『VIVANT』太田はテントをハッキング済で乃木は別班の作戦中? 別班4名生存説の“証拠”も…
#堺雅人 #二宮和也 #日曜劇場 #VIVANT
堺雅人主演のTBS系日曜劇場『VIVANT(ヴィヴァン)』。9月3日に放送された第8話では、これまで謎のベールに包まれていた国際テロ組織「テント」の内情が明らかにされたが、自衛隊の陰の諜報部隊「別班」の一員である主人公・乃木憂助(堺雅人)がテントに寝返ったのはやはりテントに潜入するためではとの視聴者の考察も活発になっている。
丸菱商事に勤める「冴えない商社マン」乃木が巻き込まれた誤送金事件から始まった本作。乃木の真の姿は別班員で、テントを調査する任務を行っており、誤送金もテントによって仕組まれたものだった。警視庁公安部の捜査員・野崎守(阿部寛)と協力して丸菱商事で誤送金を仕掛けたモニター(協力者)をあぶりだした乃木は、誤送金に関わったアリ(山中崇)がテントの「日本担当」であることを知り、アリを脅迫。テントの創設者でリーダーであるノゴーン・ベキ(役所広司)が、幼い頃に死に別れたはずの実の父親・乃木卓(林遣都)であるとの確信を掴み、さらにテントとの連絡用アプリに使われているサーバーのハッキングに成功する。そしてテントのナンバー2であるノコル(二宮和也)との接触に成功した乃木は、行動を共にしていた他の別班員たちを銃撃。自分はベキの息子であると主張し、ベキとの40年ぶりの再会を果たす。
第8話では、当初は疑いの目を向けられ、捕らわれの身となっていた乃木が、ベキに認められていく過程が描かれた。「憂助は死んだはずだ」と戸惑うベキだが、ノコルに接触できた経緯、乃木が話す父母との別れの話、その後の生い立ち、乃木が持っていた家に伝わる守り刀と、息子である信憑性は高まる一方で、ついにDNA鑑定を行う。ベキもまた息子を探していたが、乃木が記憶を失ったために別名をつけられて育てられたため、見つけられなかったのだ。本物の父子であることが証明されるとベキは涙する。それでも、仲間を裏切って自分のもとにきた乃木を心から信頼できないベキ。能力の高さを発揮してベキに利用価値があると認められた乃木は、ようやく牢屋から解放される。ベキは乃木のために部屋を用意し、”息子”として扱ってきたノコルと同じ純白のデール(民族衣装)を着せて乃木を長男として扱うように。兄弟で力を合わせろと、ベキはノコルが代表を務めるムルーデル社で乃木を働かせるよう命じた。
また第8話は、乃木の目線からテントの内情が明かされていく。テントの収入は各国で仕掛けていた誤送金だけでなく、活発に行われていたテロ活動もすべて請け負い仕事で、しかもサイバー攻撃、暗殺、誘拐などの汚れ仕事も積極的に受け、巨額の報酬を得ていた。それゆえにテントのテロ活動には主義主張がなかったのだ。すべては金を得るため。そして8000万ドルもの巨額の幹部報酬は、すべてバルカの孤児たちの救済に投じられていた。ベキやノコルは子どもたちに慕われているようだった。また、ムルーデルで働くことになった乃木は、過去10年の損益計算書を見て、テントの6億ドル近い収益が丸々ムルーデルの儲けとしてマネーロンダリングされていることや、諸経費を除いた8割近くを土地の購入費に充てていること、テントが大規模なテロ仕事を請け負い始めた3年ほど前から土地購入を始めたことに気づく。はたしてテントの真の目的は何なのか――。
今回の見どころのひとつは、“長男”となった乃木に対し、嫉妬を隠せないノコルだろう。血はつながっていないものの、息子として扱われ、組織のナンバー2として実務上のリーダー役を担っているノコルは、当初こそ「私はあなた(ベキ)の息子ですよ」と言うほどに、“ノゴーン・ベキの息子”としてのプライドをギラギラさせ、乃木に余裕しゃくしゃくの態度を取っていた。だが、乃木が実の息子であると知って涙するベキの姿を見た際には何とも言えない表情で2人を眺め、以降は乃木に対して敵意をむき出しにするように。ノコルが見せる嫉妬心といら立ちは、今後何が起こっても不思議ではないぐらい緊張感を漂わせていた。もしノコルの嫉妬心が暴走すれば、最愛の父であるはずのベキを裏切る展開もあるかもしれない。
一方、ノコルは“息子”として、ベキの態度の変化に敏感に気づく。ベキが、乃木に純白のデールを与え、長男として扱うようになると、ノコルは「お父さんはどんなに知能があろうと、仲間を裏切り、殺し、ここに来たこの男を息子と認めていなかったはず。なのになぜ急に態度を変えたんだ」と不審がっていた。これはおそらく乃木の特殊能力と関係があるだろう。乃木が手に乗せるだけで1kgまでならほぼ10gの誤差に留めて重さを量れるという“特技”を発揮して青年養護施設内で起こった不正を見破ると、ベキは「誤差はどのぐらいだ?」と乃木に確認していた。乃木のことは信頼できないが「他に代え難い能力なら利用する」とベキが宣言していたことを考えると、この乃木の能力を何かに利用できると閃いたのではないか。
