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TVerドラマ人気ランキング特別編

『VIVANT』圧勝!『真夏のシンデレラ』も強し…TVerお気に入り登録者数で見る夏ドラマ

『VIVANT』圧勝!『真夏のシンデレラ』も強し…TVerお気に入り登録者数で見る夏ドラマの画像
ドラマ公式サイトより

 「テレビ番組の無料見逃し配信」としてすっかり定番化したTVer。今年5月には月間動画再生数が3億5877回と過去最高を更新し、TVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)も同様に過去最高記録(2800万)を達成した。TVerの月間動画再生数は2020年10月の時点では1億回、2021年10月時点では2億回、今年3月時点で3億回であり、右肩上がりの勢いでサービスが浸透・成長していっていることがわかる。

 実際、博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所の「テレビドラマの視聴実態と選択意識調査2022」によれば、テレビドラマ視聴において、やはりテレビで視聴する層は依然として多いものの、昨年の時点でスマートフォンで観るという層も目立ち始め、30~40代では22.3%、10~20代では45.5%にまで達している。TVerが公開している再生数ランキングにおいても、ドラマの放送時期はトップ30の大半をドラマが占拠しており、TVerアプリの累計ダウンロード数も今年4月時点で6000万を突破。令和のドラマ視聴においてTVerは間違いなく無視できない存在だ。

 しかしTVerは、かつては番組再生数の実数をクール毎にランキング形式で発表していたものの、2022年1-3月期を最後に発表がなくなった。初回の見逃しの再生数や、新記録を打ち立てた際(『silent』はTVerでの累計再生数が7300万回を超えて歴代新記録)などに発表される程度にとどまっており、具体的な数字が公開される機会は少ない。

 そこで今回は、視聴率だけでは見えにくい夏ドラマの人気度合いを、TVerの「お気に入り登録者数」から測ってみる。

『VIVANT』が今期は圧勝、月9『真夏のシンデレラ』の勢いも注目

『VIVANT』圧勝!『真夏のシンデレラ』も強し…TVerお気に入り登録者数で見る夏ドラマの画像2

 大方の予想通りというところだが、規格外のスケールとなっている堺雅人主演のTBS系日曜劇場『VIVANT(ヴィヴァン)』がお気に入り登録者数ではトップとなった。

 華やかなキャストも取り揃え、映画やドラマなどの国内レビューサービス「Filmarks」のClip!数(ユーザーが観たいドラマとして登録した数)では放送前の段階で他のドラマを圧倒して1位だったが(7月8日付けの「夏ドラマ注目度ランキング」を参照)、一方で具体的なあらすじやキャストの役柄など事前情報を伏せていたためか、お気に入り登録者数は放送前は低めだった。しかし放送がいざ始まると、登録者数は爆増。初回放送前日の7月15日0時時点で36.7万だったのが、翌週22日0時時点で83.1万にまで膨らみ、第2話(23日放送)を終えて25日5時時点で98.7万人に。放送前日から10日間で60万人以上が増えるという驚異の伸びを見せ、一気にトップになったとともに、2位以下に差をつけている。

 『VIVANT』は世帯視聴率も初回11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から第2話11.9%と微増しており、初回放送がピークとなりやすい連ドラにおいて珍しい動きを見せているなど、まさに盛り上がっているところ。今期ドラマでお気に入り登録者数100万の大台に乗る最初の作品になるのは間違いないだろう。TVer再生数ランキング(総合)でも今のところトップ5から落ちることがなく、視聴率も2ケタ推移ということで、よほどのことがないかぎり今期の覇権ドラマとなりそうだ。

 そして『VIVANT』に追い抜かれるまではトップを走っていたのが森七菜×間宮祥太朗のフジテレビ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』。24日に第3話までが放送され、さすがにお気に入り登録者数の伸びもやや鈍化してきたが、それでもまもなく90万に到達するところ。『真夏のシンデレラ』は世帯視聴率の低さ(初回6.9%、第2話5.4%)から一部で「爆死」などと揶揄されてしまうが、実際には配信人気が高く、放送スタート1週間後の18日時点で初回の見逃し配信は325万再生と好発進を見せている。

 また、往年の夏のラブストーリーのベタな要素を散りばめるなど「ネタドラマ」的な側面はあるが、「王道恋愛ドラマならではのファンタジー」を意図してやっており、10代などの若年層からは新鮮に映る内容でもあるようだ。主人公の夏海(森七菜)が身につけるくじらネックレスなど番組公式グッズが完売するといった人気もあり、「世帯視聴率だけで語れないドラマ」の代表格のひとつとなっていくかもしれない。ちなみに先述の『VIVANT』も番組公式グッズに力を入れており、『ルパン三世』や『ウルトラマン』とのコラボTシャツなども売り出されている(どちらも劇中、ある人物が観ているアニメという設定)。

 『VIVANT』に続いて放送前のFilmarksクリップ数が多かった松岡茉優主演の日本テレビ系土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』もまた、順調にお気に入り登録者数を伸ばしている。菅田将暉主演で大反響を呼んだ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』のスタッフが関わる謎解き要素も強い作品で、後半に尻上がりに視聴率を上げていった『3年A組』のように、ここから勢いが増す可能性もある。また、『最高の教師』は鳳来高校の3年D組を舞台にしているが、隣の3年C組を舞台にしたクロスオーバー作品『最高の生徒~余命1年のラストダンス~』も存在しており、こちらは別にお気に入り登録者数23.6万人。こちらを足せば100万を超える。学園サスペンスの『最高の教師』とは違い、『最高の生徒』は青春ドラマと毛色が異なるが、共通するキャストがいるだけでなく、『最高の教師』でのエピソードが『最高の生徒』にも登場するなどリンクする仕掛けで、ここがどう機能していくかも注目される。

