週刊で高いクオリティの漫画を描くというのはやはり無理がある。僕は初めて休みを貰えたのは連載3年目でした。途中病みそうでした」などと綴り、「健康あってこその創作だと思います」と訴えた。
さらに「週刊少年サンデー」(小学館)で『絶対可憐チルドレン』を長期連載している椎名高志氏は、「『もうダメだ』まで頑張らず、『ダメの気配』がしたとこで先手打つのが正解だ」とコメント。「本格的に壊れると、数ヶ月休んだくらいではどうにもなんなかったりするからね。休むのは後ろめたいけど、そうなったほうがしんどい」とも記し、休養の判断を支持した。
これにアニメ化もされた『BLACK LAGOON』のヒットなどで知られる広江礼威氏が、「3年どうにもならなかった上に今に至るも復調できない」と、自身の長期休載の経験を踏まえて同調。続けて「面白いくらい『バキーン』って感じで描けなくなる。嫌だとか描きたくないと言う感情が出る以前に『動かなくなる』のよ。不思議」と生々しいエピソードを明かし、大きな反響を呼んだ。
「かつての漫画雑誌業界は作家を使い潰すのも辞さないような雰囲気があり、消耗した作家が突然断筆してしまうケースもあった。しかし、近年は簡単にヒット作が出なくなったこともあって、才能ある作家が潰れてしまえば雑誌の死活問題になる。ジャンプにおいては、一時長期休載になった葦原大介氏の『ワールドトリガー』や、2018年から2年以上も休載が続いている冨樫義博氏の『HUNTER×HUNTER』の存在が大きく意識を変えさせた部分もあるでしょう」(出版関係者)
「倒れる前に」「描けなくなる前に」という今回のジャンプ編集部の判断は多くの漫画家やファンに評価されており、この大英断は業界の変革につながる可能性もありそうだ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事