ベキやノコルは乃木を心から信頼していないようだが、その態度は正しいかもしれない。第7話ラストで乃木が撃ち、即死とされた別班員4人だが、死亡が確認されたシーンはなく、野崎ら日本の公安とバルカ警察によって棺桶の状態で飛行機に運ばれただけだ。第7話で乃木が野崎に送っていた“メッセージ”が共闘を意味しているのであれば、空港のシーンは、テントの人間に見られていることを意識したうえで死亡をあえて装ったと考えられる。実際、公式YouTubeチャンネルで7月26日に公開された「『VIVANT』キャスト最新ビジュアル公開!遂に、本当の冒険物語が幕を開ける」という動画では、撃たれた別班員のひとり・熊谷一輝を演じる西山潤の紹介場面が、熊谷が患者衣を着用して点滴をしながら歩いているシーンだった。これは今まで登場していないシーンであることから、熊谷が生存しているのはほぼ間違いなく、ということは乃木に撃たれた別班員4人は生存している可能性が高い。つまり、乃木が他の別班員を銃撃して寝返るという行動自体が作戦の一環だとみられるのだ。そもそも別班指令の櫻井里美(キムラ緑子)は第7話、作戦行動前の別班員6名に向かって「今回の任務により、なぜテントが主義主張のないテロを繰り返すのか、日本の何を狙っているのか、世界で初めて私たちが知ることになります」と宣言していた。ただテントのメンバーと接触を図るだけでここまでの成果を得られることを期待するのは不自然で、リーダーの実の息子である乃木をスパイとして潜入させる計画だからこその発言だったのではないだろうか。
また、テントの1年間の収支報告のデータを見る際、乃木が監視カメラの位置を確認するシーンもあった。別班にかくまわれている天才ハッカ―の太田梨歩(飯沼愛)がハッキングし、乃木は防犯カメラを通して別班に情報提供しているのではないだろうか。乃木はどうやってアリを味方につけたか問われると「家族を殺しました」と言い放ち、ベキたちに乃木がアリを脅迫した映像を確認させたが、この映像はクラウド上にあると説明されていた。このクラウド上の映像にベキたちがアクセスすると、太田がテントのサーバをハッキングできる……という手はずだったとしたら。実際には乃木はアリの家族を殺したかのように見せただけで全員無事であり、ベキが確認した映像にも救出される場面まで残っていたことを考えると、あえてアリの家族を殺したとインパクトの強い言葉を言うことで、クラウド上の映像にアクセスさせるよう誘導したのではないか。ベキがテントの仲間を家族のように扱っていることを知っていたからこそ、「家族を殺しました」と言う言葉が効果的だったのかもしれない。
乃木の別人格と思しき「F」が第8話でまったく登場しなかったのも気になる。第6話で乃木がベキに会いたいとFに明かし、「本当の息子だと分かれば、愛情を注いでくれるかもしれない」と期待を込めると、Fは「ベキに会うのはいい。だが、その時は親父を殺す時だ」と警告していた。終始見張られているため出てこなかった可能性もあるが、Fが乃木を助ける必要も、乃木に忠告する必要もない状況――すなわち乃木が作戦の実行中であるからとも見ることができるだろう。
『VIVANT』は全10話で、最終回は来週17日の放送であることが正式に発表されている。つまり、残すはあと2話。第9話の予告では「我らを欺き、お前は別班としてここに来た」とベキに糾弾されるシーンもあり、乃木の真意が明らかになりそうだ。今夜19時からは生放送特番が、21時30分からは本編が79分の拡大版で放送され、たっぷりと『VIVANT』の世界に浸ることができるだろう。第9話も「最終回への橋渡しにふさわしい衝撃のラストシーン」が用意されているというが、はたしてどんな驚きが待ち受けているのか。
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日曜劇場『VIVANT』
TBS系毎週日曜21時~
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也、飯沼愛、山中崇、河内大和、馬場徹、二宮和也、井上順、林遣都、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、橋本さとし、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織
原作・演出:福澤克雄
演出:宮崎陽平、加藤亜季子
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
音楽:千住明
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/VIVANT_tbs
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