『ハヤブサ消防団』『真夏のシンデレラ』どっちが首位に? 混戦の夏ドラマTVer人気ランキング
#ハヤブサ消防団 #VIVANT #トリリオンゲーム #TVer #真夏のシンデレラ
在京民放キー局5社を中心として2015年10月に始まったTVer。参加局、取り扱う番組も増え、2023年5月には月間動画再生数が3億5877回と過去最高を更新し、TVer単体の月間アクティブユーザー数(MAU)も2800万の過去最高記録に達するなど、もはや定番のサービスとなった。今や「見逃し配信」は当たり前となったが、やはりTVerではドラマが圧倒的に見られており、ドラマの見逃し配信需要がこのサービスを牽引していると言えるだろう。
しかしTVerにおける再生回数は基本的に非公表で、期ごとの番組再生数ランキングなどで一部が明らかになるか、あるいは新記録を打ち立てた時などに番組側が発表する程度。そのため、視聴率をもって番組が語られてしまう状況が長らく続いている。
そこで、TVer再生数ランキングの総合ランキングを定点観測することで、視聴率とは違ったドラマ人気をある程度は可視化できるのではないか、と考えたのが本企画だ。総合ランキングでの順位に対しポイントを付け、合計した結果から日刊サイゾー独自の「TVerドラマ人気ランキング」をご用意した。今週は7月15日(土)~7月21日(金)までを観測(1日2回、決まった時間にTVer総合ランキングをチェック)した結果をお伝えする。
『真夏のシンデレラ』との接戦を制したのは『ハヤブサ消防団』
今回の結果は以下のとおり。夏ドラマがほぼ始まったので、今週からふたたびトップ15に戻してお届けする。
7月15日(土)~7月21日(金)を対象期間としている都合上、まだすべての作品がフル集計されているわけではないが、今週は想像以上に混戦。13日にスタートしたテレビ朝日系木曜ドラマ『ハヤブサ消防団』と、先週からスタートしていたフジテレビ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』がトップ争いを繰り広げていたが、今週本人気ランキング首位を制したのは『ハヤブサ消防団』だった。
中村倫也主演の『ハヤブサ消防団』は、池井戸潤の同名小説を原作とした田園ミステリーなのだが、明るいキービジュアルや、『ハヤブサ消防団』というタイトルから、田舎暮らしのほのぼのヒューマンコメディと勘違いしていた人も少なくなかったようだ。それはともかく、岡部たかし、梶原善、橋本じゅん、山本耕史、生瀬勝久、麿赤兒といった渋い俳優も取り揃えたことで、ハヤブサ地区の一筋縄ではいかない不穏さが演出されており、見ごたえのあるミステリーになりそうな期待をさせる初回だった。
お気に入り登録者数では70.6万(22日0時時点、以下同)で前週比+25.2万と始まったばかりにしてはやや伸び悩んでいるが、TVer再生数ランキング総合部門の推移を見ると、トップ3滞在期間が3日、トップ5滞在期間が4日(最高順位は1位)もあり、最低順位12位と粘り強さもあるなど安定して支持されている印象。ミステリー作品だけに繰り返し視聴する人が多いのだろう。世帯視聴率でも初回10.5%(第2話は9.4%)と、『VIVANT』『刑事7人』に次ぐ数字で、世帯視聴率に強いテレ朝ドラマらしいが、テレ朝ドラマといえば配信に弱く、その意味では『ハヤブサ消防団』は昨夏の『六本木クラス』のように視聴率・配信ともに好調な理想的なドラマになりそうだ。
月9『真夏のシンデレラ』はTVerお気に入り登録者数が83.9万まで伸びて現状今期トップとなっているだけに、配信人気は強い。TVer再生数ランキング総合部門では常にトップ10内をキープしていたが、『ハヤブサ消防団』との違いは、『真夏のシンデレラ』はトップ3滞在期間が2日もなく、トップ5滞在期間も3日程度だったこと。いずれにせよ、第2話で世帯5.4%まで落ち込んだものの、配信で支持されるという形になりそうだ。一定の世代にはベタすぎる(そして古臭い)エピソードや演出が頻繁に登場するが、10代には新鮮なようで、ある年代からはネタドラマとしてツッコまれ続け、若い層からは(彼らにとっては珍しい?)海辺の町を舞台にしたキラキララブストーリーとして楽しまれているのかもしれない。