 4位となったのは坂口健太郎主演の読売テレビ制作・日本テレビ系列放送の日曜ドラマ『CODE-願いの代償-』。7月2日に初回放送を迎え、早くも第4話の放送を終えているがゆえに登録者数の伸びはやや落ち着きつつあるが、第4話で謎の一部が解き明かされ、ストーリーも大きく動き出すところなだけに、ここからどうなるか。どんな願いも叶えるという正体不明のアプリをめぐるクライムサスペンスという、マンガ的な世界観の作品だが(台湾ドラマのリメイク)、TVerオリジナルストーリーを配信するなど配信に力を入れており、TVerでの見逃し配信も3話連続で配信3日以内に100万再生突破と好調だ。

『トリリオンゲーム』『ウソ婚』ジャニーズドラマも強し

 第5位と第6位で接戦となったのは、Snow Man・目黒蓮主演のTBS系金曜ドラマ『トリリオンゲーム』と、Sexy Zone・菊池風磨主演のカンテレ制作・フジテレビ系列放送の火ドラ☆イレブン『ウソ婚』で、奇しくも「タレントパワーランキング」による「10~20代の若手ジャニーズランキング(2023年第2四半期)」で1位と3位になったふたりの主演作。どちらも人気マンガ原作という共通項もある。特に『ウソ婚』は午後11時台という深夜帯のドラマということで6位に食い込んでいる勢いは特筆したい。30分枠で気軽に見られるラブコメというのも強いのだろう。

 ジャニーズドラマでは他に生田斗真主演・三池崇史監督のテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『警部補ダイマジン』のほか、Sexy Zoneの中島健人がメインキャストで出演中のテレビ朝日系火曜ドラマ『シッコウ!!~犬と私と執行官~』もお気に入り登録者数でトップ15入り。ただ7月4日スタートと早かった『シッコウ』はすでに伸びがかなり落ち着き始めており、今後はもっと順位を下げる可能性も。

 そこで注目したいジャニーズドラマは、7月29日スタートとなるテレビ朝日系オシドラサタデー『ノッキンオン・ロックドドア』。SixTONES・松村北斗となにわ男子・西畑大吾のW主演で、第70回日本推理作家協会賞の候補になった青崎有吾の小説を実写化するミステリ作品だが、放送前からお気に入り登録者数は22.7万人と、放送中のGP帯フジテレビ系木曜劇場『この素晴らしき世界』(22.4万人)をすでに上回っている。お気に入り登録者数は放送が始まって一気に増える傾向にあるので、同じ深夜帯の『ウソ婚』や『警部補ダイマジン』に迫れるかも注目されるところだ。

 深夜ドラマでは、日本テレビ系金曜ドラマDEEPの新作『癒やしのお隣さんには秘密がある』や、ABC・テレビ朝日系ドラマL『around1/4 アラウンドクォーター』も話題。田辺桃子×小関裕太W主演の前者は、隣の部屋に引っ越してきたイケメン御曹司が自分のストーカーだった……という“やみキュン”ラブストーリーで、これもまた人気マンガの実写化。金曜ドラマDEEP枠は前期に始まり、妻が夫に復讐する稲森いずみ主演『夫婦が壊れるとき』(英国ドラマのリメイク)は、第12話(全13話)放送後の6月27日時点でTVerでの再生数が累計2800万再生を記録し、深夜ドラマとして史上最高記録を打ち立てたことで話題となった。

 EXILE/FANTASTICS・佐藤大樹が主演する後者の『アラクオ』もマンガの実写化だが、こちらは冒頭4分40秒も性的なシーンが続くという衝撃的な初回放送も話題となった、いかにも深夜ドラマらしい作品で、サムネイルも官能的なシーンがピックアップされていることもあってか、見逃し配信の再生数でABCテレビの歴代最高記録を打ち立てている。

 最後に、民放GP帯ドラマで気がかりなのが、成田凌×小芝風花のカンテレ制作・フジテレビ系列放送の『転職の魔王様』と、若村麻由美主演のフジテレビ系木曜劇場『この素晴らしき世界』の立ち上がりの鈍さ。どちらも17日スタート、20日スタートと後発組だったが、前述のように放送が始まって一気に増える傾向にあるお気に入り登録者数が、放送を開始したにもかかわらずいまひとつ伸びない。深夜帯の作品でも放送開始直後は10万単位で増えるものだが、『転職の魔王様』こそ初回放送前の7月15日0時時点で19.0万だったのが、初回放送後の翌週22日0時時点で31.0万と+12万となっているものの、『この素晴らしき世界』は15日0時時点で12.6万、22日0時時点で18.1万と+5.9万に留まっており、25日5時時点の22.4万人と比較しても+9.8万という具合。鈴木京香の降板で急きょ若村麻由美が代役を務めるなどのトラブルもあったが、脚本家の「烏丸マル太」が三谷幸喜の変名ではないかと疑われるなどの注目ポイントもあり、今後の伸びに期待したい。

 

新城優征(ライター)

ドラマ・映画好きの男性ライター。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

しんじょうゆうせい

最終更新:2023/07/25 11:00
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