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『ペントレ』“ミーポ”が重要アイテムに? 優斗との絆を築いた直哉は未来を救えるか

『ペントレ』“ミーポ”が重要アイテムに? 優斗との絆を築いた直哉は未来を救えるかの画像
ドラマ公式サイトより

 2023年の春、秋葉原行きのつくばエクスプレスの5号車と6号車が突如車両ごと世界が荒廃した2060年にワープし、乗客たちが極限下を懸命に生きる姿を描くヒューマンエンターテインメントドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系)。6月9日放送の第8話では、ついにワームホールでの“脱出”を目指すことになり、「元の世界に帰るか否か」の選択に乗客が揺れるストーリーとなった。

 前回・第7話のラストで突如姿を見せたワームホール。田中弥一(杉本哲太)のわら人形「ミーポ」を吸い込んだ後、ワームホールは乗客たちが戸惑っている間に消滅してしまった。大学院生の加藤祥大(井之脇海)は、持っていた雑誌から物理学教授・蓮見涼平(間宮祥太朗)の研究を独自に解釈し、トンネルの中に再びワームホールを発生させることは可能ではないかと語る。そして、オーロラが出現すると光る隕石を多く集め、電流を流して磁気を発生させればワームホールが開くのではとの可能性にたどり着く。そこに米澤大地(藤原丈一郎)が埋没したケーブルを発見。このケーブルを辿れば、非常用の発電装置のある南千住変電所が見つかるのではと期待し、5号車の面々は地面を掘り、ケーブルの先を探していく。

 苦労して南千住変電所にたどり着く白浜優斗(赤楚衛二)たち。SEの立花弘子(大西礼芳)のおかげで発電機を動かすことに成功。天気が荒れ始め、5号車の面々はケーブルを車両に巻き付け始める。そして嵐が来たタイミングで電流を流すと、目論見どおりワームホールが発生。2023年に戻ることをためらっていた萱島直哉(山田裕貴)は優斗の必死の説得で戻る決意をし、2060年に残ることを決めた田中の協力もあって直哉も車両に乗り込む。車両がワームホールに吸い込まれ、ついに「未来編」完結――と思われたが、なんとたどり着いた先は2026年5月1日。3年後の世界だった。隕石の衝突により世界が大災害に見舞われるのが2026年12月9日。つまり直哉たちはあと半年ほどで、世界を救わなければならない。一筋縄ではいかない、予想のはるか上をいく展開には驚かされた。

 ラストに驚かされた第8話だが、いよいよ帰ることができる可能性が目の前に現れ、乗客たちの心の揺らぎが今回のメインストーリーだった。直哉や渡部玲奈(古川琴音)、恋人の江口和真(日向亘)の子を妊娠している高校生の佐藤小春(片岡凜)らは、元の世界に戻ることに前向きになれない。なかなか一枚岩にならない乗客たちがもどかしかったが、これも本作の醍醐味だと言えよう。

 直哉に戻る決断をさせたのが、直哉が恋心を自覚し始めていた畑野紗枝(上白石萌歌)ではなく、優斗との絆だったことは、今回のストーリーの最大の見せどころだったのではないだろうか。紗枝の引き留めに、直哉は「俺は……誰も信じれなかった。信じてこなかった。でも今は……ちょっとだけ、信じられるかもって思ってる」と笑顔を見せるが、「会えてよかった」と決別の言葉を投げる。思わず涙をこぼす紗枝の額を拭ってやると、紗枝の背中を押し、直哉は「俺はここで」と優斗たちに別れを告げようとする。

 直哉は「白浜。もし戻れたら、弟だけ頼んだ」「みんな、助かるといいな」と伝えるが、立ち去れない一同。「早く行け!」という直哉に、ついに優斗は「こういうことになるんだよ。あんたが!自己満足で残るとか言うから!」と怒りを見せる。「ずっと一緒にやってきた。もう他人じゃないし、ひとりが得意とか言うな! 本当に残りたかったらそうすりゃいい。強制なんてできない。でも! 弟さんを助けられなかったことの絶望から逃げ出しているだけじゃないのか?」「この先俺たちはずっと思う。萱島さんはどうしてる。なんで置いてきた。ホントは助けたかった。……ずっと後悔する。いつも萱島さんはいてくれた。そばで毒づいて、ひとりで突っ走る俺のそばで、からかって。それにはイラついたけど……でもそのおかげで俺は今日まで生きてこれた! 萱島さんを助けられなかったら、きっと俺は一生後悔する!」と目に涙を浮かばせながら直哉に本音をぶつけ、「一緒に来い! 俺を信じろ」と力強く語りかける。その優斗の言葉に心を打たれた直哉は、「やれるだけやってみよう」という優斗の口癖を借りて「やれるだけ……やってみるか」と答えるのだった。

