8ミリ映画の青春『Single8』 ファインダーの中のヒロインはなぜ美しいのか?
#映画 #インタビュー #パンドラ映画館
デジタル世代にとってのフィルム体験
主演の上村侑と髙石あかりは『さよなら、バンドアパート』(21)でも共演しており、今回のキャスティングにつながった。デジタル世代の若いキャストたちは、今回のフィルム体験をどのように受け止めたのだろうか。
小中「クランクイン前に彼らには8ミリカメラの扱い方をレクチャーしましたし、撮影現場でもその都度、教えながら進めました。僕をはじめ、メインスタッフはみんな8ミリ世代なので、必要以上に熱くなって、8ミリのことを説明していたように思います。僕らのそんな様子も、彼らの役づくりの参考になったんじゃないですか(笑)。フィルムならではの色合いを好み、PVや短編映画を撮る人は今もいますが、フィルムで撮る機会は今後ますます減っていくでしょうね。今回の劇中映画シーンは8ミリ撮影だったこともあり、何度でも撮り直せるデジタル撮影にはない緊張感がありました。そのことでスタッフとキャストの間にも一体感が生まれたように感じます。デジタル撮影にはない体験だったと思います」
ファーストシーンからラストシーン、広志の顔つきは大きく変化を遂げる。主人公の成長ぶりが鮮やかに映し出されるが、それはもう二度と戻らない少年期との決別でもある。せつなく、愛おしい青春映画が誕生した。自身の原点を見つめ直した小中監督の今後の活躍にも期待したい。
『Single8』
監督・脚本・美術/小中和哉
出演/上村侑、髙石あかり、福澤希空(WATWING)、桑山隆太(WATWING)、川久保拓司、北岡龍貴、佐藤友祐(lol)、有森也実
配給/マジックアワー 3月18日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
©「Single8」製作委員会
single8-movie.com
※『Single8』公開記念として、「8ミリ映画復活祭」が渋谷ユーロスペースで開催。
3月2日(木)は河崎実監督『エスパレイザー』、進藤丈夫監督『MARK』、小中和哉監督『地球に落ちて来たくま』、3月3日(金)は手塚眞監督『UNK』『HIGH-SCHOOL-TERROR』、今関あきよし監督『ORANGING’79』、小中和哉監督『TURN POINT 10:40』、3月4日(土)は寺田裕之監督『終』、利重剛監督『教訓』、小中和哉監督『いつでも夢を』を上映。上映作品の監督も登壇予定。
(詳しくは『Single8』公式サイト https://www.single8-movie.com/8mm_fukkatsusai/ をご覧ください)
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