スポンサー企業の「ジャニーズ離れ」開始…東山新社長の“新体制”も問題か
#CM #ジャニーズ事務所
ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、7日に開かれた記者会見で同事務所は新体制を発表したものの、一方で大企業を中心としたCMスポンサーに「ジャニーズ離れ」の動きが起き始めている。
7日の会見では、ジャニー氏による性加害を事実と認めて謝罪。その責任を取って藤島ジュリー景子氏が5日付で社長を辞任するとともに、所属タレント最年長の東山紀之が新社長に就任することを発表した。東山新社長は、年内にタレント業を引退し、被害者の救済や事務所の更生に「命をかけて取り組む」と宣言。しかし、被害者への補償を責任をもって全うするためとしてジュリー氏は当面の間、代表取締役の座にとどまる。ジュリー氏が100%株主である点についても、補償について話を進めやすいとして、しばらくは変更がないようだ。
信頼回復に向けて組織再構築による“出直し”を誓うための会見ではあったが、スポンサー企業の評価は厳しいようだ。特に、ナショナルクライアントと呼ばれる大企業は動きが早く、共同通信などの報道によると、嵐の相葉雅紀をCMに起用している損保大手・東京海上日動火災保険は「いかなる形態のハラスメントも認めない」としてジャニーズとの契約解除を検討。さらに同社は、今後について「ジャニーズ事務所との広告契約を更新しない」との方針を決定しており、これは事実上のジャニーズとの“縁切り”ではないかとも指摘されている。
また、かつて嵐を広告キャラクターに起用し、嵐の活動休止後も櫻井翔や松本潤がCMに出演していた日本航空(JAL)は、ジャニーズ所属タレントの広告起用を当面見送る方針を決定。期間については「再発防止策や被害者救済に関わる検討状況を注視し、適切な対応がとられるのを確認するまで」としており、実質的には“無期限”ともいえる。櫻井や松本との契約は今も続いているというが、現在は広告への露出はなく、このままひっそり終了となる可能性がありそうだ。
ジャニーズとの付き合いが長く、現在もSnow Manの目黒蓮をCMに起用しているコーセーは、現時点での対応は公表していないものの、共同通信の取材に「いかなる性加害も絶対に許されるものではない。今後、事務所が行う改革や取り組みをしっかりと確認しながら、適切に対応する」と厳しいコメント。なにわ男子を広告に起用している森永製菓も「事務所には再発防止、被害者救済はもちろんのこと、責任ある企業としてガバナンス強化を実現してもらう必要がある」と指摘し、契約の継続には事務所の改革が必須であるとの立場を示している。
また、目黒やジャニーズWEST・重岡大毅らがCMに出演しているキリンホールディングスは、代理店を通じて「被害者の救済と再発防止の徹底」を求めているとしており、スポンサーをつなぎとめるためには組織改革だけでなく「被害者への補償」も不可欠なようだ。
その一方で「ジャニー氏が起こした問題であって、所属タレントに罪はない」との立場から契約継続を明言している企業も少なからずあるが、大企業の多くは厳しい見方。その要因としてはやはり、ジュリー氏が代表取締役として残留するという「外部専門家による再発防止特別チーム」が指摘した同族経営の問題の解消がなされていない点や、所属タレントが社長に就任する点など、「新体制」と呼ぶには代わり映えしない印象が強い部分が指摘されている。特に象徴的とされるのが、東山新社長がジャニー氏の名前を冠した「ジャニーズ事務所」という屋号を継続する意向を示したことだろう。いくらタレントに罪はないといっても、スポンサー企業にすればジャニー氏の名前を想起させる事務所と契約しているというだけでイメージに悪影響があるかもしれず、国際的に展開している大企業は海外の反応も気になるだろう。
ただ、会見の終盤にはジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦が「(ジャニーズの名称が)犯罪者の名前、ということについては、これからも考えていかなければならない」「みんなで時間をかけ、変えるなら変える、変えないなら変えない。しっかりみんなの了解を得ていく」と名称変更の可能性を示唆。これを受けて、東山新社長は社名変更を検討する余地が「ある」と発言しており、スポンサーからの反発なども含めれば、「ジャニーズ事務所」の社名が消滅する未来もあり得るのかもしれない。被害者への補償が速やかに進めばジュリー氏は代表取締役を退くとの意向も示しており、現在は本格的な「新体制」への移行期間といえそうだ。
とはいえ、そうしている間に大企業を中心に「ジャニーズ離れ」の動きがさらに加速するおそれもあり、現行CMが次々と契約解除となる可能性だけでなく、今後についても「しばらく、ジャニーズタレントのCM新規契約はほとんどなくなるだろう」との見方が広告業界で大勢を占めている。日本航空がジャニーズ起用見送りを「適切な対応がとられるのを確認するまで」としたことにも現れているように、一刻も早く事務所への信頼を取り戻す体制改革が求められる。
被害者への補償金額については、100億円に達する可能性もあるとの見方も出ており、ジャニーズ事務所にとって大きな収入源のひとつであるCM契約が激減したら、会社の屋台骨が揺らぎかねない。ひとまずは記者会見を何とか終えたジャニーズ事務所だが、本当の正念場はまだこれからといえそうだ。
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