トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > スポーツ  > 世界スポーツ中継の厳しい現実

世界陸上にバスケW杯…テレビ局は「WBCの二匹目のどじょう」狙うも低視聴率は必至

世界陸上にバスケW杯…テレビ局は「WBCの二匹目のどじょう」狙うも低視聴率は必至の画像
『世界陸上2023 ブダペスト』TBS公式サイトより

 今年は2021年の東京五輪以来の「スポーツイヤー」と言われて久しいが、スポーツイベントをめぐって明暗がくっきりしている。

 夏の高校野球「全国高等学校野球選手権大会」は、宮城の仙台育英高校と決勝で戦い、神奈川の慶応高校が大正時代の第2回大会以来、107年ぶり2度目の優勝を果たすなど盛り上がった。

「今大会は当初、プロ注目の選手が例年以上に少なくて話題もまばらだったが、終盤になって髪を丸刈りしない“新時代”の高校球児が駆け上がり、大きな話題を呼ぶことになりました」(アマ野球関係者)

 中継視聴率はもちろんのこと、「テレビ朝日系列で毎晩放送される『熱闘甲子園』も注目度は高い。企業イメージアップにもかなり貢献したので、来年もコカ・コーラが一社提供でCM枠を買いきるだろう」と広告会社幹部は語る。

 他方、これから苦戦が強いられるのが世界的なスポーツイベント。「世界陸上競技選手権大会 2023」は8月19日に始まったが、話題がまったくない。

「国内ではTBS系列の独占放送だが、視聴率も芳しくなく、TBS関係者は落胆を隠せずにいます。同じ状況は、25日から開幕する『FIBAバスケットボール・ワールドカップ』も同じ。かなり勝ち進めば風向きも変わりますが、NBAでも活躍する八村塁が日本代表に不参加が決まった時点で、中継するテレビ朝日・日本テレビ内では『低視聴率は確実』『スポンサーにどう説明すればいいのか』と悩む声が聞かれた。今から戦々恐々でしょう。特にテレビ朝日は、好視聴率の連ドラの放送を休止してまで中継した7月の『世界水泳選手権2023福岡大会』で大外ししたばかりですからね」(前出の広告会社幹部)

 9月に開幕する「ラグビーワールドカップ2023」はNHKと日本テレビ、同じく9月からの「FIVB パリ五輪予選 ワールドカップバレー2023」はフジテレビが中継する。

「どの局も欲しいのはとにかく視聴率。近年は広告不況なのに放映権料が上がるスポーツ大会が増えています。それでも3月に開催された野球の『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』のようにすさまじい視聴率を取ることができれば、仮に赤字だったとしてもテレビ局のブランディング向上に貢献したとして表彰を受けることもある。逆に視聴率が取れなければ今後、新規のスポーツ中継物件を見送る放送局が続出しそう。結果的に、放映権を仕入れて販売する大手広告会社の収益にも影響が及ぶことになります」(同)

 在京テレビキー局編成マンは「スポーツ中継は始まってみないとバズるのか分からないのが難点で、以前はそれを許容できるだけの余裕が体力的にありましたが、今はありません。3月のWBCだって、費用対効果を優先したTBSは一部強化試合の中継を見送っているほどですから。バクチな編成はもうできなくなっています」とこぼす。

 それでもサッカー女子W杯のように、競技の認知度向上のためには地上波テレビ中継は必須であることは変わりない。単純な「WBCの二匹目のどじょう狙い」だけでは済まされない複雑な実情が、令和の時代のスポーツ中継には覆いかぶさっている。

大山ユースケ(ライター)

1990年、千葉県生まれ。某大手メディアに勤務中の複業ライター。得意ジャンルはお笑いと酒。

おおやまゆーすけ

最終更新:2023/08/24 07:00
ページ上部へ戻る

配給映画