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高畑充希、声優務める『バービー』騒動で抗議表明…クライアント批判恐れぬ態度に喝采

高畑充希、声優務める『バービー』騒動で抗議表明…クライアント批判恐れぬ態度に喝采の画像
高畑充希は映画『バービー』で主人公・バービーの声を務める

 8月11日に日本公開される米映画『バービー』をめぐる“原爆ファンアート”騒動で、日本語吹き替え版で主人公の声優を務める女優の高畑充希が、難しい立場にありながら自身の思いを表明したことに称賛の声が集まっている。

 『バービー』は長年愛されているバービー人形の世界を実写化した作品で、アメリカでは、原爆の開発を主導した物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描く映画『オッペンハイマー』と同日に公開されたことで、両作を観ようという「バーベンハイマー」運動が発生。テイストのまったく異なる両作を掛け合わせることがおもしろがられ、SNS上では、バービーの髪型をきのこ雲に置き換えた画像や、大爆発をバックに笑顔のバービーがオッペンハイマーの肩に乗っている画像などの“原爆ファンアート”が多く投稿された。

 それだけなら一部の悪ノリということで済んだかもしれないが、これらのファンアートに対して、アメリカ版『バービー』公式アカウントがハートマークや笑顔の絵文字と共に「思い出に残る夏になりそう」(現在は削除)などと好意的な反応をしたことで大問題に。

 日本を中心に「原爆はネタにしていいものじゃない」「バービー楽しみだったのに失望した」といった声が集まり、7月31日に日本の配給元であるワーナー ブラザース ジャパン合同会社は、『バービー』の日本版公式アカウントを通して「アメリカ本社の公式アカウントの配慮に欠けた反応は、極めて遺憾なものと考えており、この事態を重く受け止め、アメリカ本社に然るべき対応を求めています」との声明を発表。今月1日には、米本社が「配慮に欠けたソーシャルメディアへの投稿を遺憾に思っております。スタジオより深くお詫び申し上げます」と謝罪する事態となった。

 それでも批判が収まらない中、高畑は2日のジャパンプレミア試写会への出席前に、Instagramのストーリーズ機能を使って「今回のニュースを耳にした時、怒り、というよりは正直、不甲斐なさが先に押し寄せてきました」と騒動に言及。「今回の件は本当に本当に残念です。他人事ではなく考えてもらえるにはどうしたらいいんだろう、と。声を上げ続けるしかないのかな、と。モヤモヤする中で今日という日を迎えてしまいました」などと複雑な心境を吐露した。

 高畑はジャパンプレミアについて「正直、今日登壇を辞退することも考えた」としたが、このために監督のグレタ・ガーウィグ氏とプロデューサーのデイビッド・ヘイマン氏が来日していることから「来日してくれたお2人の想い、そして私自身、このBarbieという作品自体の素晴らしさはぜひ知っていただきたいな、という気持ちを消せませんでした」とし、制作者や作品へのリスペクトを強調したうえで「明るい気持ちで今日を迎えたかったなー、悔しいです。楽しみにしていたので、とても」と抗議の意思を明かした。その後、高畑はジャパンプレミアでの舞台あいさつにバービーカラーのピンク色の着物姿で気丈に登壇している。

 これに対し、ネット上で驚きと感心の声が多く上がった。高畑は今作の日本語吹き替えのオファーを受けた立場であり、今回のメッセージは場合によっては「クライアント批判」ととられかねない。それでもしっかりと自分の言葉で意見を表明したことで、SNSでは「正直、高畑さんはスルーすると思ってたから、この対応は好感もてたな」「高畑充希さんの対応がいろんな意味で素晴らしい」「立場的にスルーしたって誰も責めないだろうに、きちんと向き合って真摯に考えを伝えてくれて素敵な人だ」といった称賛コメントが続出した。

 さらに、SNSで高畑の名前を検索すると「とばっちり」「気の毒」「かわいそう」といった関連ワードがサジェストされるなど、同情の声も集まっているようだ。

 高畑以外のタレントからはほとんど抗議の声は上がっていないが、そんな中でロックバンド「ONE OK ROCK」のTakaは2日、Threadsで騒動に反応。問題となったファンアートの画像を引用しながら、「おいマジで舐めんなよって気分になる」と猛烈な抗議の意思を表明した。さらに、TakaはInstagramのストーリーズでも「頭が悪いのか歴史をしらないのか、、、、ただ日本人としてマジで気分悪い」と怒りをあらわにし、ネット上で「よく言ってくれた!」「黙ってちゃいけないって教えてくれてありがとう」などと喝采を浴びている。

 高畑とTakaが大きく声を上げた一方、グレタ・ガーウィグ監督ら制作サイドは来日しながらも騒動には言及していない。また、ラーム・エマニュエル米駐日大使も、騒動に一切触れずに「バービーは全ての女性の代表であり、全ての女性がバービーそのものです。バービーは60年以上にわたり、女性は何にでもなれることを世界中で示してきました」「グレタ(監督)とバービーは、未来の女性、少女たちに勇気を与える応援団です」などとSNSで映画を褒め称えるなど、日米間での“温度差”が指摘されており、今後も尾を引きそうな気配だ。

 8月6日・9日の「原爆の日」や15日の終戦記念日が迫る中で反発がより高まっていくおそれがあり、日本における興行戦略が完全に狂ってしまった感のある『バービー』。高畑はとんだ「とばっちり」を受けたといえるが、優等生イメージがあった彼女が今回の一件で「芯の強さ」を垣間見せたことで、タレントとしての株は大きく上がったといえそうだ。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/08/04 21:00
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