『らんまん』生粋の弟キャラ・万太郎の“まっすぐ走る”恋はフライング気味?(第9週)
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東京へ来てからずっと、好きな植物のためにまっすぐ走り続けてきた万太郎(神木隆之介)。植物学の雑誌を作りたいという新しい夢も、発足したばかりの植物学会の学会誌という形で叶うこととなり、気難しい田邊教授(要潤)の許しもゲット。いつも文句を言っていた大窪助手(今野浩喜)も、万太郎から「学会誌の監督」という地位を打診されて、すっかり味方に。何もかも順調、これからもこんなふうに走っていくんでしょうね……と思っていた万太郎が突然立ち止まり、寝転んでぼんやりと空を見上げる事態に。
大好きな植物学に身が入らず家にこもってしまうほど、万太郎が元気をなくしてしまった原因は、恋。手が届かないガラスの向こうへと連れ去られる、失いたくない夏の最後のバラ、美しい寿恵子さん(浜辺美波)への想い。寿恵子さんのドレス姿、とてもきれいでしたね。万太郎が「きれいじゃ……」以外の言葉を失ってしまうのも当然。ダンスを教えてくれるクララ(アナンダ・ジェイコブズ)の優雅さに見せられ、ドレスの採寸のために躊躇なく帯をほどく。寿恵子の、新しいことへ挑戦する思い切りの良さは、亡くなったお父さん譲りなんでしょうね。見た目の愛らしさだけでなく、生き生きとした内面が彼女の魅力。初めて見たティーカップ入りの紅茶を、緑茶のように飲み、おいしさに目を輝かせる。飲み方は間違っているけれど所作は美しい。父の冒険好きな性質と、母からの教えを、どちらもきっちり受け継いでいる。
そんな彼女への想いが募る万太郎、草花への「好き」と違って、人への「好き」な気持ちはきれいなものではなく、実はどす黒いことに気がついてしまい、つらい。どろどろした恋心を持て余した万太郎が悩みを打ち明けるのが、大学の仲間や竹雄(志尊淳)ではなく、長屋の女性たちなのが彼らしい。さすが、ずっとお姉さんの綾さん(佐久間由衣)に助けられてきた、弟キャラ。自分の弱さを隠さずさらけ出しちゃうのも、万太郎っぽい。「こんなこと言ったら恥ずかしい」とか思ってしまうような、変なプライドが全然ない。「どういたらえいがでしょうか?」とあの澄んだ瞳で問いかけられたら、誰でも「しょうがないなあ!」となんとかしたくなりますよね。迷子の子犬をほっとけないのと一緒。
そんな万太郎の悩みをきっかけに始まった、長屋女子たちの恋バナシーン、よかったですね。おゆうさん(山谷花純)が隠してきた過去、恋バナというには重すぎる話でしたが、やっとみんなに打ち明けられたことで、少しは気持ちが軽くなったかな。彰義隊の一員だった倉木(大東駿介)を命懸けでかくまって介抱したおえいさん(成海璃子)の強さと無茶さ、若い女の子らしい恋だなあ。「誰かを好きになってきれいなままでいようだなんて、ちゃんちゃらおかしいんだよ」と万太郎に説く長屋のおねえさんたち。ほんと、そうですね。
長屋での女子トークで元気を取り戻してまた走り始めた万太郎。それはいいんだけど、寿恵子の母・まつ(と、父と思い違いした職人の文太)にだけ結婚申し込み匂わせ宣言をして「できるだけの速さでまっすぐ走って、お嬢様を迎えに来ます! ほんじゃきここにはしばらく参りません、さようなら!」と、走って去ってしまうのはどうかと思う、落ち着いてー! 時代的にまずは両親(違うけど)に申し入れるのが当然なのもわかるけども、ちゃんと寿恵子本人にも、気持ちを伝えてから走ったほうがいいのではー!
こんな、万太郎の嘘のなさと素直さは他の人たちにも伝染し、大学でも長屋でもみんなを変えたけれど、それだけではどうにもならないことってありますよね。万太郎が苦手な、計画的な行動や、真実を言わないでおくズルさも、今後必要になるかもしれない。そんな場面に出会ったら、万太郎はどうするんだろう。大学にも峰屋にも、なんか心配なものがちらちらと見えているんですが。予告で寿恵子に「パートナーに」と申し込んでいた高藤(伊礼彼方)が一番の心配のもと。高藤の奥様・弥江(梅舟惟永)が演奏会で厳しい目をしていたのも気になる。大丈夫なのかなみんな。そして万太郎、竹雄を泣かせないでー!
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NHK連続テレビ小説『らんまん』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこうほか
作:長田育恵
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん「愛の花」
語り:宮﨑あおい
制作統括:松川博敬
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
植物監修:田中伸幸
制作:NHK
公式サイト:nhk.jp/ranman
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