 リーダーを務めてきた優斗は全員で帰ろうと主張するが、それでもまだ、5号車のすべての乗客が帰る決断をできたわけではなかった。嵐がやってきて、これからワームホールが開くというとき、「ここまでみんなと引っ張ってきたのは、誰だ!? こいつを信じろ!」と優斗を指さしたのは直哉。その言葉を受けて、揺れていた乗客たちも心を決める。和真に「一緒に帰ろう! 何があっても、ずっと俺がそばにいるから!」と抱きしめられた小春は、共に帰ると決める。紗枝の優しさに触れた玲奈も、仲が近づいていた明石周吾(宮崎秋人)からの「一緒に行こう」という言葉で明石の手を取る。優斗の言葉が直哉に伝わり、それが今度は直哉によって5号車に広がっていく。5号車がこれまで築いてきた絆が発揮された瞬間だった。

 5号車の絆は意外なところにも。身勝手な行動を取って自ら車両を降りて森の中で暮らしていた田中だったが、米澤から別れを告げられる。米澤の説得には応じなかったが、最後に一番の見せ場を作った。直哉が5号車の車両に乗り込もうとしたとき、どこで聞きつけたのか、6号車の植村憲正(ウエンツ瑛士)と加古川辰巳(西垣匠)が「戻れるなら俺たちも!」とやってきて、直哉を押し倒し、さらにドアを閉めようとする。直哉だけが戻れないのか……と思われた瞬間、田中が「何やってるんだ!」とやってきて、嵐の中、直哉を車内に押し込み、米澤に「生きろー!」と伝えてドアを閉めた。悪役なのか道化なのか微妙な立ち位置だった田中もまた、乗客の一員として、絆で結ばれていたようだ。

 思えば、車両に乗った直哉たちが外を驚きの目で見つめるというオープニングタイトル映像には、田中の姿はなかった。これは田中は2060年に残るということを意味していたのかもしれない。田中の幸運を祈りたいが、一方で2026年ではなく、唯一2023年に飛んだわら人形のミーポも気になる。田中は抜いた歯をわら人形に括り付け、「ミーポ」と名付けて愛でるなど“奇行”が目立ったが、そのミーポはワームホールを抜けて、2023年の駅の構内にたどり着いたのだ。第9話の予告映像には、目に力なくたたずむ直哉の姿や、涙を流す紗枝、座り込む優斗らが映る。2026年末に大災害が起き、荒廃した2060年の未来を見てきたという彼らの主張がそう簡単に信じてもらえることにはならないだろう。そこにミーポと一緒に2023年に戻った田中の歯が説得材料となる、あるいは田中を呼び戻す鍵になる……というのは考えすぎだろうか。

 クライマックスに向けて動き始めた第9話は今夜放送。さらに予想外の展開への期待が高まる。

■番組情報
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と
TBS系毎週金曜22時~
出演:山田裕貴、赤楚衛二、上白石萌歌、井之脇海、古川琴音、藤原丈一郎(なにわ男子)、日向亘、片岡凜、池田優斗、宮崎秋人、大西礼芳、村田秀亮(とろサーモン)、金澤美穂、志田彩良、白石隼也、濱津隆之、坪倉由幸(我が家)、山口紗弥加、前田公輝、杉本哲太、松雪泰子 ほか
脚本:金子ありさ
音楽:大間々昂
主題歌:Official髭男dism「TATTOO」(ポニーキャニオン/IRORI Records)
プロデューサー:宮﨑真佐子、丸山いづみ
演出:田中健太、岡本伸吾、加藤尚樹、井村太一、濱野大輝
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:tbs.co.jp/p_train823_tbs

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/06/16 12:00
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