今週3位となったのは目黒蓮×佐野勇斗のTBS系金曜ドラマ『トリリオンゲーム』。こちらはTVer再生数ランキング総合部門で1位を取るなど勢いはあったが、お気に入り登録者数は71.4万と、やや動きが鈍い。演出の問題か脚本の問題か、初回は時系列があっちこっちいったり、テンポよく進めようとして説明が不足気味だったりと、原作マンガを知らない層はついていくのが難しい印象を受けた。目黒の演技も、頑張って陽キャを演じている感じを受けてしまったが、ここからなじんでいくかも分かれ道となりそう。
今週4位は、赤楚衛二主演の日本テレビ系水曜ドラマ『こっち向いてよ向井くん』。こちらもお気に入り登録者数の伸びが鈍く、前週比+13.3万で57.0万となっている。恋愛を扱ってはいるが、どちらかというと勘違いしてしまう向井くん(赤楚衛二)の「答え合わせ」を楽しむアンジャッシュ的すれちがいコメディで、やや人を選ぶところがあるのかもしれない。水曜ドラマ対決では、同じ時間帯の杉野遥亮主演フジテレビ系水曜ドラマ『ばらかもん』があるが、こちらは『向井くん』にお気に入り登録者数で10万近く差をつけられており(47.1万)、TVer再生数ランキング総合部門の最高順位4位と動きが鈍く、本人気ランキングで今週11位となっている。
5位の菊池風磨主演『ウソ婚』は深夜帯ながらお気に入り登録者数72.8万と『トリリオンゲーム』を超えており、配信人気が高い。TVer再生数ランキング総合部門の推移を見ても、最高1位を獲得する爆発力がある。深夜帯では、生田斗真主演・三池崇監督のテレ朝金曜ナイトドラマ『警部補ダイマジン』や、佐藤大樹主演のABC・テレビ朝日系ドラマL『around1/4 アラウンドクォーター』も好調。特に後者は、見逃し配信の再生数でABCテレビの歴代最高記録となったという。
そして6位に初登場となったのが、話題のTBS系日曜劇場『VIVANT』。16日スタートなのでフル集計ではないが、放送翌日からずっとTVer再生数ランキング総合部門のトップ5内をキープする強さがある。お気に入り登録者数はなんと前週比+46.4万で83.1万まで伸ばしており、『真夏のシンデレラ』をまもなく抜きそうな勢いだ。次週はさらに順位を上げること間違いないだろう。視聴率と合わせると、やはり今期の覇権ドラマは『VIVANT』となりそうだ。
多くの作品が新たにランクインしたことで大きな順位変動が起こっており、7月2日スタートといち早く始まった坂口健太郎主演の『CODEー願いの代償ー』はついに1位の座から陥落することになったが、それ以上に注目したいのが、4日にスタートしていた伊藤沙莉×織田裕二×中島健人のテレ朝火曜ドラマ『シッコウ!!~犬と私と執行官~』。先週、「早くも勢いが鈍っており、次週はもっと順位を落としそう」と指摘したが、そのとおりの結果となり、大幅にポイントを落として今週13位にまで転落。お気に入り登録者数の伸びは前週比+5.6万(56.8万)と鈍く、TVer再生数ランキング総合部門では最高順位5位、トップ10滞在期間は3日にまで落ち込んでしまっている。視聴率は好調で、「視聴率は強いが、配信は弱い」のテレ朝ドラマらしい動きに落ち着き始めている。伊藤沙莉主演ドラマながら、織田裕二が主演級に活躍していて、コミカルな織田裕二を観たいという視聴者が中心なのだろうか。
新たに放送を開始したところでは、成田凌×小芝風花のカンテレ制作・フジテレビ系列放送の月10ドラマ『転職の魔王様』が17日にスタートしたが、今のところTVer再生数ランキング総合部門での最高順位が5位、お気に入り登録者数は31.0万と、かなり苦しい立ち上がりだ。月曜の夜から重くて辛いという感想も散見されるが、ここから挽回していけるか。来週に注目だ。
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