『だが、情熱』オードリー伝説のあの漫才を完コピ、クオリティの高さに騒然
#お笑い #オードリー #南海キャンディーズ #だが情熱はある
「このネタこそ売れるかもしれない」
芸人はこれの繰り返しだ。新しく思いついたネタに活路を見出し、試しては絶望する。売れない芸人だった筆者はその10年の中で、何度この言葉にすがりつき、挫折してきたかわからない。6月4日に放送された『だが、情熱はある』(日本テレビ系)第9話は、若林正恭(髙橋海人/King & Prince)が一つのネタに見た希望の話だった。
ズレ漫才誕生とその覚悟
いまだもがき苦しむオードリー・若林は、とある放送作家から「あんなにツッコミが下手なやつ(春日)みたことない」のアドバイスを受ける。自分たちのトークライブの映像を見返し、春日(戸塚純貴)のズレたツッコミが数十回にも及んでいたことに気づく。そのズレたツッコミに若林がツッコミ直す形を見出し、オードリーのブレークのきっかけとなった“ズレ漫才”を思いつく。これまでに時事漫才、客いじり、アメフトモノマネなど、様々なパターンを試してきた若林は、「今回こそは!」とズレ漫才に賭ける決意を固めた。
売れないんだからいろんなことに挑戦する。当たり前のことに聞こえるかもしれないが、オードリーの方向転換はかなり思い切った決断だと思う。ドラマ内では全く活躍が描かれていないオードリーだが、芸歴を数年重ねればライブシーンではそれなりに名前は知れ渡るし、どういうコンビなのかもそれなりに浸透する(あくまでライブシーンでは)。
その中で、つい昨日まで普通の人だった春日がピンクのベストで胸を張ってゆっくり歩く。ここまでのキャラチェンジをしてしまえば、いつものお客さんからすれば戸惑いでしかないし、例え面白かったとしてもちゃんとウケるかどうかはだいぶ怪しい。モミアゲまで剃ってしまっているので、元にだって戻りづらい。
そんな状態で臨んだ『M-1グランプリ2006』は、素人に毛が生えた程度の二回戦敗退。若林は自分を面白いと言ってくれる彼女(?)の智子(中田青渚)相手に、「俺は面白くないんだよ」と自分を否定する。智子は春日同様に自分の可能性を信じてくれる数少ない人間だ。本当にありがたい存在なのだが、その信頼を裏切るのが怖いし情けない。だから「あなたはそんなに面白くない」と引導を渡してもらいたかったのかもしれない。
恩人との出会い
半ばやけになった状態で挑んだ『ラ・ママ新人コント大会』のオーディション。主催者はコント赤信号のリーダー・渡辺正行(本人出演)で、オードリーの恩人となる人物だ。
ボロクソにダメ出しされると思い込んでいた若林の耳に突き刺さったのは「いいねぇ」の一言だった。
山里(森本慎太郎/SixTONES)はブレークまでに養成所の講師やマネージャー など、何度かお笑いで仕事をする大人に認められてきている。
だが、若林にとって芸人以外の大人に認められたのはこれが初めてのこと。しかもそれがコント赤信号のリーダーなのだ。これまでの虚無な芸人人生に意味があったのだと、泣きじゃくってしまうのは仕方ない。
ドラマ外の話になるが、後に渡辺はオードリーとの最初の出会いについて「ひと目見た瞬間から売れると確信した」と振り返っている。オードリーにとっても渡辺にとっても、印象深い出来事だったようだ。
YouTubeでチェックできるオードリー完コピ漫才
ズレ漫才を見つけて数年が経過した『M-1グランプリ2009』。ついにオードリーは準決勝へと進出し、東京・大井競馬場で行われる敗者復活戦に挑む。
南海キャンディーズ含む並いる強豪の中から見事に決勝戦への切符を勝ち取ったわけなのだが、ここで披露した髙橋海人と戸塚純貴のオードリー完コピ漫才がすごかった。無駄な笑い声を足さずにフル尺で演じ切った4分間は、まさに敗者復活を勝ち上がる漫才だった。
中途半端なクオリティだったらドラマとして成立しなくなってしまう。演じた2人とドラマ制作陣がこの演出に踏み切った覚悟が感じられた。観ていない人、もしくはもう一度観たい人はYouTubeに上がっているので、ぜひチェックしてほしい。
今夜放送の第10話は、ブレークした若林が「じゃない方芸人」としての苦悩を味わう。同じくコンビ格差に悩む山里と出会いを果たす。
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