南沙良“照井”の変化はあったものの…月9『女神の教室』マンネリ打破できるか
#月9 #女神の教室 #南沙良
北川景子主演のフジテレビ系月9ドラマ『女神[テミス]の教室~リーガル青春白書~』の第3話(1月23日放送)は、黙秘権という「当たり前に存在する権利」について考えさせられるとともに、南沙良演じる照井雪乃の変化が描かれる放送回となった。が、一方で、実務演習を軸としたストーリー展開の繰り返しにややマンネリ感も生まれてきているのも気になった。
青南ロースクール(青南大学法科大学院)を舞台にした本作。教員の柊木雫(北川景子)が今回提案した実務演習のテーマは「黙秘権」。容疑者が徹底して供述を拒否する事案を例に、黙秘権は必要なのかどうか、肯定派と否定派の2チームにわかれてディベートをし、どちらの議論が“勝ち”か、合理主義者の教員・藍井仁(山田裕貴)がジャッジするというものだ。
司法試験の合格を目指している生徒たちは、依然として試験勉強に役に立たない実務演習に乗り気でない。初回同様、合格者を多数生んでいる藍井ゼミ入りのための「アピールのチャンス」になるとして、柊木は生徒たちに意欲的な参加をうながすが、誰よりも合格を渇望しているはずの照井は「この授業は単位さえ取れればいい」と、藍井を前にしてもなびかず、実務演習にはまるでやる気を見せなかった。しかし、桐矢純平(前田旺志郎)とともに黙秘権否定派となった照井は、「加害者の人権」を持ち出した肯定派の主張を耳にしているうちに苛立ちを見せ始め、たまらず机を叩いて立ち上がり、反論。感情を昂らせて、最終的には「そもそも黙秘権は行き過ぎた加害者擁護であり、理不尽を生む誤った権利」「犯罪者には被害者が受けた同等の苦しみか、もしくはそれ以上の罰が与えられるべき」と厳しく言い放つ。否定派は勝利するが、藍井は照井の最後の主張について「きわめて感情的であり、弁論とは言えない」と切り捨てる。いつもクールな照井の激高ぶりには筆者も驚いた。
照井の処罰感情の強さを懸念した柊木は、検察官志望の照井と桐矢を、ロースクール時代の同期である検察官・横溝(宮野真守)の裁判に連れて行く。傍聴後、横溝は照井と桐矢に対し、検察官が勝てば被告人は「犯罪者」の汚名を一生背負うことになると、その責任の重さを伝える。そして横溝は、その責任ある職務を全うできるのは、弁護人がいるからだとする。検察官と弁護士が互いに本気でぶつかり合うからこそ、そこから導き出された“答え”は限りなく真実に近いと考えられるからだ。弁護人を“(検察官にとって)犯罪者を擁護する敵”としてのみ位置付けていたであろう照井に対し、横溝の「検察官と弁護人は、敵であり味方」という考え方は彼女にとって新たな視座となっただろう。
「現役の検察官の言葉なら、私の気持ちが変わるとでも思ったんですか?」「私の気持ちは変わりませんから」と手厳しい言葉を柊木にぶつける照井だったが、横溝の検察官の信念、そして自分に寄り添おうとする桐矢のやさしさに触れ、内面では変化が起こり始めていた。否定派と肯定派が入れ替わる次の実務演習授業のディベートのため、桐矢がひとりで準備を進めているのを見過ごせなくなり、肯定派として論破するための弁論を考案する。
そして、内心では黙秘権否定派のはずの照井は、肯定派として「被告人に法律の知識は必ずしもあるわけではない。だから被告人にも黙秘権という武器を与えるべき。そうでなければ、相手から武器を奪わないと勝てないという、法律家の敗北を意味する」「“黙秘権が行きすぎた加害者擁護”なんて考え方は、無能な法律家の言い訳にすぎない。われわれは相手に黙秘権を与えたうえで、法にのっとって真実を追及すべきです」との反論を用意。照井が考えた弁論は最後、「強制的に自白を引き出し、万が一にも冤罪を生めば、その人物は犯罪者に等しい立場になります。死刑になった人が出れば、(冤罪を生んだ側が)人殺しにだってなってしまう」からこそ、「黙秘権は加害者擁護だけでなく、法律家を犯罪者にしないためにも必要な権利なのです」と締め括られる。明らかに、横溝から得た知見や、傍聴した裁判で目の当たりにした経験から生まれた言葉だった。“犯罪者は罰せられるべき”という観点以外の、こうした複合的な視点は以前の照井にはなかったものであり、彼女にとって大きなターニングポイントとなっただろう。
柊木の授業に真っ向から反発してきた照井が、第3話にして変化を見せた。だが、柊木の提案した実務演習を通して生徒たちが何かしら“発見”をし、成長する……というパターンが繰り返されているのが気になるところ。その打破となりそうなのが、ラストに起こった“事件”だ。照井の実務演習をやめるとの宣言。そして年末の予定だった「藍井ゼミ選抜テスト」が来週実施されることになったことだ。司法試験突破の厳しい現実を突きつける展開となりそうだが、藍井が急きょ前倒しをした意図はどこにあるのか。さらに、捜査一課の刑事・風見颯(尾上松也)が追っている過去の事件も気になるところ。一方、ドラマの一服の清涼剤となりそうな、桐矢の天野向日葵(河村花)への恋ごころの行方も楽しみにしたい。検察官に向けて勉強まっしぐらかと思えば、恋にうつつを抜かす、どこか憎めない桐矢のキャラクターは、ロースクールの重苦しい雰囲気にフィクションとしてのエンタメ性を添えている印象がある。「リーガル&ロースクールエンターテインメント」を謳う本作、今夜放送の第4話はどんな展開を見せるだろうか。
北川景子『女神の教室』ロースクールの過酷さと“学園ドラマの王道的展開”は両立するか?
これはロースクール生の青春ドラマか、それとも教員たちの成長ドラマか。1月9日にスタートした北川景子主演のフジテレビ系月9ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』は、ロ...■番組情報
月曜ドラマ『女神[テミス]の教室~リーガル青春白書~』
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:北川景子、山田裕貴、南沙良、高橋文哉、前田旺志郎、前田拳太郎、河村花、佐藤仁美、宮野真守、小堺一機、尾上松也、及川光博 ほか
脚本:大北はるか、神田優
音楽:武部聡志
主題歌:Vaundy「まぶた」
プロデュース:野田悠介
演出:澤田鎌作、谷村政樹
法律監修:水野智幸
製作・著作:フジテレビジョン
公式サイト:fujitv.co.jp/themis
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事