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朝ドラWATCHコラム『らんまん』第8週

『らんまん』竹雄が裏で甲斐甲斐しく支える“天然の人たらし”万太郎(第8週)

『らんまん』竹雄が裏で甲斐甲斐しく支える“天然の人たらし”万太郎(第8週)の画像
イラスト/渡辺裕子

 朝早くから慣れない手つきで洗濯しては長屋の女性陣にダメ出しされ、昼はレストランのボウイとして働き、夜はシャツに火のし=アイロンをかける。竹雄(志尊淳)の1日は、すべて愛する若・万太郎(神木隆之介)のためにある。竹雄の甲斐甲斐しさがよりいっそう際立つ東京編、もし彼がいなかったら万太郎はどうなっていたことか。

 しかし竹雄が献身的に働いている間、万太郎は長屋の差配人・りん(安藤玉恵)にステーキを振る舞い、牛鍋屋に東大の学生たちと繰り出す。おいしそうな肉をほおばりながら「家賃は竹雄が働いてるから心配いりません」と差配人さんにニコニコ語る万太郎。うんそうだね、竹雄が働くから暮らしのお金は大丈夫だよねー……いや大丈夫じゃないだろ万太郎、竹雄もたまには「やってらんねー!」と怒ってもいいのよ? 「竹雄はもう従者ではなく、わしの相棒じゃ!」と言っていたのに、峰屋にいた時よりももっと竹雄が働いている気がするのはなぜ。

 と、なんだか竹雄にはひどいことしかしていない気がする万太郎なのですが、東大の研究室でみんなに「よそもの」として受け入れられずに取り残される後ろ姿を見て「なんてかわいそうなの……がんばれ万太郎!」とつい同情して応援してしまうのはなぜなんでしょう。本当に天然の人たらしですよね。

 彼の人たらしぶりは東大研究室でも存分に発揮され、あんなに反発してた波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)はシロツメクサをきっかけに、同じく東大生の丈之助(山脇辰哉)とともに、雑誌を作ろう!と熱く語り合うほど仲よくなってしまう。万太郎の、相手が大事にしているもの・欲しいものをすぐに理解して、それを手に入れて惜しげなく差し出せる才能、これが人たらしというものなのだなあ。うさぎにシロツメクサ、学生たちに研究を発表する場としての雑誌づくり、などなど。

 菓子職人に草花の図案、もそうですね。彼の草花愛あふれる絵に心を動かされた文太(池内万作)がとても美しい菓子を作り、それを見た万太郎がまた新しい絵を描き、そこからどんどん新しい上生菓子ができていくやりとりが、すてきでした。草花とお菓子、専門分野は違っても、「美しい」と感じる心は同じなんだなと。そんなふうに『らんまん』は、違う立場の人と人とが呼応しあって物語が進んでいくのがとても楽しい。寿恵子(浜辺美波)に花の絵を描きながら教えていた万太郎も、その会話の中で「日本国中の草花を絵と文で伝える植物図鑑」という、一生をかける植物学の夢を抱くことに。そしてその姿を見た寿恵子も「馬琴先生だ!」と憧れの人と重ね合わせてまた萌え転がることに。

 と、なんだかいい方向に向かいつつあるのかと思われたのに、ラストに不穏な雷鳴が。寿恵子を見た実業家・高藤(伊礼彼方)の熱い視線。万太郎の描いた「植物の一生」の絵を見た田邊教授(要潤)の言う「幸運」とは何。専門ではない植物学を教えている徳永助教授(田中哲司)の、万太郎を見る苦々しげな顔も気になるし、次週予告の峰屋の様子も心配。ああどうなる。そして竹雄、あんな似顔絵をみんなに見られて大丈夫? あなたも心配よ、ほんとに。

■番組情報
NHK連続テレビ小説『らんまん
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス

出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこうほか
作:長田育恵
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん「愛の花」
語り:宮﨑あおい
制作統括:松川博敬
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
植物監修:田中伸幸
制作:NHK
公式サイト:nhk.jp/ranman

渡辺裕子(イラストレーター/コラムニスト)

テレビ大好きイラストレーター。
テレビや映画について書いてるnote → http://note.mu/satohi11

わたなべひろこ

最終更新:2023/05/29 06:00
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